出血多量

罠があって

それを目視して

けしてそこには落ちはしまいと自分に言い聞かせ

気が付けば落下している

下から空を見上げている

つまり罠があって

問題は欠陥が内側に潜んでいるということだ

「まあいいか」

出血多量で

そろそろ死にそうなのだが

わたしはそう思った

もう何もかもに飽きてきたところだ

だいたいわかった

そこから大幅に外れることもあるまい

ときめきの無い世界

ただ肺呼吸を繰り返すだけの日々

ここで中途半端のまま

全て終わってしまうのも悪くないかもな

そんな風に思った

かつての自分には信じられないことだった

夢があり

あの綺麗な虹の橋を渡ることすら可能だと

本気で信じ切っていたあの頃

もう戻れやしない

今はただ何も言わず去ってしまうのもいいかななんて

明日の朝に自分がいなくても

なんの不都合も無いだろう

みんなうまくやればいい

うまくやろうと努力すればいいさ

わたしはもう階段を昇っても下っている感覚しかない

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