ひまわり荘に入って初めての休日
今日は寮生活が始まって、初めての休日だった。長い一週間を乗りきり、待ち望んでいた休みだ。今日はなにをしようかなぁと考えていると、隣で寝ていた咲久野が目を覚ました。
「おはよ〜。今日はなにするの?」
「今日か~。今日は特にすることないし、ごろごろしてるかな」
「な、ならさ、私と買い物にいかない?」
お願い!とお辞儀してきたので、仕方なく買い物に行くことにした。一週間もたてば、ある程度は店も覚える。だが、今回は東京の方にいく予定だ。
「荷物持ちなら、任せとけ!」
今日は荷物持ちでもなんでもしてやる!だから明日はやすませてくれよな!と思っていたが、言葉にはださなかった。
「荷物持ちなんて、そんなこと思ってないからね。普通に買い物したいだけだから」
咲久野は焦っておろおろしていた。その姿を見た俺は、面白くて笑っていた。
「なにそんなにおろおろしてんだよ!」
「べ、別におろおろしてなんかないから」
咲久野は早口でそう言い、話終わるとせっせと着替え始めた。だから、ここで着替えるのはやめてくれませんかね。なんかこう、こっちまで恥ずかしくなっちゃうから。それに、反応しちゃうから。だが俺の気持ちは届くことがなく、堂々と俺の前で着替えをしだす。部屋から出ると泣いてしまうので、出ることも許されない。慣れるまで我慢か......って慣れるってことはないと思うんだがな。
俺もめんどーだったが、着替え始める。はあ、だるいな。ああ言ったものの、まじでめんどい。どうにかして抜け出せないものか。などと考えていた。
「逃げようとしても、ダメだからね」
俺の思考を読んでいたのか、そう言われてしまった。俺は内心焦っていた。
「あ、あたりまえでしゅ」
動揺して噛んでしまった。なんで俺の考えていたことがわかるんだ。もしや咲久野はエスパーかなんかなのか?などと思い始めた。ていうか、佐倉先生といい咲久野といいどうして俺の考えてることがわかるんだ?
「どこいこうかなー!」
咲久野は楽しそうにしている。隣ではいかにも落ち込んでいるような雰囲気をかもしだした俺がいた。
「どうしたの?もしかして私と出掛けるの嫌だった?」
咲久野は申し訳なさそうに言った。俺は慌てて嫌じゃないぞ、と言い咲久野の機嫌をとっていた。
「今日は、ショッピングモールに行こうかな。服とかみたいからさ」
「了解」
俺たちは電車やバスを使って移動する。勿論、電車やバスでも隣に座るのは咲久野だ。周りからは恋人のように見えているのだろうが、俺たちは恋人同士ではないため、俺だけがあたふたしていた。ていうか、最近出来た友達と買い物に行けばいいじゃんと思ったが、もうここまで来てしまったためどうすることもできなかった。
「はやくはやく、服見に行こうよ!」
などとはしゃいで、俺の腕を引っ張ってくる。目立つんでやめてくださいお願いします。俺の考えてることわかるならこれも察してください。だが無残にも察してくれなかったどころか、更に腕を絡めてくっついてくる。
こーゆーときだけ何故か察してくれない。おい、その能力はいつ発揮してくれるんだよまったく。使い道ないじゃないか。
胸とか当たってるけど気にしないのか? まぁ俺からしたら役得なのだろうが恥ずかしいのは変わらない。ていうかパーソナルスペース狭すぎだろ!この先思いやられるわ。
ーー渋谷のお店につき、女物の服が沢山あるところにきた俺は、正直その場に居たくなかった。確かにこの空間に男がいるのはおかしいことだろう。でも、咲久野は一人でいることができない。そのため、ずっといないといけないわけで、着替えてる間も近くで待っていないといけない。憂鬱だわ。なんなら今にも通報されそうな勢いなんですけど。店員さん、携帯しまってくださいお願いします。そんな事を気にしてない咲久野はきゃっきゃとはしゃいでいる。
「これとこれ、どっちがいい?」
咲久野は、白を基調とした清楚系なワンピースと肩の露出があるものを持ってきた。
「白のワンピースがいいかな。まあ、よくわからんけども」
「わかった!なら、これ買うね!」
一度も着ていないのにその服を買いに行こうとしたため、俺は慌てて止めた。
「お、おい、まだ一回もその服試着してないよな?着てみたらどうだ?」
「うん!わかった!」
咲久野はそのワンピースをもって試着室に入っていく。俺は着替え終わるのを待っていた。でてきた咲久野は、とても似合っていた。
「どう、かな?」
「似合ってると思うぞ?」
「なら、買おっかな」
一緒に会計までいって、会計をすませる。買い物も一段落ついて、今は休憩中だ。俺はこんな休日も悪くないなと思っていた。
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