銃殺刑

壊れた皿を見つめる

そこに乗っかっていたものを思い出す

確かあれはふわふわしていた

だが実際にはそうではなかった

記憶は都合よく捏造された

少しはましな人生だったと思いたいように

真っ白な皿だった

傷はあまり無かったように思う

きれいだったが

何処にでもある普通の皿だ

それがある日、割れた

誰かの手が滑りその足元で真っ二つになった

ふう

あまり結論を急ぐのは良くない

一直線に進む過程でそぎ落とされてしまうものがあるからな

 皿は割れた

だからもうそれは過去だ

過去に起こった出来事に頭を悩ませるのは愚か者のやることだ

このわたしにはいつだって未来しか見えない

お前だってそうするべきさ

反論は許さない

口答えするのなら頭に銃口を突き付けられてからにしてほしい

それでもお前は自分の意志を貫けるのか?

銃口を突き付けてもわたしはよそ見をする

風の行方を探っているのだ

まだ動けないお前

何かを間違った気がしているのはお前だけではない

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