またしても1人になった俺は

 「じゃあね、お兄ちゃん。私、お兄ちゃんの妹になったこと、後悔してるんだよ?」


 「待ってくれ彩菜、俺を一人にしないでくれ」


 「一人でかんばって生きーー」

 そこで目を冷ました。嫌な夢を見ていたのか、朝起きると汗でびっしょりだった。

 なんでこんな夢をみてしまったんだ。昨日、あんなことがあったからなのか?などと思いながら俺は、部屋で寝ているであろう咲久野を起こさないように下に降りていった。今回はちゃんと着替えももって下に降りてきた。これで水瀬が泊まっていても大丈夫だろう。


 俺は、誰も下に居ないことを確認して、少し早かったが朝飯を食べる。

 何日振りだろうか、一人でご飯を食べるのは。打ち上げがあった日以来だな。俺は黙々とご飯を食べ、学校に行く準備をした。正直、今は誰にも会いたくなかった。特に咲久野と水瀬にだけは会いたくない。あれだけ酷いことを言ったんだ。もうあわせる顔はないだろう。

 

 「......行ってきます」


 誰かに言ったわけではないが、一応言っておく。俺は学校が始まる一時間前に寮を後にした。時間がまだあるため、俺はコンビニに寄ることにした。

 アイスココアを買い、一息ついていた。アイスココアを飲み干し、俺は遠回りをしながら学校に向かう。一番乗りについたら不味いしな。と思っていたが、すぐに学校についてしまった。

 絶対これ、俺一番乗りじゃん。なんて思っていたが、案外人が来ていた。その事にびっくりしたが、俺には関係ない。俺は鞄をおくなり図書室に向かった。正直リア充たちの会話は聞きたくなかった。

 その点、図書室は素晴らしい。読みたい本を集中して読むことができるしな。俺は持ってきていたラノベを読み始める。


 ーーそろそろ時間になるため、一端本を読むのをやめ、教室に戻った。

 俺が入った途端、なにかを話始めるクラスメイトたち。


 「今日は咲久野さんと来てなかったみたいだね」


 「もしかして、咲久野さんに嫌われたんじゃない?」


 「当然だな。あいつと一緒にいるってだけで、吐き気もんだよな」


 「言えてる笑笑」


 「もしかして、咲久野さんもあいつと同じだったりして」


 「なわけないだろ。多分今までなんも知らなかっただけだろ。やっとあいつが危険人物だってわかったんじゃないのか?」


 「よかったよね。あいつから離れてくれて、ひと安心だよ」


 色々な会話をしていた。全部俺にも聞こえていたため、俺はほっとため息をする。

 よかった。これであいつらは悪く言われることはなくなるだろう。悪く言われるのは俺だけでいいからな。


 ーー昼休みになり、すぐに移動しようとしたが、放送で呼び出しをくらったため、職員室に向かった。


 「失礼します。佐倉先生に呼び出されたのできました」


 「意外と早く来たな。こっちに来て座りたまえ」


 「失礼します」


 そう言って、俺は座る。


 「本題に入るが、昨日、咲久野と水瀬に酷いことを言ったんだってな。なんでそんなことを言ったんだ?」


 「俺が思っていることを言ったまでですよ。ゆうならば、本心ってやつです」


 「それは嘘だな。今までのお前の態度をみているとわかるよ。本当は酷いことを言うつもりはなかったのだろう?」


 「......さあ、どうでしょうかね」


 「まあ、そういうことにしておく。でもな、野雫目、仲直りするなら今のうちだぞ」


 「......」


 俺は言葉をださなかった。仲直りしたいと思っている自分もいたが、これ以上あいつらが傷つくのを見たくないと思っている俺がいる。まあ結局は仲直りなんて無理な話なんだけどな。あいつらがこれ以上傷つくところをみたくないしな。


 「話はそれだけですか?なら俺は戻りますね」

 

 失礼します、といい俺は職員室を後にする。出る直前に佐倉先生はなにか言っていたが、俺には聞こえなかった。 


 昼休みの大半を先生の話で潰れたため、俺はご飯を食べずに午後の授業を受けた。

 

 ーー帰るため、俺は歩きだした。


 「なあ、今日の学校はどうだった?」


 そう聞いても隣から返事はない。はは、一人でなにしてんだろ、俺。独り言みたいになっちまったじゃねーかよ。恥ずかしいなぁ、ちくしょう。

 まあ、昔に戻ったと思えばなんの苦にもならないしな。そんなことを思いながら俺は一人、寮に帰った。

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