けもフレ×百人一首

君がため 惜しからざりし 命さへ

長くもがなと 思ひけるかな

(藤原義孝)

ーーーーーーーーーーーーーー


僕は君と出会って全てが変わった。


美味しいものを食べたり

他の子を助けたり

一緒に笑いあったり


君との時間は、かけがえのない

素敵なものだった。


前に1度、君がピンチになった時、

僕は君を助けた。


君を守る為なら、この命でさえ失っても良いと思ってた。


けど君は、命を捨てる覚悟をしてまで僕を助けた。


僕と君は同じ考えだったみたい。


薄れゆく意識の中で、君の言葉に励まされた。


“大丈夫だよ”


僕はそれで助かった。


こうして、

この場所に君がいて、笑い合うことが出来る。


僕はずっと君のそばで、長く生きたいと思ったよ。


君もきっと、いや、絶対に同じように思ってる。


僕の為に、命を捨てようとしたんだから。


...これからもよろしくね。


ーーーーーーーーーーーーー


しのぶれど 色に出にけり わが恋は

物や思ふと 人の問ふまで

(平 兼盛)

ーーーーーーーーーーーーー


夜...


「フェネックさん?」


かばんさんに唐突に声を掛けられてハッとした。


「な、なに?」


すると、彼女はクスクスと笑った。


「ずっと前から気になってたんですけど...」


私は反射的にゴクリと唾を飲み込んだ。


「アライさんの事、好きですよね?」


「えーっと...、まあ、好きだよ。

友達として...ね?」


また、クスクスと笑った。


「ウソはダメですよ!本当は恋してるんじゃないですか?」


「いやいや...、大げさだよー...」


「顔に出てますよ?」


「えっ?」


「だって、アライさんと話してる時凄く幸せそうじゃないですか!」


「そ、そう...?」


私は確かにかばんさんを追いかける時から、アライさんと行動を共にしいつしか、一方的に好意を寄せていたのかもしれない。だけど、自分はそんなの他の人には気付かれないと思っていたけど…

まさか、かばんさんに見破られるとは

思ってなかった。


「別に誰を好きになったっていいじゃないですか。恥ずかしい事じゃありませんよ!」


「...どうすればいいかな?」


「そうですねぇ...。

やっぱり、思い切って気持ちを打ち明けたらどうですか?」


「でも...、勇気が...」


「いつもの感じでいいですよ!

フェネックさんはフェネックさんですから」


かばんさんに半ば強制的な感じで、アライさんの所まで連れていかれた。


(普通に...、普通に...)


「どうしたのだ?」


「あのさぁ、アライさんー」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る