第3話 魔法使い増殖
エリーと言う名の少女が退出して行った、隣の部屋で魔導蟲の移植作業が有るとの事、今採取した卵で新たな魔法使いが15名程増やす事が出来るとの事だった.
渡辺さんの作業経過はあと3分の1位だ、掌に小さな指が生えて来てる所だ、
「栄養補助食品をどんどん入れてください」ママ先生が言う、
「はい、」っとミミ先生が既に栄養補助食品を投入している所だった、流石親子コンビネーションが良いですね、
開始から4時間、ママ先生が測定して左右の手が同じ大きさになった事を確認、
「最後の作業にかかります」と言って渡辺さんの左腕を丹念に洗っていく、
この作業が不完全だと左手の成長が止まらず、少しサイズが違ってしまうとの事だった、
「渡辺さん手の動き違和感はないですか?」
「素晴らしいですよママ先生、前と全く変わりありません、」
「それは良かったです、」
「「「お疲れさまでした」」」全員からねぎらいの言葉が掛けられた、
「皆さんもお疲れさまでした、有難う御座いました」とママ先生は深々と頭を下げ皆に礼を言って退出していった、
「渡辺さん、手が戻って来て良かったですね、」俺は話しかけた、
「ああ、凄いよなこの世界って、普通だったら左腕が無くなった時点で心折れて何もできなくなる所だぜ、」
「そうですよね、俺もこの世界に来たばかりなんですけど、驚きっぱなしですよ、」
「ああ、そうだろうな、でもこれもあの居酒屋に行かなかったら出来ない体験だったろうからな、カナジさんには感謝しかないよ、」
俺は初めて居酒屋の店主の名前をその時知った、
俺は渡辺さんに聞いてみたんだ、
「この再生治療費って幾らぐらいかかるんですか?」
「ん~そうだな、1000万ギルダンって所だな」
「日本円で1000万ですか、腕の欠損って考えるとかなり安いんですね、」
「そうだな、我々の感覚からすると安いよな、まあ、実際こっちの世界でも安いと思うよ、更に割引特典があるからさ、」
「え?何ですか特典って、」
「こっちの世界ではな、魔導蟲の増産をしているんだよ、魔法が使えるって事はそれだけでも生存率が上げられるんだよ、だから魔法の拡散が当面この世界の目的らしいんだな、っで俺が施術中に15人分の魔導蟲の卵の採取が有ったろ?」
「はい、エリーさんって人が回収してましたね、」
「魔導蟲一人分金貨3枚での買取をして貰えるんだよ、って事は15x30万で450万ギルダン、俺の月収が約500万ギルダンだから欠損部位再生をやってもらっても何とかなっちまうんだな、それに貯金もあるしな、」
「冒険者ってそんなに儲かるんですか?」
「そりゃ命を対価に賭けてるみたいなもんだからな、この位はないとやってらんねえからな、」
随分冒険者は儲かるみたいだ、素材集めや魔物駆除、護衛やら仕事には事欠かないらしい、なんだか楽しそうだな、
「コウさんはまだ教習中だろ?最初の一か月は教習してから一旦向こうに戻って、又こっちに来たら俺達とパーティ組まねえか?」
「こちらこそお願いします、右も左も判らないド新人ですが宜しくお願いします、っでどちらに連絡とかしたらいいんでしょうか?」
「俺達は街はずれに家借りてるからそこに来てくれればいいよ、場所はミンメイさん...ああ副ギルドマスターに聞いてくれればすぐわかるよ」
そう言って渡辺さんはギルドカードで治療費の支払いをして帰っていった、
ふとスマホの時計を見る、23時20分、宿に帰ってシャワーを浴びる事にした、晩飯どうするかな、
「すまないねぇ、火落としちまったからあったかいのは出来ないが、夜食用でおにぎりだったら作れるよ」
宿屋のムムさんがそう言っておにぎりを出してくれた、おにぎり一個鉄貨1枚百円換算だね、3個作ってもらった、銅貨1枚出してお釣りをもらい、201号室に戻って来た。
欠損部位再生か、向こうに行ったらきっと引く手あまたで患者が来るんだろうな、まあ、向こうは向こう、こっちはこっちと割り切っていきますか。
俺はおにぎりを食べながら風呂場で魔法の練習だ、疲れてぐったりするまで火を灯してからシャワーを浴びて就寝だ...
翌朝何時もの時間7:30分に目が覚める、朝食はレストラン・セキのビュッフェスタイルの朝食だ、基本的な所は変えずに食材や手法を替えているから飽きの来ない朝食になっている。
朝食を済ましギルドへ行く、この時間帯はギルド内もある程度落ち着いている、早朝は仕事依頼のボード前が冒険者でごった返す、比較的楽で実入りのいい仕事を選ぶ為だ、そこでちょっとしたトラブルが何時も起きるそうだが、ギルドマスターの一喝でその場はすぐにおさまるらしい、
そんなギルドの待合所で俺はまた人間ウオッチしてるんだ、今日もカッパの人が二人来てる、そのお供には大きなゴブリンがギルドの表に荷車を用意して待っていた、様子を見ていると大きなゴブリンは酒屋に入っていったかと思ったら、ニコニコしながら酒樽を担いで出てきた、それを荷台に乗せてカッパの人を待っているらしい。
昨日のエリーさんがいた、
「フェル、メル、これを家に運んでおいて頂戴ね、作物のタネだからゴブリン達に食べないよう言っておいてね、あと足りない物が有ったらこれで何か買っておいて、それとお母さんに何かお土産買って行ってあげなさいよ、」
と、そんな事を言っていた、どうやらエリーさんはあのカッパの人達と同居しているようだった、
そんなギルドの日常を眺めていると少年が語りかけて来た、
「コウさんおはようございます」
「確か君はグスタフ君だったよね、おはよう、今日も宜しくね」
「はい」と言って軽く会釈をしてからこの場を離れて教室に向かっていった、
そろそろ集合時間かと思いスマホの時計を見ると8:25分だった、いい頃合いの様なので俺も教室に移動した。
「皆さんおはようございます、」
「「「「おはようございます」」」」
「え~っとグスタフ君は明日から中級クラスに移動ですね、今日は初級の最後の授業となります」
「早いな、もう一週間経っちゃったのか」グスタフ君が言う
「初級は一週間で基本訓練をやるだけですからね、中級からが本当の魔法使いの訓練になりますから気を引き締めて行ってくださいね、」
「はい、それでは新しいお友達を紹介しますね、今日は3名です、みんな仲良くしてくださいね、」
そこには兎獣人の子供が3人いた、
「じゃあ自己紹介して下さい、」先生が言うと、
「僕の名前はラビ・ラビノスケです、皆さん宜しくお願いします、」
「私はラビ・ラビミです、宜しく」
「ぼ、ぼくのなまえは、ラビ・ラビタロウなんだな、よ、よろしくおねがいするんだな、」
「シイタケ農家のラビさんちの御兄弟ですね、皆仲よくね」先生はそう言って授業を始めて行った、
入学して一週間、キッチリ基本をレクチャーされ次に新しく入学してきた猫獣人の子に俺がグスタフ君に説明された事と似たような事を言っていた、
こうやってギルドの新人研修授業は過ぎていくんだ、そして俺は明日から中級講座に入る。
翌日、俺はギルドの待合所にいる、隣に座っているのはグスタフ君だ。
「やあ、おはよう、グスタフ君、初日は何をするのか教えてくれる?」
「おはようございます、コウさん、初日はって言うか毎日の様なんですが体力強化ですね、筋トレとか、マラソンとかがメインですよ、」
「そうなんだ、大変そうだね、」
「そうですね、身体強化の魔法が使えないと上級に行けませんからね~、身体強化魔法が使えればすぐに上級に上がれるそうですよ、」
「そうなんだ、頑張ればすぐに上級のクラスに移動して本格的な実践魔法の練習になるんだ、」
「はい!だから僕一生懸命頑張ってるんです」
そう言ってグスタフ君は笑顔で答えていた、
教官二人が現れた、
「中級クラスはこっちに集合」と、タイガーマスクが言う
まあ、タイガーマスクってのは俺の心の中での愛称なんだけどね。
「上級クラスはこっちだ!」狼男が吠える、
俺はタイガーマスクの元に行く
「お前が今日から中級クラスか、中級は実力が有ればすぐにでも上級に上がれるが、資格を満たせない奴はずっと中級のままになってしまうからな、気合い入れて行けよ!」
「「「「「はい」」」」」」大変良い返事が返って来る、まさにコレ体育系だね。
そして俺たちは中級コースのカリキュラムをこなしていった。
続く
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