第11話

大樹が私のことを一番に考えて

大切にしてくれてるってわかってた

……わかってたのに


「大樹…今日、こっちで寝てもいい?」


「何だよー、栞ちゃん、淋しくて眠れないのか?」


「もう、バカにしないでよー。

……うん、でも、ほんとに淋しい」


俯いて呟くように言った私の方を向かず、そっぽ向いて彼は言った


「お前なぁ、ずるいよ」


ふて腐れたように言う彼の声に後ずさりした


「ごめん、やっぱり、あっちで寝るね」


「もう、無理」


そう言ったかと思うと強引に私の腕を引っ張って、ベッドに押し倒した



「栞…」


真っ直ぐに見下ろす彼の目

鋭くて…でも優しい

あー、大樹の目だぁ


その瞬間、私の心が彼に引き寄せられるように、

あの頃に戻った


大樹の柔らかい唇が鼻先に触れた


「たい…き…」


「何も考えないで…俺だけを感じて」


Tシャツの裾から彼の手がゆっくりと上がってきて、脱がされていく

下着はとらず、少しずらして胸の敏感なところを舌と指で丁寧に刺激される


もう、それだけで堪らなくなって、身体が仰け反ってしまう


「やっ、大樹、ねっ、私…」


「どうした?」


「私の身体…変わった?」


私の問いかけに急に荒っぽくなった彼は勢いよく自分の着ている物を脱ぎ捨て

私を何も纏わない姿にした


「きゃっ」


「栞は…変わってない。綺麗だよ」


全身をなぞるように手を這わせていく


彼の首に手を回すと深いキスが降ってくる

既に溢れているところを指で攻められる


「…っ、あっ」


「しお…りは、ここが…弱い」



知り尽くされた私の身体

何も言わず、彼はゆっくりと入ってきた

大樹の汗ばんだ腕をぎゅっと掴んだ


小さく呻くように声を上げ、達した




現実と過去という不確かな間(はざま)の中

あなたと繋がった体温を確かに感じていた









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