2/14日(木)俺はジーパン
前回のあらすじ。途方に暮れながら、アンパン食ってたら、なんか小動物っぽい看護婦が話しかけてきた。以上。
なんだ?この女?西城さんってなに?俺たちが捜しているのは、健だ。西城なんて貴族っぽい名前じゃねーんだよ!
「あ、あの! 私!健さんって言っていたから、西城さんのことかと思って!」
「あの…すみません。ちょっと、人違いかと思うんです」
「いやいや! あなた、なんでわかったんですか?健さんって名前で…」
「えっ!?あ、あの…」
「ここじゃ詳しい話は出来ないので、この後お時間ありますか?」
「え、ええぇ!?でも!」
「私はこういうものです」
俺は懐からネタ帳を取り出し、女性の顔に突きつける。あんまり遠いとバレちゃうからね。この距離なら、真っ黒にしか見えないだろう。
「協力してもらえますね?」
「あ、あ、あい!」
ハッキリ言って、西城さんが弟さんかどうかは良くわからない。しかし、ここで病院関係者と思われる人物とつながりを作るのは悪くない手だろう。
「おい、晃司。嘘つくなよ。お前警察でもなんでも」
「黙ってろ!ビックT!」
俺が大声を出すと、看護婦はビクッとした。ここは、なんとかしねぇとヤバイ。兄ちゃん、今からひどいこと言うから空気読めよ。胸ぐら掴まれたくらいでびびんなよ。
「おい、ビックT。お前、仕事なめてんのか!?」
「えっ!?なんで!なんで!やめて!」
「仕事をなめてんのかって聞いてんだよ!」
「え、いや、あの」
俺は兄貴の胸ぐらを乱暴に振り外し、後ろ姿で語る。だれか相棒のテーマとか、太陽にほえろの曲とかかけてくんないかな。
「確かに、俺らがやっていることは誰にも公言できない。しかし、だな。俺らがやらなければ、ある兄弟が永遠に別れることになる、違うか?」
「あ、はい」
取り残された女性は「え?え?え?」と混乱しまくっている。そりゃそうだろ。いきなりこんなコント見せられたら、わけ分からなくもなるわな。
「そんな中で、心優しそうな女性がホシの名前に反応をしてくれている、こんな偶然があるか?俺たちは偶然に感謝し、この女性に協力を仰ぐべきじゃないのか?……たとえ極秘任務だとしても、だ。違うか?」
「あ、はい」
「大声を出してすまない。しかし、ことは急を要する……。君も協力してくれるね?」
「え?あ、はい」
「ありがとう。ではLINEのQRを出して。私が読み取ろう」
「え?あ…は、はい!」
「ありがとう。ついでに電話番号も送ってくれたまえ」
そう言うと、この子は素直に電話番号付きでLINEを送ってくれた。
彼女の勤務終了後に連絡をすると言って別れたが、デンジジャラスKこと大友晃司の脳裏には、ひとつの疑念が湧いていた。
(この子、将来大丈夫なのかな?)
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