手当たり次第ぶん殴って殺した

手当たり次第ぶん殴って殺した

「お前は誰だ?」

そう問いかけたい気持ちを堪えて

扉を開けた

ますますいた

ますます元気に増殖しているようだった

太陽の光を浴びて勝手に増えるらしかった

お前らは葉っぱか

おれは手当たり次第ぶん殴って殺すことにした

他にやることが無いのだ

だからそれを使命にすることにした

じゃじゃあーん

これからおれはとにかく手当たり次第ぶん殴って殺すのだ

そういった存在になることに決めた

うんざりしながらも自分、以外にそれを任せることが出来ないのだ

はあと

溜息をついて

けれど隙無く徹底的に残さずぶん殴って殺すのだ

ぶん殴って殺す以外の方法を試みたこともあった

寝つきが悪かった

やはりぶん殴って殺さなくては

先人の教えを無視するなど愚かな行為だった

試行錯誤は散々、行なわれ既に結論は導き出されている

それを疑うなどあってはならないことだ

教科書にも載っている

ぶん殴って殺せと

時々、自分は一体、何をやっているのだろうと疑問を抱くときもある

まあその最中だってぶん殴って殺しているわけだからもはや止められないのだが

考えるという行為は二流のやることだと最近よく思う

自分ぐらいになるとただ本能の赴くまま選び取った選択肢が正解となっている場合が非常に多い

ぶん殴って殺せ

今日も朝からおれの心がそう囁き出す

まだコーンフレークを食べている最中だから少し待ってろと言ってもお構いなし

ぶん殴って殺せぶん殴って殺せぶん殴って殺せ

これではもうぶん殴って殺すしかない

酸素を吸う

そんなことをやっていないで早くぶん殴って殺せ

「んもー」

おれはそのようなことをぷんぷんと呟いてぶん殴って殺す

ぶん殴って殺す

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