わたしが瞳を閉じたとき

わたしの瞳の閉じた先に映ったものが

わたしの瞳の裏に紛れ込んだから

わたしは瞳を閉じたまま笑ったけれど

わたしの瞳の閉じた先に映ったものは

わたしの瞳の奥から逃れられないから

わたしの瞳の牢獄の中で悶えて

わたしの瞳の澄んだまるで湖のような場所で

わたしの瞳の真っ暗な夜に

わたしの瞳以外の場所に脱出したくて

わたしの瞳から切り離されようと努力したけれど

わたしの瞳がそれを逃がさないから

わたしの瞳の中で永遠に隷属

わたしの瞳の表面の潤いから逃れることが出来ない

わたしの瞳を携えてわたしは笑って

やがてお互いの意思疎通は困難を究め

わたしの瞳とわたしは戦争するかもしれないけれど

わたしは絶対に負ける気がしない

何故ならわたしはわたしの瞳に勝つことが出来ると思っているから

わたしの瞳をくり抜いて掌で遊ばせて

わたしの瞳が映すわたしの顔に映るわたしの映るわたしの真っ黒な暗いわたしの穴が

瞳を震えさせるのだ

おい

よく見ろ

お前の帰る場所などもう何処にも無いのだと

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る