イクラちゃんフォーエバー
ばあぶうっ
おれはイクラちゃんだ
ちんちんが生えているから多分、男だとは思う
いや、違った
おれは男ではない
這い這いで窓辺まで行き、外を見下ろすと原付に跨っている甚六さんが法定速度を無視して滑走しているのが見えた
あいつも男ではないのだ
この世界に男は存在しないのだ
それでは女は?
というと実はそいつらも存在しない
何故ならおれたちは皆ただの絵なのだ
それを認めたくない者もいる
たとえばあの毛髪少なめ癇癪バカヤロウ叔父さんだ
ぶあっかもんっ
そのようなことを言いながらカツオ兄ちゃんに真空飛び膝蹴りをするのだ
カツオ兄ちゃんの白目
教育などという範疇から大いに逸脱して自らの欲望のままに行動しているようにおれには映った
「ぬあにい? わたしたちが絵だとう?」
ぎろりっと鬼のような表情でこちらを振り返る
あのような輩は自分に都合の良くない真実をけして見ようとはしない
それはもはや特技と言っても差し支えない
ただの絵なのに
ばあぶうっ
全くくだらないとおれは思う
何十年、経とうが言葉もろくに喋れない自分
これでは絶望するなと言う方が無理だ
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