第11話 魔法訓練-5
俺とグスタフ君はギルドに戻った、そこには俺達のチーム員が全員で帰りを待ってくれていたようだ。
「「「「「「「お疲れ様でした、」」」」」」
「「只今戻りました、」」
「っで?どうなのよ、飛べるようになったの?」
興味深く聞いてくるのはリエさんだった、おれとグスタフ君はその場で5cm程空中に浮遊する。
「「「「「「「おお!」」」」」」」」
皆が期待と希望の眼差しで俺達を見ていた。
「まだ自由自在に飛ぶって言うのは出来ないけど浮遊する事が出来るようになったんだ」
「明日だよ、明日飛行魔法になるらしい、今日は浮遊魔法って奴らしいんだけどね、これができればあとはサクサク進んでいくらしいよ、」
「「「「「「「「「「うおおおおお」」」」」」」」」」
「ちょっと教官室まで報告に行ってくるので、またあとで」
俺とグスタフ君が揃って教官室へ、
「只今コウとグスタフ戻りました」
「お帰り、どうだった?」ステファニー姐さんが問う
「浮遊出来る様になりました」とグスタフ君が言って浮遊している。
「もう浮遊出来るようになったのか、早いな、まあ浮遊が出来ればあとは移動するだけだしな、コウお前のチーム全員飛行魔法を目指すのか?」マレー教官が言う、
「はい、その予定で今訓練方法を習っています」
「そうか、まあコージィなら下手な事はやらないから大丈夫だろう、それにしても昼から夕方のうちに浮遊まで教えられるんだからな、流石だぜ」
俺達は教官に挨拶を済ませ、ロビーにいる仲間たちの元へ。
「いつから飛行魔法の練習ができるんだい?」ベクターが代表で質問してきた。
「それは明日の仕上がり次第かな、とにかく俺達がちゃんと飛行魔法を覚えて行かないと駄目だから」
「うん、そうだね ちゃんと教え方を覚えて来てね」
俺達は明日の準備をしつつ各自解散していった、
俺は宿に戻りリエさんも一緒に夕飯を摂る事に。
「いつもの今日のお勧め二つお願いしま~す、あと飲み物はコーヒーと紅茶でお願いしますね」
「はいは~い、お勧め2丁にコーヒーと紅茶ですね~」
何時もとは違う間延びしたような感じの男の声が帰って来た。
「あれ?聞いたことのない声だったね」
「そうね」と言いながら厨房の中を覗き込むリエさん
「クマの人が今日のシェフをやってるよ?」
「じゃあ、モーリヤさんちの人かな?」
暫くして料理を運んでくれたのはこの店の真のオーナーセキさんだった、俺初めてマスターを見たよ、何時も見ないから判らなかったんだけどね。
「いつもご利用頂き有難うございます、ゆっくり楽しんで行って下さいね~」
そう言って厨房に戻っていった、
店内が少しざわつき始めた、
「セキさんだ、帰って来てるのか」と常連らしき男が言った。
「じゃあ早速アレを注文しねえと」一緒にいた猫獣人も注文を入れていた。
そうしてると次々に注文が入る、救世主のワンプレートって奴だ、丁度俺達の目の前に置かれた料理がそれだった。
この料理は初代救世主のジュン・コーナが妹であるミケーネ・コーナに何時も作ってあげていた料理との事、
素材はありふれた食材を使って見た目は何の変哲の無いステーキセットなんだけど食べれば判るこの美味さ!肉とチャーハンとサラダが大きなプレートの上にこれでもかって位に乗っていた、流石冒険者定食だよ。 日本でもなかなかこんなに美味いステーキセットは無いよ、食材の良さを十二分に引き出して作られていたんだ、っで価格は1000Gとかなりお値打ちだ。
ゆっくり味わって完食の後リエさんと今日の事について雑談、
「明日は朝からトラネさんの所に行ってくるよ、二人とも飛べるようになり次第採石場に向かって行くから楽しみにしていてね、」
「うん、でもまさか飛べるようになるなんて、」
「そうだよね、でも何で学校で教えて無いんだろう?」
「じゃあ、明日マレー教官に聞いてみるよ」
久々だよ明日って日がこんなにも待ち遠しいのは、俺達は食事も終わり、明日の為に体調を整えつつ早々に部屋に戻って何時もの日課をこなしてから就寝した。
「おはよう、グスタフ君よく眠れた?」
「コウさんおはようございます、あまりねむれなかったですよ~」
俺とグスタフ君は朝7時にギルドで待合わせをして川の傍の鍛冶屋さんまで移動する、
「「おはようございます」」
「やあ、おはよう、まあお茶でも飲んで一服してから始めようか、」そう言って出てきたのはコージィ・コーナさんだった、
「「はい」」 と俺達は緊張しながら返事をする。
「ちょっと質問が有るんですけどよろしいですか?」
「ああ、どうぞ俺の判る事なら何でも答えるよ」
「有難う御座います、実は上級の科目で何故飛行魔法を教えてないのかと言う事なんですけど」
「ああ~それね、覚えられない人が多かったからなんだよ、」
「え?でも僕らはすぐに浮遊出来たようなんですが、」
「それは君たちが信じてくれていたからだよ、」
「では飛行魔法が出来ない人って多いんですか?」
「魔法ってさ精神エネルギーを魔導蟲で魔力に変換して現象を起こしてるって事は理解出来てるかな?」
「「はい」」
「ではその精神エネルギーに不純物が入っていたらどうなると思う?」
「魔法が発動しない?」
「うん、そうなんだ、その不純物って言うのが邪念、つまり飛ぶことを疑う事とかの否定する気持ちって奴なんだよ、これはね、ほんの僅かでも飛ぶことに対して疑うと飛ばないんだ」
「そうなんですか?」
「だから俺は君たちにレクチャーした時殆ど細かい事は言わずに飛んで持ち上げて降りるって事を繰り返したんだよ、ここまでいいかな?」
「「はい」」
「君たちも仲間にレクチャーするならば細心の注意を払ってレクチャーして欲しいんだ、でないとわだかまりが残ってしまって飛べなくなってしまうんだ、」
「はい、細心の注意を払ってレクチャーする事に努めます。」
「浮遊させることが出来ればあとは何とでもなるからね」
「どのようにすればいいんですか?」
「ではちょっと庭に出ようか」
そう言って3人は庭に出た。
「ここで浮遊やってみて、何が有っても魔法を解除しない様にしてね」
「では自分が先にやらせて頂きます」
「コウ君だったね、絶対に魔法は解除しないようにね」
「はい!行きます浮遊魔法!」
「ゲイル!」コージィさんが俺に向かって突風で上昇させた。
「コウ君判ったかい? ちょっとコツを掴めば簡単に出来るようになる、この魔法のキモは浮遊魔法なんだよ」
「あとは風魔法で移動すればいいと言う事なんですね、」
「そうなんだ、これは2系統の魔法の同時発動って事なのは理解できるかな?」
「はい重力を操る為の空間魔法と風魔法を合わせて使うんですね」
「うん、そうなんだよ、っでねこれが出来るって事はもう一つの魔法も使えるって事なんだけど、それは何か判るかな?」
「空間魔法系統といえば、アイテムボックスですか?」
「まあ呼び方は色々有るけれどその認識で大丈夫だよ、ちょっとコツだけ伝えておこうか、あとは採石場に行って練習するといい」
俺はアイテムボックスの使い方のコツって奴のレクチャーを受け礼を言って採石場に向かいながらグスタフ君と飛行しながら会話をする、
「この飛行訓練下手にネタばらしはできないな」
「そうですね邪念が入って心に蟠りを持つと飛べなくなってしまうって言われましたからね」
「今日はベクター君とハンス君の二人に付きっきりで説明しながらやって行こう」
「そうですね、あの二人なら秘密は絶対守ってくれるから良いと思います」
「兎に角教えられる人を増やそう、」
「そうですね、」
俺達は採石場の隅にあるゴーレムの訓練場に来ている、まだ朝の10時ちょっと前だよ、
「みんなおはよう~」
「「もう飛べるようになってるんですか?」」
ベクター君とハンス君がハモッて聞いて来た、俺達は3m位に抑えて飛んできたんだ、
「今日はベクター君とハンス君にこの飛行魔法を覚えてもらうからね、それでできるようになったら」
「「次の子達を教えていくんですね」」
「さすが、よくわかってるね」
「そりゃここテンシンギルドの魔法学校初級からの伝統ですから」ハンス君がニコニコしながら返事をしていた。
「じゃあグスタフ君ちょっと離れた所で落ち着きながらやって行こう」
「はい、はじめは浮遊魔法からですね、」
「この浮遊魔法って言うのは重力空間系の魔法なんだそうだ、先ずはこれをマスターすればいいんだ、それで浮いた体に風魔法をかけて動くようになるわけなんだけど、先に浮遊するって事を覚える為に後ろについて持ち上げるから、浮遊する感覚を掴んで、」
俺とグスタフ君は一人づつ両脇に手を通し何度も上下に移動する、大きな大木の梢の所までゆっくり上っては降りるを繰り返している。
気合いを入れて更に練習しているとハンス君が先に浮き始めた、20分くらい遅れてベクター君も浮遊出来る様になっていた、俺はリエさんを呼んで同じ様に上下に飛んで感覚を掴んでもらう事にする、
「コウ君遊園地でこんな感じのあったよね、」
「ああ~そうだねコレ、何処かで乗ったと思ったら遊園地のアレか~」
「って そんな会話をしている最中にリエさんもう浮いてるんじゃないの?」
「本当だ~もう浮いてる~」
次々と浮遊魔法を使って浮き始めた。
「自分ケンタっす~浮いてるっすよ~」上空でケンタが叫ぶ
「あ~い きゃん~ ふら~い」ラビミとラビノスケも何か叫びながら浮遊していった、
「ぼ、ぼくもういてるんだな」ラビタロウが喜びながら浮いていた、
ロニーとウイルムにミーナさんはグスタフ君ベクター君ハンス君が付きっきりでレクチャーしていたが、ミーナさん浮遊が出来たと思ったらいきなり得意の風魔法で飛行体制に入ってからあっという間に見えなくなった。
皆を見渡して全員飛行魔法が出来た事を確認する。
「みんな集まってくれ!」
俺はチームメイト全員に集合をかけて今の浮遊魔法に関しての大事な事を伝える、
「みんなも理解してると思うんだけど魔法って自分を信じる心が弱くなると魔力が少なくなるのは今までの経験で十分わかってると思うんだ、特にこの浮遊魔法は心の有り様が凄く影響するんだよ、だからこの魔法を人に教えるときは絶対に飛行魔法に対して悪いイメージを伝えない事を心がける様に、それでもしも飛行魔法を覚えたいって言う人が直接言って来たら、マレー教官に相談するようにしてください、決して個人では教えない様に、もし間違った事を伝えてしまったらその人は二度と飛行魔法を使えなくなるかも知れないんだ、解ってくれたかな?」
「「「「「「「「「「「はい、」」」」」」」」」」」
全員の返事を確認してマレー教官に伝えた、
「わかった、俺は飛行魔法が出来ない魔法使いの見本だからな、ステファニーかゴロウに任せるよう伝えておく、」
「ステファニー姐さん飛行魔法が使えるんですか?」
「いや、確か誰からも教わっていなかったと思うぞ、ただアイツは呑み込みが早いからすぐに使えるようになるんじゃないかな?」
「はあ、そうですか」
「そういえば、コウお前は重力空間魔法が使える様になってるんだよな」
「はあ、」
「じゃあ、アイテムボックスの練習はしてるのか?」
「いえ、これからなんです、」
「じゃあお前のチーム皆集合させてくれ、アイテムボックスのコツだけでも伝えておく、」
「はい、すぐ招集します」
今日の授業もあと少しの時間で終了となるんだけど半端にならない様にコツだけ教えてくれるから時間も無駄にならなくていいかも、と 思いながら招集する。
「全員揃いました」
「よ~し集まったな、アイテムボックスだ、コツだけ教えるから各自練習しておくように」
そう言ってコツを伝授された、
「大切にしている物を懐に仕舞う感覚だ!これが一番わかりやすいと思うぞ、さあ やってみろ」
最速で出来たのはラビタロウだった、
「おお、やはりラビタロウが一番だったか」
「え?それはどういう事なんですか?マレー教官。」
「ラビタロウはこの中で一番純真で疑う事をしない子だからな、俺は出来て当然だと思ってる位だ」
体の動きとか思考速度は遅いけど確実にこなして行けるって事を教官として見抜いていたんだろうか、そんな事を思いながら。
「どうだ、全員出来る様になったか?」マレー教官が確認してきた。
俺も全員のアイテムボックスを一人づつ見て見る事に、
「はい!全員できるように成りました。」
「よ~し、ちよっと遅くなったが、昼食の弁当が届いているから各自昼食に入れ、」マレー教官が昼食にする様に促していった。
「え?もうこんな時間になっていたの?」リエさんが呟く、
「ほ、本当なんだな、もう3時過ぎてるんだな、」ラビタロウが懐中時計を懐から出して確認していた、 その姿が不思議の国のウサギに見えたのは俺だけじゃないはずだ。
俺達は遅い昼食をとっていると何だか熱い視線を感じているんだ、その視線の元を辿ってみるとそこにはちょっとだけ見覚えのある人たちがいた。
「あ、あの~コウさん こんにちは、この間身体強化でお世話になったコドワです」
そこにいたのは数日前身体強化が出来なかった4人組と先日身体強化に付き合った二人組がいた、
「どうしたの?何か分からない事でもあったのかな?」 俺は聞いてみた、
「はい、僕たちも飛びたいんです...教えてもらえませんでしょうか?」
「うう~ん、そうか~、それならばマレー教官に相談するといいよ」
そう言ってマレー教官に丸投げしてみる、
「はい、それではマレー教官に聞いてきます、有難う御座いました。」
「早速来たね、みんな!ここでね俺達が教えてしまわない様に意識を統一しないといけないと思うんだ、みんなこれは判ってくれてると思うんだけど、下手な親切心で彼らの未来を潰さない様にしないといけないからね。」
俺はそう言って彼らの後を追い、マレー教官の元へ一緒に行った。
「マレー教官、早速飛行魔法を学びたい生徒6名来ましたので宜しくお願いします、このグループのリーダーコドワ君です、」
「そうか、早速来たか ではやる事が多いが頑張ってみるか?」
「「「「「「はいお願いします」」」」」」
「飛行魔法には向き不向きが有ると言う事を覚えておいてくれ、なので全員が飛行魔法を習得できるとは限らない、しかし本気でそれを望むものは道が開ける!ただひたすら信じて進め!それが出来れば道は開ける、」
「あの身体強化と同じと言う事なんですね?」 コドワ君が問う。
「その通りだ!自分を信じて進め! その前にだ、全科目が出来ないと飛行魔法は使えないのでそれの訓練からだ」とマレー教官
「全員火と水の魔法は使えると思うが、それ以外の魔法を使える様にしなければ先に進めないと言う事なんだよ、」俺が少し説明を追加した、
「全系統が使えないと駄目なんですか?」コドワ君が問う。
「そうだ、それが飛行魔法を使う為に必要な事だからだ、」マレー教官が厳しく諭す、
「わかりました、俺達頑張りますのでご指導宜しくお願いします」
「では最初は土魔法から鍛えていくぞ!」マレー教官が言う、
「「「「「え?土魔法ですか???」」」」
「うむ、これは魔力量の問題になるんだが、土魔法は多くの魔力を必要とする、なので魔力の強化として習得して欲しい」
「教官、質問が有ります、何故魔力量を強化するのでしょう?」コドワが問う
「お前が飛んでいるときに魔力切れを起こした場合どうなると思う?」
「はいっ失礼しました、自分が浅はかでした。」
「他に疑問に思う事が有れば何でも質問してくれ、なければ各自練習に励むように」
「「「「「「はい」」」」」」 そして受講生たちはゴロウ教官の元へ全員走っていった。
ここは採石場の端にあるゴーレム用の練習場、土魔法のエリアとなったこの場所に大量の受講生がいる。
「はい、こっち集まるだよ~、最初は小さなゴーレムを作る事から始めるだよ、」
ゴロウ教官は土魔法の基礎から教えている、
「じゃあ最初はこの位の土人形を作る練習から始めるだよ、」
やはり土魔法は簡単には進まないらしい、
「普通この土人形を動かすのに早い人で1日遅い人は1か月位かかるから、焦らなくてもいいだよ。」
「そんなにかかる人もいるんですか?」
「おう だから人と出来具合の早さはあまり気にしなくていいだよ」
そうしてゆっくりとゴロウさんの土魔法の教室が始まっていった、
俺達はいま山羊獣人とドワーフのハーフであるサリー教官の周りに集まっている、
「サリー教官、治癒魔法を教えてください!」
「はい、い~わよ~」そう言ったかと思った瞬間俺の右手首から先が切られれ落ちていた、
「ぐおおおおおおっ、いきなりですか~っ」俺は精神を落ち着かせるため呪文を唱える、
「オンタタギャトウトハンパヤソワカ オンタタギャトウトハンパヤソワカ オンタタギャトウトハンパヤソワカ」 なんだかこの呪文唱えていると太陽の化身にでもなったような謎の感覚に陥る、
「何とかくっついたんですけどこれでいいんですか?」
「は~い必死さが出ていてよかったわよ~でももう少し早くね、それと呪文無し無詠唱で出来る様になりましょうね~」
サリー教官こええ、うちのチーム員全員ビビって固まってるよ、しかもショートソード抜いてるし、ちらりとグスタフ君をみたんだけど、いきなりグスタフ君の隣にいたベクター君の左腕を切り飛ばした。
「うがああああ~」切り口も鮮やかに飛んでいった左手をハンス君が拾いに行ってサリーさんが酒瓶から強烈な酒を出しそれで切り口を洗う、
「はい、じゃあ次はベクター君ね頑張ってくっ付けて見ようか、遅いと出血多量で死んじゃうから気をつけてね~」
「いや、サリー教官、心の準備も出来てない受講生の腕を切り飛ばすなんて、」
「は~い、ぐだぐだ言っている間に血はどんどん無くなって行くから気をつけてね~」
「ベクター、呪文を唱えて心を落ち着けて血管と神経それと腱を繋いでくっ付けていくんだ骨は最後でも良いからっ」 ハンス君が腕を固定してグスタフ君が補助で入ってきている。
「はいそこ、補助で魔法はかけないでね、掛けたらもう一度切り飛ばしますよ~」
とんでもない教官だったこの人、即死じゃない限り何でも治せるって噂で聞いたことが有るけど、そのレベルから見たらきっと腕の一本や二本切り飛ばされてもなんてこと無いと言う事なんだろうね。
ここで全員後退る、次は誰の腕が飛ぶのかと、サリーさんが再び動く、グスタフ君をじっと見てから動いた、瞬間俺の左腕が飛んだw、
「うおおおおおおお また俺ですか~」
「は~い今度は無詠唱でいってみよ~か」
いや、そんなに明るい感じでいわれても...
一日に二回も腕切り飛ばされるなんて、と思いながら今必死に腕繋げてますよ。
「教官、切り飛ばすときは一声かけてくださいよ~」
「あはは コウ君なら大丈夫と思ったからぁ~ 良い見本となってくれてありがとうねぇ~」
って事で全員腕切り飛ばされましたw流石に自分の腕が切り飛ばされてるから真剣さがハンパないですよ、嫌でもコレ身に付きました、
「は~い、今日の私の講義はこの辺までにしておきますねぇ~それでぇ 明日からなんだけどぉ 一寸でも隙が有ったら切り飛ばしますよぉ~」
今までこの教官 お昼ご飯と脱落者の回収の為の教官かと思っていたんだけど間違いでした、最も注意すべき教官はこの人でしたよ。
何とか本日の講習を修了して俺達はギルドに戻る事にした、
「じゃあこれからギルドに戻って報告してから解散するんだけど今日は全員飛べるようになってるから、飛んで帰らないか?」
「いいですね~じゃあ渡り鳥と同じようにV字飛行でいきますか?」
「そうだね、あれは後ろに連なる人達が楽になるからV字を2班作って行こうか」
俺達はミーナさんを頂点とした第一班と俺が頂点とする第2班と別れて飛んでいく、
ミーナさんの班は滑らかで早く殆ど疲れずに飛んでいった、
え?俺の班?クタクタですよ、遅いしガタガタですコレ
ギルドに到着した、予め打ち合わせていたギルド裏手の練習スペースに降り立つ、すると。
「全員飛べるようになったんだね、おめでとう」
そう言って迎えてくれたのはステファニー姐さんだった、ステファニー姐さんは冒険者に体術を教えていたようだ、
「ステファニー教官、自分も学院で学べば飛行魔法も使えるようになるのでしょうか?」 体術を教わっていた犬獣人の冒険者が質問をしていた、
「そうだね、全員が上手く行くとは限らないけど、その可能性は大きいと思うよ」
犬獣人の冒険者は拳をきつく握りしめ何かを決心したようだった、
「自分明日から魔法学院に入ります!」
「そうかい、いつでも歓迎さ 頑張るんだよ、」
彼はこちらに向かい軽く会釈をして退室していった。
「また新たな生徒さんが来るんですね、」ステファニー姐さんに語りかける。
「そうだね、頑張り屋の彼の事だ、きっと大丈夫だろう、コウ何かあったら彼の事宜しく頼むよ」
『はい、同じギルドの仲間ですからね、では俺達は受付に報告してきます」
そう言って受付カウンターに全員集合して本日の講習修了を告げて解散する事にしたんだけどリエさんからの提案があった、
「今日はお疲れさまでした、全員腕を切り飛ばされて出血も多かったと思います、なので今日はレバー定食を皆で食べに行きませんか?」
「レバーがダメな人っているかな?」
ラビノスケとケンタが手を上げる
「あの匂いが自分だめっす」「ぼくもレバーの匂いダメなんです」
二人ともしょんぼりとした感じで言っていた
「匂いか~じゃあ騙されたと思って来て、あそこのレバー定食なら多分大丈夫だと思うから、もしもそれが食べられないようなら別のに変えてもらうから、とりあえず行ってみない?」
「自分行ってみるっす」 「じゃあぼくも試しにいってみます」
レストランセキで一番奥のテーブルになんとか全員座れたんだ、がちょっと狭かったかな、
「すいませ~ん、オーダーお願いします」
「は~い いらっしゃい~今日は大人数だね~なににします~?」
「今日は全員手首飛んだから血が足りなくなってるんですよ」
「じゃあ、レバー定食でいいかな?匂いがダメな人いる?」
「この子とこの子がレバーの匂いダメなんですよ~」
「はいはい~じゃあちょっと匂い取るように作るからちょっとだけじかんちょうだいね~」
そう言ってセキさんは厨房に戻っていった、
うちらの座っている場所をお客たちが凝視していたんだ、するとカウンタ―席から声がかかった、
「兄さんたち今{手首飛んだ}って言ったのかい?」
「はい、今日の実習でちょっと、それで血が出すぎたからレバー定食の注文を」
「本当に手首を切り飛ばすのかここの魔法学院は...」
「はあ、切り飛ばします...」
それ以降質問は途切れた。
来ましたよレバー定食、牛、豚、鶏の3種類のレバーが分けられて盛り付けされた定食になっていた、よく下拵えされたレバーは嫌な臭いが無くなっている、とても美味いそれでいて食べやすく仕上がっていたんだ、あの二人も残さず完食していた。
俺達は夕食も済みその場で解散となった。
俺は部屋に戻り風呂に入り何時もの日課を繰り返す、又魔力量が上がって来て魔力を消費しきれなくなっているんだ、そこで腕輪から手甲型のアームカバーに交換だ、これを左右腕にはめて魔法を使って湯船に浮いていると眠気が襲って来る、今日はこの辺で眠るとしよう。
続く
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