第10話 ミチルの友達
今日から、ゴールデンウィーク。恋人がいれば、恋人と過ごす。友達から誘われれば、友達と遊ぶ。新学期になって最初の少し長い休暇だ。
ピンポンとインターホンが鳴り響く。誰だろうと、俺は、自室を出る。
「はーい」
少し高めの声が、俺の耳に届く。ミチルだ。そして迎え入れたと言うことは…
俺は、急いで、階段を降り、玄関に向かう。
「こんにちは。ミチルさん。」
目の前にいたのは、ミチルと同じくらい可愛い顔立ちの二人だ。
先程、挨拶した女の子は、フリフリのドレスのようなワンピース。
もう一人の子は、まるで、コンビニに行くかのようなラフな格好をしている。
「こんにちは、ミチルさんのお兄さん。僕、花園真昼です。僕は、そうですね。ミチルさんの二番目の理解者ということでしょうか。」
…。
俺は、言葉を失った。
「俺、ミチル君の親友の桃山琉唯です。始めに言っておきますが、俺たちが仲良いのは、お互いのことを理解しているからです。」
ミチルの友達も変わり者だな。反射的にそう思った。もしかして…。
「じゃあ、桃山君は、ミチルが女の子だということを知っているってこと?」
「はい。俺も一様女だし、真昼は、男ですから。」
「えー」
俺は、叫ばずにはいられなかった。なにせ、自分の妹だけが、変わっていると思ったが、他にも同じような同世代の人がいるだなんて。だが、そのおかげなのか、ミチルは、一度も学校に行くことを嫌がらなかった。それだけが、一番なのだから、この二人には、感謝をすべきなのかもしれない。
「ほら。」
二人して元の性の写真を見せる。桃山君は、かわいいし、花園さんは、かっこいい。
「あら、真昼ちゃんに、琉唯君ではないですか。こんにちは。」
数分前の俺の悲鳴を聞いたからなのか、美玲が、部屋から降りてくる。
精一杯の笑顔を向けて。
「日影美玲」
桃山君が、ドスの利いた声を出す。さらに、軽蔑を込めた目で美玲を睨んでいる。花園さんもよく思っていないのか、少しにらんでいる。一体、二人に何をしたのか。また、何があったのか。
「どうして睨むのですか。私、何もしていませんのに。」
美玲が、それでも近づいてくる。だが、ミチルが、美玲の足を止める。
「美玲は、兄貴と遊んでいたらいいよ。その代わり、俺の部屋には、入ってこないで。」
ミチルは、冷たく言い放ち、二階に上がって言った。
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