8回目:時:人生という名の

「覚えてろ!」

 お約束の言葉と共に悪の怪人キラーは去った。

「ありがとう、キーパー!」

 笑顔を湛えた管理職から逃げるようにキーパーは踵を返しオフィスを出る。

 正義のマスクを取り去る頃、同僚が呑気に戻って来た。

「お仕事しますか」

 漏れた溜息をそのままに、出てきたドアへと手をかける。


 *


「ロス指数は37。標準です」

 報告すれば仕事は終了。

 マッチポンプと人は言う。潰して守って様子を見、社員の暇つぶし度を測るのだ。

 キラーが去る瞬間の残念そうな。キーパーが出ていく際の期待外れを責めるような。社員の視線はいつも痛い。

 仕事なのだが。

 ──これもまた人生(KillTime)

 キーパーはいかなる時でも楽しげな同僚の後を、追う。


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