第2話
午前10時
「ここが有名なんでも屋のタートルハウス(仮)か・・・」
タートルハウス(仮)の前で1人の高校生が立っていた。
(ああ入るの怖いなぁ、でも行くしかない!)
高校生はインターホンを鳴らし、ドアを開けた。
「あのー、すいませーん!」
「・・・」
(あれ?誰もいないのかな?でも玄関は普通に空いてるしな・・・)
「すいませーーーーん!!!!」
「ああはいはい。そんな大きな声で呼ばなくていいのに〜」
(あ、従業員の人かな?なんか細いな・・・)
「あ、すいません、依頼をしたくて来たのですが・・・」
「ああ依頼ですね。ではこっちのリビングにどうぞ。」
(広い家だなぁ。部屋がたくさんある。あ、ここがリビングか、やっぱり広いな。)
「では改めまして、私はこのタートルハウス(仮)のリーダーをしております、颯太と言います。以後、よろしく。」
「あ、よろしくお願いします。」
「あなたのお名前は?」
「あ、弘樹です。青村弘樹です。高校生です。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
(なんか優しそうな人だなぁ。)
「それでは、さっそく依頼の話といきましょうか。あーでも内容と依頼料によっては受けない事があるので、ご了承くださいな。」
「あ、はい、じゃあ依頼なんですけども、」
「はいはい。」
「実は、最近よく誰かに後をつけられている感覚があるんです。警察に相談しても、つけている相手も見た事もないし、実際何かされた訳でもないから何も出来ないと言われてしまって・・・でも、感じるんです!さっきもここに来るまで後ろにいる感覚がしましたし・・・」
「ほお、後をつけられている・・・っと。」
颯太は紙に情報を書いていた。
「弘樹さん。」
「は、はい。」
「あなた感知系の能力をお持ちだったりはしてませんか?」
「はい。微力ですが能力を感知する力はあります。でも、何の能力なのかまでは感知できないです。」
「なるほど・・・何もされていないけど明らかに後はつけられている感覚はすると。恐らく姿を消す能力を使っているかもしれませんね。あなたは姿は見えないが、偶然感知の能力を持っていて、その存在に気づいている。と考えるのが妥当かと思われますね。」
「なるほど・・・」
「しばらくの間、うちのメンバーにボディーガードをつけたりすることもできますがいかがいたしますか?依頼料によりますが。」
「あ、ではボディーガードで。あと、もし犯人が分かるなら捕まえてほしいです!」
「わかりました。ではとりあえず1週間はガードをつけさせてもらいます。残りのメンバーで犯人の捜索は行いますので。」
「お願いします。あ、それで依頼料なんですけど・・・」
弘樹は鞄から少しシワの入った紙に包まれた物を取り出した。
「これでお願いします。」
「ああ、お金を紙で包んでいるんですね。では開けさせてもらいますね。・・・ん?なるほど・・・ほお、札束3つ、300万でございますかぁ。」
「はい。これだけあれば足りますかね?」
「もちろんですとも!こちらの依頼を喜んで引き受けましょう!あ、この件は家の方は知っているのですか?先程高校生と仰っていましたが。」
「一応知ってますが相手にされませんでした。」
「なるほど、一応保護者に黙ってこの依頼を引き受ける事もできますが、いかがいたしますか?」
「はい。それでお願いします。」
「わかりました。では必ず期待にお応えしましょう。では早速今から帰りまでうちのメンバーを1人つけさせましょう。」
「あ、本当ですか?助かります!」
「おーい、柊斗!さっきから依頼聞いてただろ?この人のガード頼んだぞー。」
「うーす。」
(え?他に人がいたの?この人1人だけいるのかと思った・・・)
「では、お気をつけてお帰りください。」
「あ、あの!」
「なんですか?」
「改めて聞きますけど、本当に僕の依頼、引き受けてくれるんですか?」
「はい!必ず。あなたをお守りいたします。
では、あとはお任せください。」
「・・・はい。」
弘樹は柊斗と家に帰っていった。
「・・・よし、とりあえずいるメンバー全員集合!」
颯太の号令で昭二、周吉、竜輝、達郎が集まった
「いいか、今回の依頼は全員気合い入れていくぞ。必ず依頼人を守る。」
「依頼内容はなんだったんですか?」
「ああ、内容の確認するか、依頼内容は–––」
午後1時
弘樹と柊斗は帰りながら話をしていた
「あの、有り難いです。一緒についていってもらってくれて。」
「全然大丈夫!!それよりも、どう?感覚ある?」
「はい。電車を降りた辺りから少し感じてます。でも、もう少ししたら住宅街に入るんです。そしたら気配も消えるんですよね。」
「なるほど。」
「あ、家が見えました。ここで大丈夫です。気配も消えました。」
「分かった。何かあったらこの番号に電話してくれ。」
「ありがとうございます。」
弘樹の家の前で柊斗は帰っていった。
「さてと、とりあえず無事着いたことを颯太に電話しなきゃ。」
プルルルル––––
「あいもしもし。」
「あ、颯太?とりあえず依頼人は送ったから。あと、ちゃんと電話番号も教えておいた。」
「うい、ご苦労さん。ならこっち帰ってきてくれ。どれくらい時間かかる?」
「まあ電車とか乗ってきたから1時間くらいかな。」
「なるほどなるほど。じゃあそのまま帰ってきてくれ。よろしく。」
「はいよ!」
午後2時
柊斗がタートルハウス(仮)に帰ってきて、颯太が集合をかけていた。
「よし、とりあえずここ数日は依頼人のガードを柊斗に任せる。犯人の捜索は俺と昭二と竜輝と周吉でやるから。そして、個人的に頼んだ事はしっかりやってくれよ。以上! 」
こうして弘樹の保護生活が始まった
依頼から2日目
この日弘樹は一日中家にいたと連絡があり特に問題はなかった。
颯太達も弘樹の周辺を調べていた。
「ねえねえ、颯太!」
「どした竜輝」
「多分これは依頼人についての情報と思うけど、」
「ん・・・おお!でかした竜輝!お前よくこれ手に入れたな!あとは予定通り行くだけだな!」
依頼から3日目
この日、颯太が弘樹に電話をかけていた。
「あ、弘樹さんですか?」
「はい。弘樹ですけど・・・」
「1つ聞くのを忘れていたのですが、あなたの周りの人間関係に何か心当たりはありませんか?」
「いえ、特には。僕は友達がいませんから・・・」
「なるほど・・・わかりました。ありがとうございます。では今後もお気をつけください何かあればうちのメンバーが向かいますので。」
「はい、ありがとうございます。」
依頼から4日目
午後3時
プルルルル––––
「もしもし。」
「あ、颯太さんですか?!」
「はい、颯太ですよ。」
「さっき僕の携帯に変な電話がかかってきたんです!"後ろをつけていたのは分かっていただろ、今日の夜8時にセンターシティの外にある黒山展望台にお前が依頼をした連中を全員一緒連れて来い。来なければお前を殺すって。」
「ほお、小学生が言いそうな脅しですなぁ。まあでもこれは捕まえるチャンスですね。」
「それで、警察を呼べばその時点でどうなっても知らないぞと言われたんです。」
「なるほど。では大至急、こちらへ来てください。交通費は出しますので。」
「あ、はい、わかりました。」
午後5時
タートルハウス(仮)に弘樹が到着した
「すいませーん。」
「お、きたきた。」
「あれ?颯太さんだけですか?」
「ええそうですよ。では今から向かいましょうか。ウエストシティへ。」
「え、今からですか?しかもなんでウエストシティへ?」
「まあお気になさらず。もうこちらの準備はできているので」
午後7時
センターシティから西に遠く離れた場所にウエストシティがある。
シティとはいうものの街自体はそんなに賑わってはおらず、居酒屋や、バーが多い街である。颯太達はシティの中にある潰れた居酒屋の前にいた。
「あの、颯太さん。」
「ん?どうしました?」
「何故ウエストシティへ?」
「ん?ああ、なんとなくですよ。」
「ええ?!なんとなく?!」
「はい。なんとなくです。」
「そんな、もうすぐ8時ですよ!!このままじゃ、このままじゃ・・・う、うぅ!僕はどうしたら・・・」
「ああ、そんなに泣きながら怖がらなくてももう大丈夫ですよ。というか、黒山展望台に行ってたらあなたが襲われてましたよ。」
「・・・え?」
「展望台には早くからうちのメンバーが行ってます。そしてもう敵は倒したとさっき連絡が来ました。」
「な、さっきから何を言っているんですか?」
「あーそうねぇ、まあ落ち着いて聞いてくださいね。とりあえずあなたを脅かしていた連中はもう潰しました。今あなたの後をつけている人以外ね。そして家族も全員無事だと連絡がありました。後は警察に任せましょう。」
「え?ほ、ほんと・・・う・・にでずが?」
「はい。」
「ああ・・良かった。よがっだぁ!!」
「ではとりあえず今から最後の1人潰しますね。それで全て終わりです。」
「あ、ああでも颯太さん見えるんですか?僕もさっきからうっすらしか感知できてないのに。」
「ああ、あなたが依頼に来た時から隠れてる位置なんて分かってましたよこんなヘタクソ能力。とりあえず1発で仕留めますから。よーし、ちょいと気合い入れちゃおうかなぁ!」
颯太が力を込めた途端、颯太の左手の拳の周りに風が集まり始め、やがて球体となり颯太の拳を包み込んだ
「?!な、なんだこれ?スゴイ、僕の弱い感知能力でも強い力を感知できる!こんな能力者がいるんだ・・・」
「さあて。さっさと終わらせろうかね。あ、危ないので動かないでくださいね。」
「え・・・?」
「おんどらぁぁぁ!!!!」
颯太が拳を弘樹の後ろにてを突き出した途端、拳についていた風の球体が破裂した。
バゴォォォン!!
「ウグッ!!あああ!!!」
「うわ!いきなり人が出てきた!」
吹き飛んだ男は潰れた居酒屋の看板にぶつかって倒れていた。
「こいつ、さっきからステルス使って俺を何度もナイフで刺してきやがってたよ。まあ風で壁作ってたからいいけど。」
「え、刺されてたんだ・・・」
「まあとりあえずこれで解決かな。後はあなたが警察行って話ししてくれば終わりです。頑張ってください。あ、今回は依頼料はいりません。あと最初にもらった300万もニセ札でしたからあいつらに返しますね。」
「え、あ、あの・・・」
「とりあえずお疲れ様でした!!」
「は、はい。」
この後、集団は全員警察に逮捕された。
そして颯太達も事件関係者として、警察に聴取を受けた。
午後11時
タートルハウス(仮)
「いやー、大変だったなあ今回は!みんなご苦労さん!」
「そうですね。お疲れ様でした。」
「今回1番裏で働いたの僕じゃない?」
「そうかもね(笑)」
「認めたくねーな、お前が1番働いたって」
「えー、昭二ひどいな。」
「自分もボディガード頑張ったぞ!あと家の見張り!・・・でも、俺だけ細かい内容知らなかったんだけど?」
「あー柊斗は話わからなそうだから話さなかったんだよ。リーダーの勘てやつだな。」
「いや、自分そんなに馬鹿じゃないぞ!細かい事教えてくれ!」
「なら柊斗のためにリーダーが直々に説明してやろうかね。」
「お願いします!」
「まぁお前も弘樹さんが誰かから後ろをつけられているのは知ってるよな。そんで依頼があって数日経った時に弘樹さんに黒山展望台に来いっていう電話がかかってきたんだよ。まあその電話がかかることは竜輝が相手の住処見つけて張り込んでもらったお陰で知ってたんだけどな。」
「ああそこまでは知ってたよ。」
「なんだ知ってるのか。あ、でも弘樹さんもその電話がかかってくるのは知ってたんだよ。」
「え!そうなの?!」
「ああ、弘樹さんの家族はあの集団に拉致されてたんだよ。んで、集団は家族を捕まえてる事を使って弘樹さんを俺達のとこへ行くように命令した。
それから俺らに近づいた後、弘樹さんはを電話がかかってきたと言って俺達と一緒に展望台に来るように仕組むようにさせた。そして俺らが展望台に着いたら弘樹さんと一緒に俺らを仕留めようとしたってわけ。」
「なるほど。」
「そして調べてみたらよ、どうやらこの集団俺らが昔コテンパンにした麻薬密売組織の残党だったらしい。そんで俺らを誘き出すために気弱そうな弘樹さんの家族を拉致して脅したって訳よ。」
「じゃあ全部は俺らを仕留める為に弘樹さん達は巻き込まれたのかぁ。」
「そうなるな。」
「なんか申し訳ないな・・・」
「お前が謝る必要はない。悪いのはあいつらだ。結局弘樹さん達は無事だったんだ。」
「ああ、そうだね。」
「でもお前のそういう所はとてもいい所さ。」
「うん・・・ありがとう!」
「まあついでに言うと弘樹さんが脅されてるのは柊斗以外は最初から知ってたんだ。」
「ええ?!そうなの?で、でもなんで最初から知ってたんだ?」
「依頼に来た時、お金を包んだ紙に書いてあったんだよ。"実は今脅されてここに来ています。助けてください。あなた達だけが頼りなんです。"ってな。」
「でもわざわざ紙に書かなくても直接伝えれば良かったじゃないか。」
「それじゃダメだったんだよ。弘樹さんが依頼に来た時からずっとハウスの中に能力者が弘樹さんの後ろいて話を聞いていたからな。恐らく監視役だろうな。本当は速攻ぶっ飛ばそうと思ったんだけど弘樹さんに何かあったらいけないから見て見ぬ振りしてたんだよ。」
「なるほど。」
「まあそういうことだ。黙ってて悪かった。」
「大丈夫さ!」
「あ、そういえば颯太。」
「どした昭二?」
「弘樹さんの家族がお礼をしたいとか言ってたけど何かもらったのか?」
「いや、貰ってないよ。俺は今回依頼金もお礼も貰わないって決めて依頼を受けたからな。」
「へえ、お前にしては珍しいな。」
「なんだ昭二金が欲しかったかなぁ?」
「そういう訳じゃねーよ!」
「分かってるよ〜まあ次受ける依頼はお金ちゃんと貰おうかねー!とりあえず今日は眠い!寝ろう!」
深夜1時
颯太たちが寝ているタートルハウス(仮)の前に2人の女子がいた。
「・・・深夜になった。」
「そういえば深夜に帰ってくるの初めてじゃないっすかね?」
「・・・初めて。」
「アヤメちゃん、もう眠たそうっすね。」
「・・・うん、眠い。雅は眠くないの?」
「私も眠いっすよ〜。まあ、とりあえず中入って寝ましょうよ!それがいいっすよ!」
「・・・そうする。」
HEROES かまぼこ @UNADON
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