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「桜のリキュールってちょっと桜餅みたいな味がしますね」

 分かる。そんでめっちゃ桜餅食べたくなるんだよね。

「お気に召して頂けましたか?」

 問うてみると、響子さんは右肩を頬に寄せながらコクンと頷いた。

「はい、もちろん。とっても飲みやすくて美味しいです。マリさんにも教えなきゃ」

「ふふ」

 響子さん、反応がいちいち可愛いなぁ。ザ・女の子って感じで、フワフワした森ガールファッションともピッタリ似合っていて。男が想像する可愛い女の子って、きっと響子さんみたいなことを言うんだろう。ぶりっ子じゃなくて、素直な可愛さ、みたいな。

「そういえば。これ、マスター見てくださいよ」

「どうしたんですか?」

 小首を傾げて訊いてみると、響子さんはバッグからスマホを取り出して画面を見せる。そこに表示されていたものを見て、一瞬固まってしまった。

「クマのカフェラテ・・・ですか?」

「そうなんです! 凄いでしょう!」

 興奮気味にそう言ってくる響子さん。だが、俺はそれをあなたよりも早くに見ているんだよ。

 あぁあぁ、なるほど。そういうことか。ハーン。

「いつも行っているカフェがあるんですけど、そこの店長さんと最近仲が良くて」

「ふんふん」

「この間、まだ商品化していないけど、試作品で良かったらって、出してくれたのがこのクマちゃんのラテアートなんですっ」

「それはそれは」

「とっても可愛いでしょう? ふふ、自慢しちゃってごめんなさい。でも、本当に凄く可愛いから誰かに見て欲しくて。そのうちメニューになるようなので、マスターもぜひ! この商店街にある、森のクマさんってカフェなんですけれど、って男の方には可愛すぎましたでしょうか?」

 いやいや、そんなことないですとも。まさかこんな身近な所に答えが潜んでいたなんて。

「それでは今度行ってみることにします。こう見えて私、可愛い物は大好きなんですよ」

 春の使者として本当に動ける時が来たかもしれない、なんてね。

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