体育祭の予行練習
体育祭の二日前、予行練習をする日だった。といっても、流れを通すだけで、実際には競技をしないんだがな。なぜか行進だけはきちんと練習の時間があたえられてるんだよな。絶対おかしいだろ。行進の練習があるなら、競技の練習を、やってもいいだろ。などと思っていた。
「それではこれから予行練習を始めたいと思います。頑張っていきましょう!」
「うぇい!」
随分とやる気がありますね、委員長は。生徒たちもやる気があるのか、皆盛り上がっていた。
まだ体育祭でもないのに、よくこんなにはしゃげるな、こいつら。予行練習するくらいなら、俺なら速攻で家に帰りたいまである。練習したってなにがかわるっていうんだよ、まったく。早くおわんねーかな。こちとら最近妹に会ってなくて苛立ってんだよ。
いかんいかん、落ち着かなければ。これが終われば寮に戻ることが出来る。それまでの辛抱だ。
「まずは100メートル走です。選手は準備してください」
ルール説明が始まり、最初の種目になった。ていうか、100メートルの説明って必要なのかよ。説明なんてなんもないだろ。しかも全員で走るとか、去年も思ったがなめてんだろ。
その後も説明は滞りなく進んだ。トラブルもなくスムーズに進んだた。一時間くらいで終わりそうだな。これで早く帰れる。やったね。
棒倒しの説明に入った。説明はすんなりいっていたのだが、とある生徒が質問していた。
「すみません、選手決めのときも思ってたんですが、棒倒しって危なくないですか?怪我するかもしれないんですよ?」
「それは承知のうえで決めました。先生に聞いて、オッケーがでたので競技に入れました」
「そうですか。それでも、怪我したら誰が責任とるんですか?そこのところ、もう少し考えて決めてほしかったですね」
「そうだそうだ」
生徒の皆から野次がとぶ。確かに、その通りだ。怪我したらどうするきなんだろうな。三年生の運動部の人は、今怪我すると最後の大会に間に合わないだろうな。委員長はなんて答えるのかなと見ていたら
「それは、なるようになります」
などと意味不明なことを言い出した。馬鹿じゃないのかこの委員長は。ここまで無能だったとは知らなかった。
「はぁ、わかりました」
って、納得しちゃうのかよ。質問していた生徒も馬鹿だったんだな。この学校、進学校なのに大丈夫なのか?ちょっと心配になってきたぞ。
ーー少しして、競技の練習時間がもうけられた。芸術科の生徒たちも体育祭には参加するみたいだった。正直俺は、帰りたかったのだが咲久野に呼び止められたため、帰ることができなかった。
「光太、一緒に練習しよ?」
「芸術科の人たちと練習しろよ。俺は、帰りたいんだよ。ていうか、芸術科の人たちってなに組なんだよ」
「私は青組だよ。芸術科は全員青組なんだってさ」
「俺たちは敵同士だろ。一緒に練習してちゃだめ
だろ」
「別にいいじゃん。それとも、なにか嫌なことあるの?」
「別にないが、俺は帰りたいんだよ。頼むから帰らせてくれ」
「......わかった。また寮でね」
落ち込んだかと思ったら、そのまま友達のところに行った。これでやっと帰れる。
喉が渇いたため、俺は自販機に向かった。いつものアイスココアを買い、その場で飲み干す。
甘いな。このくらい甘くないとやっぱだめだよな、などと思っていた。それにしても、明後日は体育祭か。まあ、適当に頑張りますか。そんなことを考えていると寮についてしまった。扉を開けると、誰かがそこに立っていた。
「ただいま、お兄ちゃん!」
なぜかそこには俺の妹がいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます