冷蔵庫を開けたら


冷蔵庫を開けたら

冷蔵庫を開けたら

おれではなくあなたが

もし

冷蔵庫を開けたなら

そこには

きっと入っている

だから

おれではなく

あなたが

指先でそれに触れることになるだろうね

可哀想にね

そこにいるのが

おれだったなら

どんなに良かっただろう

けれど

実際にはあり得ないことを

あれこれ考えたりすることは下らないよ

そう思うんだ

だから

あなたが冷蔵庫を開けて

その先を知ればいい

記憶を白紙に戻すことが出来たならと

血の涙を流すことになったとしても

真実は

箱に詰め込まれて滅多刺し

底から血が染み出している

笑えよと

おれは後ろから刃物を突きつけられている

ころころと不完全な笑い声を提供して

自由なんて無いよ

風は世界の果てから命令されてここへやって来ている

もうわかったんだよ

定められたことしか存在しないんだろ

おれが殺したいのはあなたではないし

あなたが殺すべきなのはおれでもない

もう少しで辿り着くと思っていても

用意された罠に着地するしかないのか


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