もう一つの真実へ


 2月15日、バレンタイン翌日と言う事でコンビニでは売れ残りのバレンタイン仕様のチョコがバーゲンセールの対象になっている。

それ以外でもワゴンセールに並んでいる商品は、賞味期限が切れかけていると見せかけて――実はタイアップ作品が終了近くなのでワゴンに並んでいる食玩の部類だった。

「やっぱり――」

 ARゲーム用の端末で調べ物をしていたのはビスマルクだった。

彼女が調べていたのは、とあるプレイヤーのプレイ動画だったのだが――アップされていなかったのである。

動画のアップに関しては個別で設定できるので、基本的には任意である。アップするかアップしないかは個人の裁量次第だ。

中には対戦相手が動画をアップし、そちらが閲覧されている事例もあるのだが――探している人物に限っては、それもない。

 プレイしていなければ、ARゲームが話でログが閲覧できるはずがない。プレイした日も最新は昨日の14日の日付だ。

プレイヤーのログに関して言えば、個人情報が特定される情報は非表示なので――そこから人物が特定される事はない。

その一方で、ARゲームの運営に関しては色々な意味でも議論の的となっている。

「一体、ARゲームで何をしようとしているのか――」

 草加市の聖地巡礼化計画として立ち上げられたとネット上では言われているオケアノスだが、本当にその路線で正しいのか?

あるいは別の何かの意思が存在していると言うのか――真相は不明のままである。



 その状況下で、あるプレイ動画が話題となっていた。一見して、特に問題がないように見えるのだが――。

ちなみに、ジャンルはAR対戦格闘でARパルクールとは無関係のように見える。しかし、とある部分は無関係とは言えない状況になっていた。

【何だこれ――】

【こう言う事が起こるのか?】

【確かにARゲーム以外での体感ゲームでも軽い事故の事例はあったが】

【これが拡散すればARゲームもサービス終了に追い込まれるのでは?】

【格闘技である以上、こう言う事は起こるだろう。驚く事ではない】

【しかし、格ゲーの方が黙っていないだろうな――リアルで炎上しかねない】

 相手プレイヤーのパンチが別プレイヤーの顔面を直撃したというのである。

最終的には軽傷で何とか済んだようで、改めてARアーマーの有効性が証明された事とも言えるだろう。

 しかし、他のプレイヤーが単純に済ませられるかと言うと――そうではなかった。

プレイを見ていた一部勢力がまとめサイトを立ち上げ、ネット上で煽り、炎上させていたのである。

狙いは推しのアイドル人気を上昇させ、他のコンテンツ人気を下げようと言う物で――夢小説等で使われるような演出をリアルで行ったと言えるだろう。

「やはり、一部勢力の狙いはこれか――」

 まるでWEB小説で行われるような描写省略でまとめサイトを特定、地下アイドルの芸能事務所を追い詰めたのは――ダークバハムートだった。

彼は密かに長渡天夜(ながと・てんや)のスカウトを受け、ダークバハムートとして行動を始めたのである。

「まさか、こういう形で――炎上勢力に関与する事になるとは」

 ダークバハムートも周囲の光景を見て――同情する余地などないが、一応は同情するような表情はしていた。

炎上勢力に協力した段階で、芸能事務所の配下になったも同然である。

 そうした炎上勢力によるネット炎上の被害を受けたバハムートを彼は知っていた。だからこそ、彼と同じような人間を増やしてはいけないのである。

後に彼はパルクールプレイヤーは引退し、リズムゲームのプレイヤーに転向したという話を聞く。

「こっちとしては、こういう手段には訴えたくないのだが――」

 ゴリ押しで炎上勢力を鎮圧するのもダークバハムートにとっては苦痛だが、誰かがやらなければ犠牲者が増えていくばかりだ。

だからこそ――彼は決断したのかもしれない。長渡のスカウトに応じたのは――。



 この日、ネット上ではあるまとめ記事が拡散し、話題となっていた。その内容は、何とアカシックレコードについてである。

【アカシックレコードは実在した】

 この一文だけだが拡散の速度を踏まえれば――衝撃のレベルが分かるだろう。

アカシックレコード自体は存在する事自体はネット上でも議論されていたのだが、最近までネット上の百科事典でも実在に関して言及されていなかった。

【この一文だけで、この拡散速度か】

【どれだけ連中はアカシックレコードを信じているのか?】

【これが――】

【アフィリエイト系まとめが拡散しているだけでは?】

【どう考えても、それだけではない。もっと別な勢力も拡散させていると言っていいだろう】

 様々な考えや発言が拡散していき、SNSテロと言っても過言ではない状況を生み出している。

やはり、ネット上でもアカシックレコードの存在を知らせるべきではなかったのでは――という意見も出ていた。

「この情報が拡散するのは時間の問題だったが、それでも――」

 自宅のパソコンで西雲春南(にしぐも・はるな)は一連のまとめ記事を見ているが――その様子は、ネット上の情報を研究している時の目とは違う。

明らかにテンプレ展開のネット炎上に飽きもせずに――と実力行使でネット鎮圧を考えていそうな雰囲気をしていた。

この考え方に関しては、さりげなくだが――ある人物と似ていたのだが、この段階ではその人物と西雲は接触していない。


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