第8話気まずいおれ・・・

 おれはちょっとした達成感を胸にかんじつつ、廊下に出た。

 しっているやつ、顔をみたことがあるやつが何人かいた。でもあまりしゃべったことのないやつらばっかりだ。後は違う中学のやつ。

 隣のクラスのあいつは体育で一緒になるからちょっとしっている。後は、ちょっと離れたクラスのあいつや、バレー部のあいつといった、ちょっと顔を見たことがあるくらいのやつら。

 これらは全部男子のことで、基本的に女子とはしゃべらない。というかしゃべれない。冴嶋さんの場合は特別であって、おれにとっては特殊な未解読のパターンの一つなんだ。なぜ彼女と話す時だけすらすら言葉が出てくるのかわからない。

 女子にも見たことある子が何人かいた。だが彼女たちと話すことはないだろう。

 おれはそんな顔見知りのやつらに声をかけてみようかなと、一歩踏み出た。だけど、なんだか声のかけづらい雰囲気だったからやっぱりやめた。

 冴嶋さんも誰かおれの知らない女子と話している。

 おれは居心地の悪さを感じながら、廊下になんの意味もなく、人形のように突っ立っていた。

 塾ってこんなのかよ。まるであれだ。歯にはさまったエノキがどうしても取れない時のようなもどかしさに似ているなあ。どうもしってる顔だというのに、みんなに話しかけれそうで話しかけにくいのだ。。。

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