アライさんのアルバイト

アライさんはお寿司屋さんでアルバイトをしているのだ!

今日は、フェネックっていう人のお家へ届けに行くのだ。



タッタッタッタッタッタッタッタッ....


(長い階段なのだ・・・。疲れたのだ...、お腹も減ったのだ...)



踊り場で立ち止まった。



(・・・一個くらい食べても...)



誘惑に負けビニールを剥がして、出前の商品を食べた。



(うん、美味しいのだ!)



元に戻し、再び階段を登り始めた。


――――――――


ピンポーン


「はーい」


「どうも、お寿司屋さんなのだ!!」


「ああ、どうもありがとー...、あれ、新人さんかな?」


「まだ入ったばかりなのだ」


「名前は?」


「アライさんなのだ」


「アライさんかあ、頑張ってね」


フェネックはそう言うと代金を渡した。


「丁度頂くのだ。ありがとうなのだ」


寿司桶を手渡した。


アライさんが帰ろうとした時だった。


「あれ?」


「どうしたのだ?」


「いなりが入ってないじゃん。どうしてくれんのさ」


「え、すみませんなのだ...」


「注文通ってないの?あなたの所の店」


「そ、そんなことないと思うのだ...」


「だからないじゃんいなりが。いなり食べたかったから注文したのに」


激しく受け取った寿司桶を揺らしながら、怒りを露わにしている。

その様子を見て、アライさんはつい事を沈めようとホントの事を口走った。


「・・・アライさんが食べちゃったのだ・・・」


「食べた?」


「ごめんなさいなのだ...」


「いなりを食べたんだ。この中の中で」


「はい...」


そうアライさんが答えるとフェネックは徐に携帯を取り出した。


「お店に電話させてもらうね」


「や、それだけはやめてほしいのだ!」


そう言ってやめさせようと抵抗する。


「いなり食べたんだから、当たり前でしょ」


「クビになっちゃうのだぁ...」


「関係ないもん、クビになればいいじゃん」


冷たい態度を取るフェネック。


「それだけは・・・」


「これはもう許せないし」


「や...」


「もういいから」


「申し訳ないのだっ!!」


土下座をして反省の態度を示した。


「こんなんで土下座されてもさー・・・、顔上げてよ」


そう言われたので顔を上げて、フェネックを見た。


「いなり作ったことある?」


「や、アライさんはまだないのだ」


「ないのにつまみ食いしたの?」


呆れた様に言った。


「これから一緒にさ、いなり作ってくれたら今回のこと内緒にしてあげるよ」


「え、そんなことでいいのか!?」


「ちゃんと一緒に作ってくれる?」


「もちろんなのだ!」


「いいよ、今回は許してあげるから。中入って」


そう言われたので靴を脱ぎ、玄関から数歩家の中に入った、その時、


「ふぇっ...!?」


意識が突然朦朧とし、倒れて気を失った。

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