第8話 とんでもテント1



「え、?ちょっと待ってこれほんとにテント?え?なにこれ?」

「やばい、超キレイ、凄い、広い、なにこれ」


なんとこのテント中がめちゃくちゃ広かった。ホテルのワンフロアなみの広さがある部屋は談話室なのかでかい暖炉がいくつか。

壁には明らかに地球のものであろうマンガや小説、雑誌、参考書など図書館級の数の本がこれまた図書館級の数の本棚に並んでいる。さらには

一体何人規模のパーティーするつもりだっていうくらいの数の椅子と机が並んでいた。

更にはバーのようなものやここはカジノだろうかと聞きたくなるような数のカードゲーム用や麻雀用の卓などとにかく様々なものが置いてあった。それでもなお広々と感じるほどに広い部屋である。

あとは端の方に人のようなものが...人っ!?

え、え、ヤバくない?え?


〈主、あれは魔動人形マジック・ドロイドと言ってアンドロイドの強化版のようなものです。魔力で起動させればあとは空気中に魔力がある限り動き続ける自動人形です〉


え、あのクオリティで人形なのか...

さすが異世界ハンパねーっすわ。

しかもそれが500くらいあるし...

給仕やコック、バーテンダーだろうかという格好をしているからここは魔動人形を使ったカジノみたいものだったのか?


あ、魔力で起動って俺でも起動できるの?


〈A:可能です。手で触れて魔力を少し流し込んでみてください〉


ほむほむ。手を触れて少し魔力を...「起動アクティベート。マスターを認識。完了。起動シークエンスへ移行。完了。起動まで約60秒です。」


おうおうおうおう。なぜ俺の周りは突如動き出すんだ!?


「起動シークエンス終了。魔力供給開始。完了。初期設定開始。魔力波動認識。」

〈主、今のうちに華音さんの魔力波動も認識させましょう。手を触れて魔力を流すだけでOKです〉


「かのーんこっち来てー」


「なにー?って人!?え、なにこれ?」


「後で説明するから。これに触れて魔力流して」


「新しい魔力波動を認識。第2部命令系統へ登録。完了。初期設定終了。再起動します。3、2、1、停止ダウン


「起動」


今度はブゥンと唸るような音を上げて起動した。


「初めまして、マスター。私は神造兵器105678 1です。なんなりとお申し付けください」


え?神造兵器?なんかすごい名前出てきたんだけど?

華音は...驚きすぎて固まってるよ。

ナビさん?ヘルプ!


〈A:神造兵器は神代、戦争で主に戦っていた神の作った兵器です。まさかこのようなところに残っているとは思いませんでした〉


またすごいもんがでてきたもんだなー。

えっとナビさん?1号とリンクできる?


〈A:可能です〉


「じゃあお願い。1号はナビさんと併合。ナビさんはこの人形部隊のリーダーとして1号を使って。俺と華音とナビさん(1号)の魔力を使って残りの人形を起動させて、このテント内の機能を復活させておいて。こうしたらナビさんも戦える強い体が手に入るでしょ?」


〈A:さすが主。ありがとうございます。開始します。リンク開始。完了。意識の統合を確認。動作を確認。完了。問題なく動きます。他の魔動人形の起動を開始します。〉


「僕らは少し他のところも見てくるね」


〈行ってらっしゃいませ〉


華音(の意識)を呼び戻し先程から気になっていた奥にあるいくつかの本棚の間から見えている扉へと足を運ぶ。


「ここはなんだろ」


扉が4つあったうちの1つ目はそれなりに長い廊下にたくさんの扉があった。イメージはホテルの廊下。


「なんだここ?ホテルの部屋があるフロアみたいな感じだな」


一つ目の扉に入ってみるとスイートルームみたいな部屋に繋がっていた。


「も、もう驚かねえぞ、お、驚いてなんかいないぞ!」

「すごーい!めっちゃ広い!何この部屋!」


広さだけでなく機能も凄まじかった。

地球で泊まるならいくら金がかかるかも分からないレベルで。


ベッドはふっかふかで何円するかわからない。

部屋の温度は常に快適。

キッチンの冷蔵庫は閉めて開けるたびに中のもの補充されてるから飲み物と食べ物無限に出てくる。

しかもそれら全てめちゃくちゃ美味しい。

その他、部屋には寝室が何故か2つ、キッチン、テレビ、でかい風呂、しかもトイレちゃんと別、地球式金庫まで付いていてどう見ても地球のホテルのスイートルームにしか見えない。なぜかテレビも見れた。デ〇ズニー映画やってたもん!〇曜どうでしょう見れたもん!


「なんだこのテントヤバすぎるだろ!」


どう考えてもこの世界にあっちゃいけないテントの存在に戦慄していると

「夢みたいな部屋だね!ベッドふっかふかだ!!こんな部屋泊まってみたかった!!」

華音は女子らしくものすごいはしゃいでいる。


華音が喜んでるならいっか。

飯もくってそろそろ眠くなってきたので向かいの部屋で風呂に入って寝ることにする。


「じゃ俺は向かいの部屋で寝るからなー」

「はーい!おやすみー!華音この部屋ー」


シャワー室まで付いてたがちゃんと湯船にお湯を張れるタイプのお風呂だったからお風呂を沸かし入る。


「あ゛あ゛あ゛いい湯だなぁ」


1日の疲れが取れていく気がするな。

今日1日中々濃かったなぁー。


しばらく浸かった後、頭と体を洗い(ちゃんとアメニティみたいにシャンプー、リンス、ボディーソープに洗顔クリームとか色々置いてあった)風呂を出る。

なんとスウェットとバスローブが置いてあったので迷いなく(実はめっちゃ迷った)スウェットを選び布団に潜る。


暗い中目を閉じ色々と考える。

あぁ、ベッドとは至高。

あれ?ここで永住できね?

などと考えているとさすがに疲れていたのかすぐに眠気が襲ってきた。


ゆったり、暖かなものに包まれながら静かに俺は眠った。

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