3回目:海:人海戦術
「伝達は以上だ」
「「イエス、マム」」
ブーツの高いヒールをカチリと合わせ、無駄のない直線的な動きで女は男達へ敬礼する。軍服に身を包んだ男達は、声を合わせて敬礼を返す。
「諸君らの健闘を願う」
「解散!」
最前列の男の号令と共に、男達は一斉に回れ右した。
――洗濯網、虫網、籠。
手に手に得物を抱え、ネオン輝く夜の街へと散って行く。
――鰹節、猫缶、マタタビに、スーパーのビニール袋。
最後の一人は子猫大好きもふもふ毛布を抱え直し、女に再び敬礼するとその場を後にした。
残された女は空を見上げる。煙るような真円の赤月が一つ
「待っていろ」
一人呟く。どこかで震えているであろう、
「必ずお前を探し出す」
行方知れずの愛猫を想い。
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