第12話 嘘の若獅子の夢は紡がれる⑤

 俺は警備隊から離れたところまでヤマタケを誘導した。


「もう好きにしゃべっていいぞ。お前の愛しミッシーまでは遠いのか?」


 俺は大人一人分をずっと支えてるだろうから流石に限界かと思って気遣う。


「…人気のない場所まで誘導してくれ。さっきの人の村の中にいた。おそらく心配して着いて来ている。」


 ほう〜んじゃあの子がそうなのか。大体はあまり関わり合いになりたくないのか、あの警備隊との話を合いから以降散って行った。だが微かに同行を探ってるやつがいる。女の子に限定すれば1人しかいないからそうなんだろ。


「いやー妬けるねぇ〜心配して着いて来てくれるなんてな。相思相愛ってやつなのかヤマタケ君。青春してるね〜。おじさんに相談してみ!」


 いや〜人の恋話って無性にからかいたくなるよな。このうぶな子供だったら尚更さ。


「絶対にあんただけには相談はしない。命令してみろ。あんたの喉噛みちぎってでも詩歌には手を出させない。」


 こいつ俺が愛しのミッシーまで毒牙にかけようとしてるとか考えてるのか?流石にそんな野暮なことはせんぞ。ミッシーはお前を動かす起爆剤として使うだけだ


「安心しろよ、ナンパくらいはするかもしれんが、俺にとって恋愛の対象はユイ1人だ。どんなに性的に迫られようと俺の意思は揺るがん。」


 俺がユイを悲しませるような真似するわけないだろ。まぁたまには刺激が欲しくってやんちゃしてしまうだけだ。


「良いこと言ってる風だが、ナンパしてる時点でダメだろ!おい大丈夫なんだろうな!絶対に詩歌には手を出すなよ!」


 しつこいなこいつ、どんだけミッシーが大切なんだよ。でもあれをそんなふうに思うってことはこいつやはり。


「撒いたぞ、お前の愛しミッシー以外はついて来ていないから早く呼べ!」


 俺は、ミッシー以外のやつに対しては威嚇し続けていた。流石にあの爺さんも諦めたようだ。まぁ昨日余計なことはするなと忠告しといてやったからな。


「…詩歌が出てきてくれ!大丈夫だから。」


 そう出てきたのは明らかに中学生くらいの女の子だ。そしてヤマタケは高校生くらいには見えるということは。


「お前やっぱりロリコンだったのか。まぁ俺はどんな性癖だろうと寛容に受け止める度量の大きい男だ。だから相談にはいつでも乗ってやるよ。」


 俺はおいたをした子供を説得するような優しい目で語りかけてやる。


「だから絶対相談なんかしない!あんた絶対そういうと思ったぞ!くそ〜こんな屈辱人生で1番‥いや2番目か。関わったのが間違いだな‥ハハ」


 あららヤマタケ君が遠い目をしてる。誰だよこんな顔させたのは。やばい面白すぎる。にやけが収まらない。


「お兄ちゃん。イジメないで下さい。お願いします。」


「へぇ?お兄ちゃんだと!いやいや似てないだろ、でも嘘はついていないな。‥ヤマタケこの子を洗脳いや薬付けかしただろ!話せ!洗いざらい話せ!許さないからな俺は!」


 俺は想定外の自体がこの計画で起きたことに驚いた。問題は誤差の範囲だが。ヤマタケがヤバイやつであるとそもそも根本が間違ってしまう。


「あんたこそ、なんでその選択値がまず出てくるんだ!おかしいだろ!詩歌は義妹なんだよ。家の事情でよく面倒を見てただけだ!」


 なんだと、俺の観る目はやっぱりおかしいのか!こいつ嘘を言ってないぞ!そして俺が持ってる嘘を暴く力も通用しないだと。こいつ本当に


「シスコンだったのか。まぁ妹って可愛いもんだよな。うん。気持ちはすごくわかるようん。だからな俺に相談してくれよ。頼むからさ。お願いだよ」


 俺は心底ホッとはしたが、同時にヤマタケの思いを十分に汲み取り、優しく語りかける。ヤマタケお前は間違っているんだぞと。


「なぁあんた絶対楽しんでるだろこの状況!なぁそうなんだろ!そうだと言ってくれ!お願いだよが真に迫りすぎだろ!確かに好きな子とは言ったが。愛してるわけではないよ!守りたいという一心からの出た言葉だ!」


 そりゃ〜楽しんでるに決まってるだろ。だが結果はつまらんな。いやこればっかりはヤマタケが正しいからこちらが折れよう。嘘は言ってない。だからこそやはりつまらんな愛していてもいいんだぞ。俺は人の愛を否定する資格なぞないのだから。


「分かった分かった。冗談だよ。からかっただけさ。三木 詩歌いやミッシーと呼ぶぞ。初めまして俺はロウチだ。ヤマタケもう自由にしていいぞ。俺を殺したければかかって来てもいい。返り討ちにするだけだからな。」


 そういいながら俺はヤマタケから降りる。ヤマタケは相当疲れているのか、ツッコミ過ぎたのか分からんが息を荒らしながら起き上がる。


「初めまして。私の名前はご存知なんですね。その兄が何をしたか分からないのですが。どうか許して下さい。お願いします。」


 土下座されてしまった。流石に心苦しいものがある。俺は少女を土下座させる趣味はない。


「やめて欲しいか?確かさっきの場所にいたよな。こいつが何をしたのか知っててもそういうってことだよなぁ〜」


「あんた話が違うぞ!手を出さないと‥」


「五月蝿い黙れ!手をあげるような真似はしない。楽しい楽しいゲームがしたいだけさ!」


 すごい睨めつけようだな。本気で殺しに来そうな勢いだ。


「ゲームですか?ゲームで勝てば兄を許してくれるということですか?」


 心細そうな表情だな。だがこればっかりは仕方がない。ヤマタケ1人では無理なのだ。今のこいつでは救えない。


「あぁそうだとも、安心しろこのゲームはミッシーができる範囲で誠意を見せてくれれば、勝ちだ。仮に負けても俺は君に何も要求しない。こいつはどうなるか分からんがな。」


 あぁミッシーがゲームを行なってくれさえすればいい、それだけで目的は達成する。


「分かりました。やります私は何をすればいいんですか?」


 ユイの制約の力はいらん。さぁ新たなゲームの始まりだぁ!愉快で不愉快なショータイムを見せてくれ!


 こうしてシンドウ VS ミッシーのゲームは幕を開く

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