第5話 嘘で始まり終わる世界④

「シンドウさん!いきなりなんですかゲームって、部下にするのは反対です!」


「あれ?いたのかユイ、あまり会話に混ざってこないからいないかと思ったぞ」


あぁ~俺が口開くなって言ったんだっけか。さっきのクズを落としてからの反応から静かだったから、もしやと思ってたが。


「ユイもしかして口を開くなって命令守ってたのか?いいんだよもうお前を省こうなんてやつはいないんだよ混ざっていいんだよ。ユイちゃん。」

俺はかわいそうな子をあやす親の気分で告げてやる


「私を構って貰えないかわいそうな子扱いはやめてください!それと最後のもう一回だけ言ってもらっ...」


「いいかげんゲームのお話に移ってもいいですかね!」


ヤマタケがまたキレた。こいつカルシウム不足なんじゃないかな?


「そのゲームは僕が勝てばこのクズの命を、負ければ僕の命をということですか?フェアじゃない気がしますね。こんなのと同列にされたくありませんから断りますよ。」


わかってないな、こいつは冷静なタイプの人間だ。計画はしっかり立てるがアドリブには弱いのだろう。しかし早とちりもいいところだ、命の取り合いなんて無駄なことはしない。


「まぁ待て。部下と言ってもこの村限定でのことだ。部下として使うのは。俺たちは長くは滞在しない。そして部下に命令する内容もお前が可能な範囲しか言わん。たとえば自爆覚悟でこの村の村長殺めて来いなんて馬鹿なことはさせんよ。」


どいつもこいつも俺が人の命を弄ぶような腐れ外道とでも思っているのかな?いやマジでそんなんじゃないからな。


「負けたら僕に何をさせる気か聞きたいんだけど。」


「それは教えられん。教えられないのはまだ決まってないからだ。このゲームの進行具合によって命令を決めるからな。さぁやるかやらんか早く決めろ。時は金なりというやつだ無駄にしたくはないだろう。」


「ヤマタケ君やめておいた方がいいわよ、あなたじゃ絶対敵わないわシンドウさんに。これはあなたのことを思ってのことよ。誰もここで降りたからといってあなたを責めないし。あなたが捕まらないように私が守ってあげるわ。だからねやめておきましょ。」


ユイは最高だなやっぱり。おそらく本心で心配してるだろうし。捕まらないようにできるだろう。だが空気が読めないとこは美徳であるのかもな。


「..キィ..参加するよ。さぁゲームの詳細を教えろ。絶対に勝ってやるからな!」


だよな..女の子それも美少女のユイにあそこまで心配され、男が引き下がれるわきゃねーわな。頬を染めてしまって本当に気持ち悪いな。全力でつぶしたくなった。


「ユイ制約を発動しろ!参加表明は受理した。」


「はい。これよりシンドウ対ヤマタケ両名の合意の元。制約に元づいた決闘を開始します。ゲームのルールはシンドウさんが決めることとします。」


ユイの魔術の制約が俺とヤマタケにかかる。これで逃げることはできなくなった。

さぁゲームを始めるか。


「なんだよ制約って!僕に何をした。」


「ゲームが終わった後、そんな口約束守るわけないじゃんとか冷めたこと言うつもりはまさかないとは思うが、逃げられたら計画が無駄になるからな。それを守らせる呪いだよ。ちなみに逃げたりしたらどうなるかは試してみるといい。それでも俺は楽しめるからな。」


流石に大人げないとは思っている。今回はする気がないが今の状態は俺が仮に嘘を見抜くゲームしたら。100%勝つのだから。この制約は相手がゲームの対価を払うか認識し参加表明をする。こちら側が同じく対価を払うか認識し参加表明を受理すれば成立する。ぶっちゃけ初見殺しだ。

だからあんなにユイが絶対に勝てないと教えてやっていたのにな。


「くそっ!はめやがって。くぅ制約の存在をすっかり忘れていた。」


「まあまあ..相手が俺で良かったな十分勝ち目はあるゲームルールを用意したから安心しろ。」


優しいなぁ俺は、相手が極悪非道であれば奴隷決定だったぞ。


「何が安心しろだ!絶対あんた友達いないだろ!」


おかしいな最近同じことを聞いた気がする。友達くらいいるからね。友達は少ないか。


「ゲームのルール説明すんぞ!ぐだぐだ言ってないで聞けよ。期間は1週間、そちらの勝利条件はそこのクズを殺せばいい。そし.」


「はぁ?なにを言ってるんだよ殺せばいいなんて余裕だろ。」


ったく興奮しやがってそんな生ぬるいことさせるわけないだろ。


「最後まで聞きやがれ。殺すのには条件があんだよ。7日目になったら殺してもいい。逆にそれより前に殺したらお前の敗北。そして1時間に一発分以上顔面を殴ることとする。寝る時間7時間を考え、寝る前に7発分先に殴ればよしとする。そしてこの場所を変え別の誰も来ない場所に移りお前と爺さんは四六時中一緒にいてもらう。給仕はユイにやらせるから欲しいものがあれば言え、4時間ごとに食べ物や水、タオルは注文して良い。以上とする。」


さぁこの条件下での殺しをお前はできるかな?ヤマタケ


「シンドウさん。その内容はあんまりにも酷すぎるのではないですか?」


ユイは気づいているだろうなこのゲームの本質をな。


「なんだよこのルール確かにきついはきついが、食べ物貰える上にこいつを6日分いたぶれるんだろ。誰も来ないってとこお前がバラすんじゃないのか?」


お前は何もわかっちゃいないな、このゲームのつっこみどころはそんなとこじゃない。


「ユイ空間魔術を使えイメージはこの小屋と同じだ。この空間魔術内を行き来できるのはユイと俺だけだ。俺たち以外が入ったら俺の敗北で構わない。そのかわりユイとは会話は禁止だ。空間内で叫べば通じる。必要なものは出現するようにする。それでいいか?」


俺は妥当である提案を出す。まぁヤマタケにとってはさらに追い込まれることになるだろうが。


「わかったそれなら構わない。ゲームを開始してくれ。」


「わかったゲーム開始を宣言する。早めのリタイヤをオススメしてやるがな。」


こうしてシンドウ VS ヤマタケ の決闘は始まった。

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