第3話 テスト
──来てしまった……この日が。
「始めるよ。携帯や荷物は全て廊下に置いたかな? では、スタート!」
五十分の英語のテスト。
英語は苦手ではないが、得意な分野でもない。
しかもこのテストは、学力テストという名でやらされているもの。
このテストをやるだけでどこの大学に入れるぐらいの学力があるかとか、色んなことを事細かに教えてくれる。
実にウザいことをしてくれるな!
先生はお気楽なこった、やれー終われー言うだけで金もらえるんだからな。
こっちは金を払ってまで面倒な『勉強』というものをしなければならないかと思うと、やってられないよなー。
と、馬鹿なことを考えている時に耳を澄まして周りの音を聞いてみる。
「「「「カリカリカリカリカリカリ」」」」
そうでした、今テスト中でした!
自分のテスト用紙を見直すと、まだ一問目もやっていなかった。
学力テストというのは、四択の中から一つ選んで塗りつぶす形式のヤツ。
つまり、少し考えて後はカンで塗るだけでよし!
「さ、塗りつぶすか。後なんふっ!」
時計を見ると、後三分しかなかった。
これはヤバい!
「キーンコーンカーンコーン」
──終わった……二つの意味で。
とりあえず塗った。
が、本当に塗っただけで、カンもいいところだ。
なんてフラグを立てていれば……。
「早く行かないか? もう皆行ったぞ」
「は? どういうことだよ。テスト終わって休み時間の安らぎタイムだろ」
「いや、今から身だしなみ検査が始まるだろう。それは体育館で行われるんだぞ」
早く早くと急かす光をジト目で見ながら、体育館へと向かった。
体育館の中には、他クラスの人もいた。
もう人が並びつつある状況下に従い、俺達も早々と並ぶことにした。
「あれ、石山来てたのか。早いな」
「僕は一番前だからね」
「俺もそうなんだけど、遅れたわ。ははははは」
「笑い事じゃないよ」
軽く睨みつけながら、それでもキッパリ告げる剣闘を見て俺は、身震いをする。
こえーよ、そんなヤツじゃないと思っていたのに……!
悪いのは俺なんですけどね?
「はーい、静かにしなさい」
唐突にマイクで声量を上げた先生がみんなを静まらせようと、声を張り上げる。
それを聞き、うるさかったヤツらも黙り、前を向いた。
静かになった生徒を見て、一呼吸して先生が説明を始めた。
「えー、では身だしなみ検査を始めたいと思います。一組から一旦外に出て、髪色と長さを見る検査。ピアス開けてないかを見る検査をします」
──結果だけ見てみれば、誰一人として引っかかる人はいなかった。
四光生優秀なんかよ。
頭悪い学校が、マナーいいとか……。
翌日、テスト二限分やった。
当然、最悪の結果だった。
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