もしかして翻弄されてる? 4

 タカヒロはどんな反応をみせるんだろう……

 もう読んだかなぁ★( ´ Д ` ; ≡ ; ´ Д ` )

 あたふたしてももう遅いけれど、当然ながら落ち着けるワケもなかった。

 ハラハラドキドキしながら返信を待っていると意外にもすぐにメールが返ってきた。

 うぉぉおおおおおお!マジかーー!!? はえーーよーーー‼︎ Σ \(@Д@;)/

 見たいような見たくないような、そんな気持ちで恐る恐るメールを開いた。










 タカヒロ『 分かったよ~(^ ^) 』






 ……。




 …………。




 それ……だけ?

 いや、まぁそーなりますよねw

 イケメン・タカヒロ、あなたは何も間違ってなーいwww

 会ったときに返事がほしいって言われたらそれしか返しようがないものね( ̄∀ ̄ ;)

 つーか素直すぎるべ!

 簡潔すぎるべよ! ٩( ꐦ •̀ з•́)و プン!

 と、思わずツッコミを入れてしまった。





 二人の出勤が被らない日でも私はソワソワしていた。

 たわいのないメールも自重し、今か今かと二人きりになれる機会を待ちわびた。

 そしてタカヒロもようやく時間が作れたみたいで、ゆっくりと返事をもらえる時がやってきた。

 それは二人が営業のラストまで仕事をする日であり、仕事を終えて店外で話をしようという流れになった。

 バイト終わりは朝の5時すぎだし、そんな時間にやってる飲食店はこの街にはない。

 隣の駅までいけば例の居酒屋はあるのだけれど、うるさくない場所の方がいいだろうし、バイト先でもある私の地元で会った方が帰りやすいだろうと、タカヒロが私を気づかってくれた為にこの街に留まることにした。

 全くどこまでもイケメンな人だ。



 タカヒロが指定した待ち合わせ場所は、他店の居酒屋が入っている建物の前だった。

 この街に留まるという事は=やっている店がないので入れない=話は屋外でする事になるので、待ち合わせ場所もおのずと屋外に決まった感じだ。

 私は仕事が終わるとイソイソとそこへ直行した。

 先に着いてしまった私はやることもなくふっと空を見上げた。

 すると、あの時の悪夢とは違って綺麗に澄(す)みわたっていてホッとした。

 タカヒロから『すまん。そっちに着くまで10分少々時間が掛かる。』とメールが届くも、私はそのまま寒空の下で待つことにした。

 しかし私は寒さどころではなく、どんな顔をしてタカヒロに会ったらいいのか分からず、その場を不審者のごとくウロチョロしていた。

 歩いて1分のとろに交番があるのだけれど職務質問されなくて本当に良かったと思うwww( ´ ㅂ ` ;)

 そしてタカヒロからのメールが届いた。










 タカヒロ『 もう少しで着くよ(^ ^) 』





 おおぅ!まだ見えないけどどこだ!?

 不意打ちだけはヤメテくれよぉぉぉ★(((;꒪ꈊ꒪;)))あわわわわ



 まだ会ってもいないのに心臓がドキドキしてきた。

 そして間もなくして、15mくらい先にいるタカヒロを発見した。

 タカヒロは例のグレーのコートを身にまとい、そのポケットに手を突っ込みながら足早に近づいていた。







 うぉぉおおお!

 イケメン王子が私の為にあんなに急いでいるではないですかぁ!! Σ(゜Д゜;)

 私は愚民の分際(ぶんざい)で王子になんて事をさせているのだ★

 ホントにすみませぬぅ!

 私の事なんてどーでもいいのでゆっくりとお近づき遊ばせよぉ!!ヽ( ´ Д ` ; ≡ ; ´ Д ` )丿





 白い息を短く吐きながらタカヒロが到着した。










 実乃果『 時間作ってくれてありがとうねぇ//// 』










 タカヒロ『 いや(^ ^) 』





 それだけ言ったタカヒロは他店の居酒屋へと繋がる外階段を上り、中腹で腰を下ろした。

 この居酒屋はうちらの所よりも大分早くに閉まる為、誰かが通るといった心配もなかった。

 私もタカヒロにつづいて上るけれど、恥ずかしすぎて隣には座れず、タカヒロの一段下に腰を下ろした。

 そしてタカヒロの方を見れないまま、自分の膝を抱えて本題に入った。










 実乃果『 んで、メールの返事なんだけど……。』





 緊張のあまりそれ以上の事は言えなかった。

 メールでちょろっと会話をしたり、バイト先で軽くじゃれ合ったりはしていたけれど、特にそれ以上のアピールをしてこなかった二人。

 だから告白の成功率は五分五分くらいだと思った。

 私はその50%に望みを賭けてタカヒロの言葉を待った。










 タカヒロ『 告白してくれたミノには言わなきゃいけないと思うから言うけど、俺、アサコの事が今も忘れられないんだ。

 っていうかあいつに誤解されたまま別れたから、ヨリを戻してちゃんと最後まで向き合わなくちゃいけないと思うんだ。

 だから…ごめん……。

 好きだって言ってくれたお前にはホント悪いと思ってる。

 けど、こんな俺を好きだって言ってくれたミノの気持ちはすごく嬉しかった。』





 私は玉砕した。

 イケメン・タカヒロは振るときの会話までもイケメンだった。










 実乃果『 そっか……。

 あははは……だよねぇ(*^ ^*)

 タカッチと付き合えない事くらい知ってたよぉwww

 けど……タカッチを好きな気持ちをどーしても伝えたかったんだぁ……。』





 最後に締めた言葉は本音の中の本音だ。

 私は膝を抱えたまま動けなかった。

 次の言葉も行動も見つからない。

 誰か助けてよぉぉ……。





 タカヒロも沈黙のまま動けないでいた。

 しばらくするとタカヒロが立ち上がり、一段下に座っている私の隣に座り直した。

 かと思うと、私の頭をポンポンして、そのまま優しく撫でてきた。

 私は勇気を振り絞り、タカヒロがいる方向へゆっくりと顔を覗かせた。

 すると、タカヒロはなぜだか不安そうな表情でこちらを見ていた。

 タカヒロは無言を保ちながら撫でている私の髪に目をやり、次に、撫でたまま私の目を見つめてきた。

 え?この行動はなに?と思った私は、タカヒロの視線をはずせないままゆっくりと顔を上げた。

 すると次の瞬間、










 ……!!





 タカヒロが私にキスをしてきたのだった。

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