いやです


 リドラーが全治3カ月で入院した。レイは相変わらず、シュンとしているが、シュンとするぐらいなら、やらないで欲しい所ではある。


「テレサさん、ちょっと行って治してきてもらえませんか?」


「わかりました! そんなのお安い御用ですよ」


 役割ができたとあって、意気揚々と出かけていくテレサさん。


 数時間後、2人は無事に帰ってきた。


「ただいま戻ってまいりました」


 あっけらかんと、リドラーが言う。


 うん、元気そうだ。精神的外傷も見受けられない。


「災難だったな、レイ、謝れよ」


「……ごめん……なさい」


 ペコリ。


「……っ」


 殺人的に可愛いっ!


 俺、絶対に許してしまう。


「なにを言っているんだい? 俺の方こそ守れなくてごめんね」


 そう言ってレイの頭を撫でる。


「いや、守るって。リドラー何を言って――「それよりマギさん。早速クエストをこなしたいんですけど」


「ん? ああ、じゃあこれ」


 リドラーに手渡したのは捕獲系クエスト。レイが殺害系しかできないので、必然的に捕獲系クエストが彼の元に。


「わかりました。じゃあ、早速行ってきます」


さすがの物分かりの良さで、身を翻して出て行こうとする。


そんな時、


「私も……行きたい」


!?


「な、何言ってんのレイちゃん?」


君は、自分が言ったことを理解しているのかい?


「殺さず……できるもん」


いやできないがな!


「レイちゃん、いくらなんでもそれはリドラーがーー「いいよー」


・・・


ええええええええええええええっ!?


「リ、リドラー……お前、正気か!?」


「マギさん、先日入院したのは僕の不徳の致すところですが、恐らく事故だったんだと思います。なんらかの原因でボコボコになってーー」


「違うんだよ! だから、レイちゃんに半殺しにされたんだって! 前も、その前も!」


「またまたぁ」


「……っ」


お、恐ろしい。


見事に記憶が飛んでいる。


このままでは、クエストに行く→入院→テレサさんが治療→クエストに行く→入院→テレサが治療という、負のループが繰り返されてしまう。


「テレサさん! なんとか止めてください」


「あら、私なら治しますよ」


な、治す前に止めてやってくださいよ。


「マギさんは心配症だなぁ……じゃあ、行ってきます」


「行かないでくれぇえええええええええっ!」

















結局、リドラーには、退職してもらった(殺される前に)




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る