初めてのバイト

 バイトをするのは初めてだったため、俺は緊張していた。昨日行って見た限りでは、バイトの先輩方はみな優しい人だ。若い人も多いため、話が合うかもしれないしな。そう考えると、少し楽になってきたぞ。多分最初は皿洗いとかだけだろうしな。はぁ、だるい。働きたくないな。


 「今日からバイトさせてもらう、野雫目光太です。よろしくお願いします」


 「よろしく」


 バイトの人たちから、それぞれ言われた。その中には俺と同じ高校のやつもいた。まあ、いたからって俺にはあんまり関係ないんだがな。


 「君はこの人に色々教えてもらってくれるかな?」


 「はい、わかりました」


 返事をして俺の指導係に任命された人の元に向かった。


 「すみません、店長からあなたの元で学べと言われたので、指導よろしくお願いします」 


 ぼっちで人見知りな俺だが、働くためには何とかしないといけないと思い、頑張って言った。


 「わかりました。私は緑川紫音(みどりかわしおん)って言います。高校三年生です。よろしくお願いします」


 俺の一個上の先輩だったか。確かに。雰囲気とかは今まで見てきた中の先輩たちとは違っていたしな。


 「野雫目光太って言います。高校二年生ですので、タメ語でいいです。よろしくお願いします」


 「よろしく」


 それだけ言って先輩は仕事に戻る。少しツンツンしている人だった。この人に褒められることを第一目標として頑張ろう、そう思った。


 ーーやっているうちに、段々と慣れてくる。今日は皿洗いだけだったが、洗う速度が格段と早くなっていた。他の先輩方からは飲み込みが早いねなんて言われたが、緑川さんには褒められなかった。ていうか、ただ皿洗っただけで褒められるとも思ってなかったがな。

 今日は同じ高校の後輩を見掛けなかったので、バイトが休みだったんだろう。また自己紹介しないといかないのか。だるいなぁ。俺は、一人で落ち込んでいた。そろそろいい時間帯になり、店も終わりに近づいた。

 

 「そろそろ、上がっていいよ。私もこの仕事片付けてから終わるからさ」


 「はい、わかりました。なら、着替えてますね」


 俺は、緑川さんに一言いって、着替えに向かった。


 着替え終ったと同時に、緑川さんも仕事が終わったため、俺は待つことにした。


 「そうそう、今度は皿洗いだけじゃなくて、違うこともやるからね」


 「まじっすか」


 皿洗いだけでも疲れるのに、それ以外のことも頑張らないといけないのか。働くのって大変だなぁ。そんなことを思っていた。

 ーー今日のバイトが終わり、後は帰るだけとなった。俺は、お世話になった緑川さんに挨拶をした。


 「お疲れさまでした、緑川さん。明日もよろしくお願いします」


 「ーーお疲れさま。またよろしくね」


 ボソッと言われたことを聞き取ることができなかった俺は、明日は緑川さんに褒められるように頑張ろう。そう心に決めた。

 

 寮に戻った俺は、疲れていたため風呂に入って寝ることにした。ご飯は食べなくてもどうにかなるだろ。そう思った俺は早速風呂に入った。風呂もシャワーだけにした。風呂から上がり、髪を乾かしてから俺は眠りについた。やはりバイトで疲れていたのか、横になった瞬間に眠ってしまっていた。

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