第4章
第31話『本部防衛戦 1』
外へ出ると、本部外壁の外側は大量の影で埋め尽くされていた
編成の済んだチームから順次出撃し大量のクラス1の迎撃を始めている
「来たの!さっきのやつの声はこっちも聞こえてたでの……
まずはこいつらの数を減らさにゃ始まらんの!」
建物から弥一たちが出てきたのを見つけた玄真が叫ぶ
「えっ!?玄真さん、空飛んでる!?」
驚く颯太が見たのは、風の力で空に浮かび全体を見渡しながら指示を出す玄真の姿だった
「力の使い方次第で出来るよ、颯太だってやろうと思えばやれるはずやで」
「使い方とイメージ次第って事か」
「団蔵はどこにおる?」
空中に浮かぶ玄真に弥一が問いかける
「今は北門で編成の指揮を執って配備を急がせてるでの!
影は周囲におるが北方向からの数が多いでの!」
「引き続き事にあたらせい!玄真は状況を逐次報告
湊と朔弥は東、時雨と颯太は西を頼む
わしは北の奴らの数を減らす!」
「南は私が指揮を執ります」
一行へ駆け寄り声を上げたのは咲だった
「咲姉さん!体は平気なんか?」
「私は心配ありません、南には既に混成で7小隊を編成済みです
敵の勢力は現在クラス1が50前後、2,3がそれぞれ20体と5体程です、こちらで抑えます!」
「わかった、そちらは任せる
湊、時雨、兵たちには数の多い雑魚の処理を優先させ
お主らはクラス3の迎撃を優先せよ」
「「はいっ!」」
「クラス4が来ぬとも限らん、各自奮起せよ!散開!」
弥一の号令とともに各自持ち場へと走る
*****
弥一が北門へ到着し団蔵と合流する
「団蔵、配備状況はどうじゃ?」
「おう、全部隊の7割が出撃済みだ
数の多いこちらに優先して出してる」
「よし、ここはよいから他の所へ部隊を回せ
わしが前線に突っ込む!」
「へへっ業火の弥一復活かい?もう年寄りなんだから無茶するんじゃねぇぜ」
「ぬかせ、機を見て加勢を頼むぞ……紫電の団蔵!」
「まぁた懐かしい事言いやがってよ、老い先短ぇ命ならここが張り時ってやつだ……俺の分も残しとけよ!」
「おうさ!」
そう言い駆け出した弥一を見送り、団蔵は準備を急ぐ部隊へ大声で指示を飛ばす
北門から外へ出ると、横に隊列を組み防衛線を押し上げながら進行していく部隊が見える
弥一は足に気を込めその部隊を飛び越し、クラス1の集団の真上から急降下をかける
「ぬぅうん!」
全身を火の玉の塊として突撃し着地した周囲を吹き飛ばした
「弥一様!」「弥一様が来られたぞー!」
口々に叫ぶ兵たちを鼓舞するように弥一が声を上げた
「皆の者!北の分担はわしが指揮を執る!
一体たりとも討ち漏らすな、業火の弥一……推して参る!」
「「おーーーっ!!」」
怒号のような声と同時に、溢れ出る気を巨大な炎に変え
前方の敵集団へと放つと巨大な爆煙が立ち上った
*****
西側へと走る颯太と時雨は、爆発音と巨大な爆煙に感嘆の声を漏らす
「うわぁ、あれが現役退いたじいさんの力かいな……
さすが、業火の弥一って異名は伊達やなかったんやな」
「ほんとに凄いな……俺たちも急ごう!」
「よっしゃ!」
直ぐに西門へと向き直り2人は駆け出した
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