第11話 嘘の若獅子の夢は紡がれる④

「僕は決してあなたを許さないからな!絶対地獄につき落として...ぐぅ」


「さっさと連れてけ!日が暮れてしまうは!使えねぇーなおい!お前は黙っていろ!止まれ!」


 俺は日本人モード(28歳)でヤマタケの背中に胡坐をかき髪を引っ張る。周りの連中にはどう映ってるだろうな。さぞ極悪非道なやつか頭が狂ってるんじゃないかと思われてるだろうな


「おい!貴様こんな公道で何をさせている!直ちにやめなければ逮捕も止むおえんぞ!」


 普段子供達が馬車馬のごとく働かされてるのはがん無視のくせに公の場でどうどうといたぶっていると警告するのか。公僕はやっぱり偉いねぇ~社会人の鑑だね~。


「申し訳ありません。こんな公の場で失礼だとは重々承知しています。ですがこれには事情があるのです。お話を聞いてくれませんか?」


 俺は営業スマイルと申し訳なさそうにする表情を使い分けながら。相手に同情の感情を誘いかける。


「何があったんですか?事情があるのであれば伺いますよ。」


 俺の変貌ぶりに驚きつつも律儀に聞き返してくる。少しでも正義感がある人間であれば、普通相手が必死に語りかけてこれば応えるものだ、そして聞いた後には相手の意見をのんだ上で思考を整理する。だが俺はそんな生ぬるい会話パターンは用意しない


「私は昨晩祖父であるジロキチおじいちゃん、叔父にこの村のことを伺ったのです。帝国機関の方、あなたのような方たちのおかげで不自由なく安心して暮らせていると伺いました。ありがとうございます。」


「..いえいえこれが私達の仕事であります。秩序を慮る帝国機関として当然であります。」


 やはりそうか。いくら秩序を守らないといけないとはいえここでは限りなく少数であるため、クズヤロウ達に支持しなければ生活できない。正義感は持っていたというところか、だが慢性的な微犯罪行為に目を瞑らなければなければいけない日々が続くとどうだろう。このように口では正義を語っても口では嘘を発言しなければならない。本当につまらない表情だ。


「流石は帝国機関ですね。私は都心部からこちらに一時的に滞在しているのですが、都心部では重犯罪を裏では見過ごすような方たちがやはりいるんですよ。でもこの村では地域に密着ししっかり意見を聞いてくれる優秀な方がいると伺いました。本当にそうであり祖父のいるこの村は安全とわかり安心しました。」


 心配そうに話しながらも、期待を訴えかける。こんな僻地みたいなところに飛ばされたやつだ劣等感がある場合が多い、だから逆にエリートよりも優れているのではと思わせるのは有効な手だ。


「そうでしたか。確かに帝国機関も一枚岩ではありません。深いな思いをさせてしまったことは私がお詫び申し上げます。ですがこの村は我々にお任せください!」


 うれしそうにしやがって。ここでは上から褒められることはないし、爺婆からは文句や無駄な雑談に付き合わされることがしょっちゅうだろ。

 だから禿るんだぞ。いかん上を見ては。笑ってしまう


「ありがとうございます。話が脱線して申し訳ありません。事情のことですが、以前祖父がこの小僧に捕まったと聞いたんです。帝国機関の方に助けてもらい事なきを得たと話していました。ですがまたいつ犯行してくるか分からないと相談を受けたのです。孫としてはなんとかしてやりたいと思うは当然だと思いませんか?」


 さぁここからだこちらの正義がどこまであるかを伝えなければならない。怒りの感情をあらわにする。この捕縛の件はそちらにも非がある。無下にはできまい。


「..そうでございますね。あなたの叔父を危険な目に合わせてしまったことは申しわけありません。ですが暴力行為を認めるわけには...」


 ようし、迷走しているな。感情の右往左往しているのが丸見えだぜ。これは俺の観る目を使用しなくてもわかるがな。


「確かにそのとおりですよね、でもまだあるのです。叔父の畑が遠くにあるのはご存じですよね?。そこで罰としてこの小僧に耕すという名目でチャンスを叔父は優しくも与えていたのです。ご存じでしたか

 ?」


「畑のことは知っています。罰のこともええ知っています。」


 だよな。あの爺さんのことだ当然この捕縛事件をうまく使ってこいつらの弱みを握るだろうな。


「その罰のことなのですが、この小僧はチャンスを与えられているにも関わらず、仕事はさぼり、あまつさえ叔父に向け、..あのクソジジイィ!いい気になりやがって!許さないからな必ず必ずコロシテヤルと口ずさんでいたのです。それは私が偶然聞くことができました。なぁ小僧、そう言ったよな、もう一度あの時の言葉を言え!」


「..あのクソジジイィ!いい気になりやがって!許さないからな必ず..ぐぅ..」


「もういい黙れ!この人殺しが!聞きましたか!この小僧は危険なのです。ですがそれでもこの小僧の命を奪うことは私もとい叔父は望んでいないのです。仕置きが必要だと思いこんな暴挙に出ているのです。反省させるために!それでもダメだとおっしゃるのですか!これはこのような小僧をこれ以上生まないようにとも思いもあるのですよ!」


 俺はこんな演技を繰り返しながらも大胆にアピールをして、注目を集めた。正義がどこにあるのかをハッキリさせるために、ここで抗議をすれば相当な反感を買うだろうな。さて自己犠牲かお前らの秩序選びたい方を選ぶがいい。俺はどちらでも構わない。行き着く先は見えているからな!


「..ん.そうでありましたか。流石はジロキチさんのお孫様だ。立派なお考えに脱帽をしましたよ。短い期間の滞在だと思いますがこの村のためありがとうございます。」


 ひひッははぁッははこれは愉快だな~やっぱり取るよなお前らのいう秩序ってやつをよう!ダメだここで笑ってしまってはいけない。


「ご聡明な決断ありがとうございます。短い期間ですがお互い勤めを果たしましょう!」


 俺は握手を求める。これも大切なことだ。周りにはしっかり合意したことを見せつけられる。


「..はい勤めを..果たしましょう。」


 ものすごい罪悪感を感じてる表情をするじゃないかよ!だがなこれまで子供達はそれ以上に苦しんで来たんだよ!この世界の未来を奪うような真似を俺は決して許さない!


 そして俺は話かける前以上に過激にヤマタケを詰る。


 他の警備隊は当然動かない。なぜならさっき出てきたやつが親であることは分かっていた。仮に下っ端が来ても親を呼ばせる方法は考えていたから面倒がなくなって助かった。


「さて俺の行動で子供達しいてはゴブリンどもはどう動くかな、楽しみだな、ククッまた楽しいショータイムが見れそうだぜ!」

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