ぽえみーちゃん

雨矢健太郎

皆殺しの日々

おれがさっき観た映画の中で

おれが一番いいなと思った奴が

おれに向かってこんなことを言った

「おれは本当はただの役者だ」

おれは一時停止ボタンを押して

少し考えたかったけど

そいつに一時停止は通用しなかった

本物の人間だったから

おーけー

おれは大体、理解した

全てを把握する必要なんて無いんだ

そこのところを勘違いしてる奴が多すぎる

おれたちはちょっと利口な猿だ

「あんたスパイダーマンって奴だろ?」

おれは尋ねた

「ちがうね」

即答された

「そんな奴はこの世界には存在しないんだよ」

どうやらそいつが言うには壁を伝って飛んだり跳ねたりしているのはしーじーという奴らしかった

これにはがっかりだ

思わずときめきを返してくれと思った

おれは言った

「じゃあさ、あんたらみたいなのはみんな詐欺なのか?」

画面の向こうのそいつは少し黙ってから答えた

「いや………時間停止もののアダルト映像があるだろ? あれだけは本当だ」

固まった女たちの中で唯一、自分勝手に動き回りいやらしい行為に精を出すあの男たちだけは本当に時を止めているのだそうだ。

おれは取り敢えず自分か、世界を爆破するための危険物を作成するために設計図を書き始めた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る