第6話 神の装具

「ん?」


そういえば下にあった扉の気配と華音の魔力の感覚が似ているような気がする。

何かありそうだし確かめてみるか。


「そろそろ下におりよっか」


「下?」


「そっ、ここ広いけど祭壇の上だからさ」


「へっ?えええええええ!?」


俺の一言でここが高所だと理解したご様子。


「はいじゃあ降りるよ」


そーいって華音を抱き抱える。


「え、?どーやって降りるつもり?ちゃんと階段から降りるんだよね?」


「そんな訳ないじゃん!面倒くさいからとぶ!」


そーいってさっき飛び降りた辺りから飛び降りる。


「いやぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあああ!」




「はくのばかぁー!」


「ちょ、ごめんって、泣くなって!」


「ばーか!ばーか!ばーーーーーか!!」

ぽこぽこと殴られ続け5分ほど


「ふぅ、ちょっとは気が収まった」


「すいませんでした」


「ほんとです!!!」


泣いてたり怒ってたりも可愛かったなんて口が裂けても言えないわ...


「それよりあれ見てくれよ」


「とびら...なの?」


「多分な。どでかいけど」


よく見れば細かい所まで凝った装飾がされている。

そしてそのほぼ全てが[花]であった。


たぶん、これ、そーゆー事なんだろうな。


「華音、あの扉開けてみてくれ、俺じゃ開かなかったんだよね」


「へ?ハクが開けれなかったのにあたしが開けれるとは思わないんだけどなぁ」

そう言いながらも華音は開けるために扉に歩み寄っていく。

そして開けようと手を触れた。


ドクン


手を触れた途端になんとなく扉が脈打った気がした。


華音が触れたところから扉に色がついていく。

赤、青、黄、緑、白など色とりどりの花が扉に咲いていく。


「これは...」


そしてゆっくりと音を立てながら扉が動き始めた。


「開いた...」


「やっぱりか」

この花の装飾にこの華音と似た気配、おそらく「花の神族」の魔力で開く仕掛けなのだろう。まさか色までつくとは思わなかったが。さすが異世界、さすが神の一族。


ズズーンという音を立て扉の動きが止まった。

まぁさすがにここまででかいと半分くらい開ければ誰でも入れるだろうしな。


そして扉の中へ足を踏み入れる。


そこは中々すごいところだった。

どこもかしこも白、壁も床も白いなにかでできている。

さらに天井から床まで白い花で埋まっている。

部屋の中にある祭壇のようなものへ道としてかその部分だけ花がない。


「いや祭壇の中に祭壇って違うくね?」


「ぶふっ」

華音のツッコミに思わず吹き出してしまった。


「あっはっはっはぁはぁ、ひっひっひっ」


他にもっとすごいところがあったろうにまず最初にそこにツッコんだのはなかなかである。


「ふー、ひー、はぁはぁ、あー面白かった」


「はぁ、何つぼってんのよ」


「はぁはぁ、とりあえずあの祭壇(笑)へ向かおうか」


華音は頷いて歩き出す。

俺は後ろから周りに注意を払いながら歩いていく。


ある程度まで近ずいたところで祭壇の上が光っているのが見えてきた。


「なんか光ってね?」


「だね。なんだろ?」


「まぁ行きゃわかるか」


祭壇につき上を確認すれば光を放っていたのはまんま光だった。

なんと表現すればいいか。

光の玉とでも言えばいいか。

ふよふよしてる光の玉だったのだ。


「まぁあれも華音が関係してそうだし華音がいきな?」


「なんかあったらどーするわけ?」


「いやまぁ、なんかはあるだろうな。じゃなきゃ光の玉なんかねえだろ」


「はぁ、わかったわよ。行けばいいんでしょ!」


なんか怒り気味でツカツカと階段を上がっていく。


ただふよふよしてた光の玉がなんか嬉しそうにふよふよしている。


「どうすればいいの?」


「触ってみれば?」


そう言うとそーしてみると言いながら光の玉に触れた。


すると光の玉が突如凄まじい光を放ちはじめた。


「きゃっ」

「うおっ」


あまりに眩しいので思わず目を隠す。


目を閉じていても感じることのできた明るさが無くなったので目を開けて華音を見やり言葉を失った。


美しい


純白のローブに身を包んだ華音がそこに立っていた。

その手に持った杖のような物もより一層華音の美しさを際立たせている。


「な、なにこれぇ~...」


戸惑う華音の声で我に返りナビさんに鑑定と説明を頼む。


〈A:承りました。鑑定を開始...完了しました。説明に移ります。


【神杖 隠逸花】

レア度 神器級

効果 隠密 気配遮断 透過 認識阻害魔法威力上昇(極) 詠唱不要 使用種族限定:神族

説明 ある国の象徴の花を象った装飾がされており。名前もその花の別名からきているが別名の由来とは真逆の性能である。神のための杖であり神以外には扱うことの出来ないほどの力を秘めている。


【神の羽衣】

レア度 創造神級

効果 全反射リフレクト 不壊 自動修復 自動洗浄 快温 自在変化

説明 神が身につける服の中で最高位のもの。創造神にしか作ることが出来ない。

神の装具として時にその姿を服、ドレス、鎧などへ自在に変化させることができる


以上です〉


華音に装備渡さなきゃなっておもってたけどいらなくなったな。


「ねぇなびさん?これってあたしが思い描く服になるの?」


どうやら服装は変えるらしい。

少し残念である。


〈A:はい、そうなります。変更にはキーワードがあるようです。イメージしながら変更チェンジということによって変わるようです〉


「なびさんありがと!」


すぐ変えるのかと思ったがうーんとうなり始めた。


「よし決めた!『変更チェンジ』」


今度はさっきほどではないが服の方だけが光り始めた。

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