第5話 No.1

彼女はこう言った。"自分の記憶に聞いてください"と。

それはどういう事だろうか。何か意味でもあるような気がするのだがどうすればいいのかわからない。

とにかく俺はここから出た方がいい。そう思い、一歩前へ出ようとする。が 体が動かない。体ってどうやって動かすのだろうか。

全く思い出せない。なぜ俺は機械の体なのだうか。"SPACE PROJECT"とは一体何なのか・・・・・・。

その時、俺の脳内にあの言葉が通った。

"自分の記憶に聞いてください"

自分の記憶に聞く――。もしかして・・・・・・

(体の動かし方を教えてくれ)

俺は自分に問いかけてみた。しかし反応はない。

もっと何かヒントがあるはずだ。何か――

"初期プログラム 実行開始"

突如その声が聞こえた。さっきのAIの声ではない。今度は俺の頭の中から聞こえてきた。

"お帰りなさい。私があなたのパートナーとなるあなた専用AI ジーザスです。あなたに今から動作の仕方を教えます。まずは「チュートリアル開始」と言ってみてください。

(チュートリアル開始)

俺はしぶしぶ呟いてみた。 心の中で。

"では始めます。まず動作の仕方ですが、これはとても簡単で、自分がやりたい動きを心の中で言うだけでいいのです。試しに「歩く」と言ってみてください。

(歩く)

そう思った瞬間、俺は歩き出した。これは便利なのか、それとも不便なのか・・・・・・まだ分からないが、何となく凄いことは分かった。

"他にも、走る、バク転、高速移動、飛ぶ、高くジャンプなど色々ありますので、是非使ってください"

凄い!この世界ではなんでもありなのか!と俺は子供のようにはしゃいでしまった。

(この世界では俺もモテるかもしれない・・・)

"そうかもしれませんね"

それはない。と言っているような言い方でそいつは言った。

"では、次にSPACE PROJECTについてお話します。あなたはこのプロジェクトの1番偉いリーダーです。 みんなあなたの指示について行くでしょう。このプロジェクトでは

人類生存可能惑星を見つけたらあなたたちが調査をしに行き、住める星だとわかれば、そこにまだ眠っている人たちも起こし、その惑星を人類の星にします。人類と言っても、もうこのプロジェクトに入っている人たちはみんな体がないので、意識以外は機械となってしまっていますが、その方が過ごしやすいでしょう。"

体を捨てるとは一体どういう事なのだろうか。俺は聞こうとしたのだが、

"それはまた今度"と言われるだけだった。

"それでは今からあなたにはと会っていただきます。"

と、俺の目の前にナビのようなものが表示された。おそらくこのナビに従うということだろう。俺はとりあえず向かうことにした。



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