玉座

瞳を閉じて

ようやく思い出せる

大切な筈だったことを

遠ざかる前に

手を伸ばせ

一瞬の躊躇が

永遠の別れを示唆する

視界に満ちる

不快なものの全てを

心の中で皆殺しにして

ようやくわたしは

自分を取り戻す

した

とても愉快な気分だ

不純物を取り除き隔離する季節

瞳を閉じて

忘れていたものを

取り戻すのさ

その輪郭を

どうして今までそれを失くして生きていられたのだろう

思っていたよりは簡単だった

かつての自分はまだこの胸の内に生きていた

ざまあないね

世界の泣き顔がよく見えるこの場所で

わたしは玉座に座って

これからの顛末を眺めている

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