水瀬との仲直り

朝起きて、俺は学校に向かった。昨日はぐっすり眠ることができたため、幾分(いくぶん)か気分はいい方だ。最近は先輩たちもあまり話しかけて来なくなった。まぁ、そうだろうな。逆にその方が生活しやすいし、俺的には嬉しいかな。

 学校につき、いつも通り自分の教室にいった。そのまま椅子に座り、持ってきていたイヤホンを耳につけ音楽を聞き始めた。これで周りの声は聞こえることはないだろう。正直、リア充たちの会話は耳に害をもたらす。ただウェイウェイいってるだけで、何が楽しいんだか。

 佐倉先生がきて、皆を静かにさせていた。流石佐倉先生だな。一声で皆静かになっちゃったよ。

 

 「朝のホームルームはじめるぞ」


 そう言って、今日の連絡をしだす。今日はあまり大事な連絡はなかったし、寝るとするかな。俺は静かに目を閉じた。


 ーー午前中の授業をしっかりと受け、今は昼休みだ。ご飯を食べるためいつもの場所に移動した。やっぱ、ここはいいな。風も気持ちいいし、なにより静かだ。心が落ち着く。ゆっくりと自分で作ったご飯を食べる。

 ご飯を食べ終わった俺は、少し眠かったため、横になった。すぐ起きれば問題ないよな。そう思ったが、時間が気になりあまり寝ることができなかった。そうこうしているうちに、昼休みも終わる時間になってしまったため、俺は教室に戻った。

 ーー午後の授業もいつも通り受け、後は帰るだけとなった。帰ろうとして廊下を歩いていたら水瀬に声をかけられた。


 「野雫目くん。なんで私にあんなこと言ったのか、最初はわからなかったよ。でも、学校で野雫目くんといる私たちのことを、悪く言われてたんだよね?だから私たちにあんなこと言ったんだよね?」


 「......」


 俺はなにも言うことができなかった。まったくその通りだったってのもあったが、一番はなんて答えたらいいのかがわからなかった。


 「......あれは俺の本心だ。思ったことをそのまま言っただけで、水瀬たちが悪く言われていたからってわけじゃない」


 「全部嘘だよね?君が優しいってことは知ってるんだからね」


 「俺は、水瀬が思っているほど優しい人間じゃねぇよ」


 「それでも、救われた人もいるんだよ?私も野雫目くんに救われた内の一人なんだからさ。野雫目くんは一人で頑張りすぎだよ。もっと私に頼ってもよかったんだよ?」


 「......そうだったのか」


 俺は、嬉しかった。今まで俺にそんなことを言ってくれた人なんていなかった。それどころか罵倒しかされたことがなかった。だからこの言葉は俺の心に響いた。知らないうちに俺は泣いていたみたいだ。


 「......ありがとな」


 そう言ってもらえて嬉しかったが、それでも俺は水瀬に頼ることはできない。水瀬が傷ついてしまうところをもうみたくないしな。それでも、今は仲直りできたことを喜ぼう。


 「だからさ、これからもよろしくね」


 「こんな面倒な俺だが、よろしく頼む」


 「ほんとに、野雫目くんは面倒のかかる人だよ」


 そう言って俺たちは笑いあっていた。その後は、一緒に帰ろうと言われたが、俺はバイトがあるため、断った。

 俺は、晴れやかな気分でバイトに向かった。

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