第3話しゃあねーなあ塾にでもいこーか?

 おれは、自転車でちょっと駅前までいったところにある塾の夏期講習に、通うことにした。

 母さんもなにも文句もいわず、黙っていかせてくれた。

 ひどい通知書と、IQテストの結果のせいか、おれはCクラスに入った。下から二番目だ。おれは塾なんて初めてで、ビビりまくっていた。

 塾の名前は、栗谷でんでん塾といって、OLの人がケーキでも食べるようなカフェそっくりの塗装がしてある。花壇のアサガオが、まるでみんながんばって勉強するんだぞというように、勢いよく上を向いている。

 どうしてこの塾に決めたかというと、別にたいした理由もなくなんとなくだ。友達がいるからとか、教え方が上手いからとか、全然そういうのじゃなかった。

 あのカフェっぽくて、シャレた感じがするところがよかったのかもしれない。志望校合格率九十%という看板の赤い文字を見て、ここがカフェじゃなく塾なんだと、やっとわかるくらいだから。。。

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