妹とのお出掛け
朝起きると、隣に彩菜が寝ていた。最初はびっくりしたが、昨日一緒に寝ていたことに気づいた。その勢いで一緒に寝たんだったな。こんなところ親父に見られたら殺されかねない。そう思った俺は、ベットから出ようとしたが、彩菜がずっと俺の手を握っていたため、抜け出すのは無理だった。
気持ち良さそうに寝ている彩菜を起こすのも悪いしな。しょうがない、起きるまでこうしているか。そう思い、時間を確認するがまだ朝が早いことに気づく。まだこんな時間かよ、後起きるまで二時間以上あるじゃねぇかよ。などと一人できれていたが、時間はどうしようもないため、俺は、二度寝することにする。
「いつ見ても可愛い寝顔だよな」
彩菜の顔をみて、無意識に言っていた。言ってから周りを確認した。こんなことを彩菜に聞かれでもしたら、俺は家から出ていくね。だって彩菜には嫌われたくないしな。いかんいかん、早く寝なくてわ。今度こそ寝ることを決意して、彩菜がいる布団に入った。
昨日一緒に寝ている時は感じなかったが、めちゃくちゃいい臭いがする。そこだけを聞けば変態に聞こえてくるが、本当の事だからしょうがない。今まで意識したことなかったが、彩菜も成長しているんだな。お兄ちゃん、嬉しいよ。
段々と眠くなり、気づいた時には寝ていたらしい。二回目起きると、彩菜はもうすでに起きていたみたいだ。それどころか、俺にまたがって起こしている。中三でこんなことしてたら、将来が心配になってくるぜ、まったく。
「なあ彩菜、俺の上からどいてくれないか?」
「だってお兄ちゃん、何度起こしても起きなかったんだもん。だからこうして起こしてるんだよ。いわば罰ゲームなのです!」
全然罰ゲームじゃないんですけど。むしろ俺的には嬉しい。彩菜に起こされたってだけで発狂もんだぜ。寮に行く前は起こしてくれなかったしな。
「お兄ちゃん、彩菜はショッピングに行きたいのです!なので一緒に行こ?」
上目遣いで言ってくる。そんなことをされれば、断るという選択肢は俺の中ではなくなるため、勿論二つ返事でオッケーだ。
「おう、なら早く着替えてこい」
「うん!」
「その前に、親父たちに用があるから、その後でもいいか?」
「別にいいよ!一緒に行ってくれるってだけで嬉しいもん!」
「わかった」
そう言って俺は、親父たちに話をしに行った。
ーー下に降りると既に親父は朝飯を食べていた。
「なあ親父、俺、バイトすることにした。だからこれからは毎回帰ってこれなくなると思うから、彩菜のこと頼んだ」
「そうか。ていうか、お前がバイトするとか、明日は雪が降るんじゃねぇのか?」
親父はげらげらと笑っていた。俺は、真剣な話をしていたため、少し苛立っていた。
「すまんすまん。彩菜のことは任しておけ。あいつ、お前が帰ってこなかっただけで、その休日はずっと部屋にとじ込もっとしまってるからな」
「そうだったのか。まぁ、頼んだわ」
「おう、任しとけ」
親父はとても嬉しそうだった。そりゃそうか、なんたって今まで、全然相手してくれなかった彩菜を独り占めできるとでも思ってるんじゃないか。まあ、構ってもらえる訳がないと思うんだがな。
「それじゃ、行ってくる」
「おう、早く行きやがれ」
しっしと、邪魔なやつを追い払うかのように手を振っていた。なんか腹立つな。そんなことしてるから彩菜に嫌われるんだよ。
「お兄ちゃん?何の話してたの?」
「いや、学校の話をしてただけだぞ?だから彩菜は気にすんな。それより、準備はできたか?」
「うん、ばっちりだよ!」
「よし、なら行くか!」
「うん!レッツゴー!」
どんだけ楽しみにしてたんだよ、この妹は。でもまぁいいか。俺がバイトし始めれば、あまり遊びに行くことも少なくなるしな。休日最後は、とことん付き合ってやるぜ。そう意気込んだ俺であった。
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