先輩方は変な人?!
一緒に部屋にいた咲久野と一緒に向かった。なにか食べるものはないか、と思った俺は冷蔵庫を開けた。野菜とお肉があったので、簡単な料理を作ることにした俺は、そのまま調理にとりかかる。咲久野は最初は黙って見ていたが、一緒に調理したいと思ったのか、手伝いはじめた。俺たちは、二人で料理しているにも関わらず無言だった。それでも俺は、一緒に料理ができてとても嬉しかった。いままでの俺なら、こんな状況ありえなかった。咲久野もそうだったのか、顔が少し赤かった。
ーー料理が出来上がったため、俺たちはテーブルに置いて食べようとした。そこには、寮にいる人たちがいた。俺はびっくりしただけだったが、咲久野だけは違ったみたいだ。なぜか俺の後ろに隠れてしまった咲久野は、俺の服を掴んでいた。
「そんなに怖がらなくてもっ!」
がびーんと効果音が出るくらい、落ち込んでいた。
「じゃあじゃあ、自己紹介するよー!私は
さっきまで落ち込んでいたことが嘘のように、今度は目から☆がでそうだった。やたらテンションが高いため俺は、この先輩はちょっとおかしいと思った。咲久野も俺と同じ考えだったみたいで、苦笑いしていた。でも、せっかく自己紹介されたため、こちらもしないとダメみたいな雰囲気があったため、俺は自己紹介をした。
「俺は、野雫目光太です。よろしくお願いします。綺羅星先輩」
「よろしくねー。野雫目くん!」
綺羅星先輩はニカっと笑っていた。何が面白かったのかはわからんが、一応自己紹介はできた。
「わ、私は
「よろしくねー!咲久野さん!」
これでゆっくりご飯が食べれると思っていた俺だが、そうはいかなかった。
「これから歓迎会するんだもーん!がんばろー!!」
などと意味不明な事を言っていた。いったいこの先輩は何を頑張ろうとしているのか。そもそも、こちらの意思を確認してから歓迎会とかやってもらいたいもんですね。
「もうその辺にしたらどうだ。その二人、困ってるだろ」
そう言って綺羅星先輩の頭を軽くチョップしていた。いったい誰なのだろう。と疑問に思っていた俺だが、これだけははっきり言える。なんてイケメンなんだ!!これだからリア充は困る。砕け散れ。心でそう思ったが口にだして言うことはなかった。
「なんでなんでー。後輩君たちと歓迎会するんだもーん!」
「それをやめろと言っているんだ。頼むから相手の意思を尊重してくれ」
二人はとても仲がいいように見えた。それは俺だけじゃなく咲久野も同じだったのか、俺の耳元でささやいてきた。
「幼馴染みとかなのかな?」
俺の耳元で言われたそれは、緊張して全然聞き取れなかった。そんなことは知らない咲久野は、言い終わった途端、また俺の後ろに隠れた。
どんだけびびってるんだよ。と思った俺だが、口にだすことはなかった。
「そういえば、まだ、自己紹介してなかったね。俺は、
「はぁ、わかりました」
「えー今日歓迎会やらないのー!」
まだ綺羅星先輩は言っていた。どんだけ歓迎会をやりたかったんだよ。つーか、楽しみにしすぎでしょ。
「今日は色々あって疲れたんで、明日、歓迎会やりましょうよ」
歓迎される側の俺が言うのはおかしかったが、そういわないと綺羅星先輩は納得してくれない。そういう先輩だと、すぐにわかった。
「そういや、なんで野雫目はこの寮にきたんだ?なんかやらかしたのか?」
国見先輩は不思議そうに聞いてきた。
「学校の宿題で中学時代を振り返ってという作文を書いたんですよ。その内容が酷すぎたため、寮にいけって言われました」
「災難だったな。まぁこれからよろしくな」
「はい、よろしくお願いします」
そこで先輩との話は終わった。
ーー俺は咲久野と一緒に作った料理を食べ始める。それに見習って、咲久野も食べ始めた。
「野雫目くん!このご飯作ったの君たちだよね?おいしいよー!!」
綺羅星先輩からそう言われ、少し嬉しかった俺だが、なんで感想をいるんだ、と思い周りを確認した。すると、先輩方もご飯を食べていることに気づいた。
「なんで先輩方も食べてるんですか!?」
俺は、疑問に思っていた事を聞いてみた。
「まだ、夜ご飯食べてなかったんだ。悪いな」
言葉では悪いと言っていても、全然悪いと思っていない顔だった。綺羅星にいたっては俺らの話を全く聞いておらず、幸せそうな顔をしている。どうらや、考えてるうちに皆食べ終わっていたため、俺も急いで食べた。
「ご飯を作ったお礼だ。今日は俺が洗っとくから、そこに置いといてくれ」
国見先輩がそういっていたので、俺と咲久野はそれに甘えた。俺たちはその後、風呂に入って寝るだけのはずだったのだが、風呂でも問題が発生した。咲久野は一人で風呂に入れないみたいだった。なんでも一人で居ることができないんだ咲久野は、妹と入っていたみたいだ。俺はふと、疑問に思ったため、聞いてみることにした。
「なんで一人で居ると、泣き出すんだ?」
「私ね、小学校三年生の時、母親を亡くしてるんだ。それも、家に私と母親しか居ないときにだよ。元々持病持ちだった母親は、突然苦しみ出したんだ。私、どうしたらいいのかわかんなくずっと震えて泣いてたんだ。それから、一人になるとなんでかわかんないけど、泣いちゃうんだ」
「そうだったのか。悪い、悲しい過去を聞いてしまって」
「ううん、気にしないで」
咲久野が一人でいると、泣いちゃう理由がわかった。そりゃー家に咲久野と両親しかいなくて、急に倒れればそうなるわな。しかも小学三年生の時だろ?そりゃーそうなって当然だ。
「それで、風呂はどうする?綺羅星先輩と入るか?」
「私、あの人、というか人間が苦手なんだ。すぐ人見知りするし、初対面だと怖がるんだ。だから今日は入らないことにするよ」
まてよ、その理論でいくと、俺も苦手とされているはずだ。でもなんで普通に話せているんだ?まぁ、今はどうでもいいことかと思い、話に戻る。
「それはまずいだろ。女子が毎日風呂に入らないのはきつくないか?」
「でも、どうしようもないじゃん。一緒に入ってくれる人が居ないんだから」
咲久野の口調が強くなったことに気づく。ほんとーは風呂にも入りたいはずだが、我慢しているみたいだった。
「佐倉先生とはいれば?」
俺はいい案だと思い、聞いてみた。ていうか、まだこの寮にいるよね?いなかったらどうしようか?などと考えたが今はそれどころじゃない。
「ーーわかったよ」
そうと決まれば佐倉先生のいる部屋に向かった。
行ったのはいいのだが、そこに佐倉先生の姿はなかった。俺は、なんて使えない先生なんだ、と思った。
「ーーどうする?」
「なら、野雫目君一緒に入ろ?ちゃんと目隠しはしてもらうよ?」
「おい、それはまずいだろ。第一男と入ったらダメだろ」
「だって、それ以外の方法だと入れないもん。だから一緒に入ろ?お願い!!」
上目遣いで聞いてきたため、断りきることができず、渋々一緒に入ることにした。
ーー目隠しをして、咲久野と手を繋いで風呂に入った。前の俺だったら、女子と手を繋いだだけで緊張していたが、今はそれどころじゃない。というか、体育などで女子と手を繋ぐときには、俺は誰とも繋ぐことがなかった。皆俺の事を避けていたため、一人で踊っていた。
「野雫目君、頭から洗うね」
咲久野はなれた手つきで俺の頭を洗いだす。俺は、急に洗いだしたためびっくりした。咲久野の声が、耳元で聞こえてきたため、急に意識してしまった。俺の息子がやばい状態になっていることを咲久野はしるよちもなかった。頭を洗い終わり、咲久野は自分の頭を洗いだす。その間に湯に浸かろうと思い立ち上がったが、彼女はそれを許してくれなかった。
「まだ、体洗ってないよね?なら体洗った後一緒に湯に入ろうよ」
などといってきた。さっきまでの咲久野はいったいなんだったのだろうか。全然態度が違うじゃないか。どうやら髪を洗い終わったのか、今度は俺の体を洗おうとしてきた。
「体は自分で洗うから、体洗うやつ貸して」
「ーーわかった」
流石に咲久野もわかったのだろう。そこは譲ってくれた。目隠しをしているため、表情などはわからなかったが、多分顔を赤くしているのだろう。俺は、体を洗っていたが、背中だけとどかなかった。
「咲久野。悪いんだけど背中洗ってくれねーか」
普段の俺なら考えられないことを口走っていた。そもそも、女子と風呂はいるだけで考えられないんだけどね。
「いいよ!」
そう言って俺から体を洗うやつを受け取った。弱すぎず強すぎず、丁度いいかんじだった。その後俺は泡を全部流し、次は咲久野が洗い始めた。
ーー一緒に風呂に入り、俺の精神は削り取られていた。疲れていた俺は、部屋に戻るなり眠りについた。
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