第6話 コンビニさんのオススメ
「では。 その子は―――ウチの生徒かい?」
とある二年生の男子と草むしりをする仲というか
会って、話してばかりらしい。
「んー、まあそうなんじゃあないすか……知らんけど」
大して興味もなさそうな口ぶりに―――意外性を感じる。
もっと何かあると思ったが。
もっとも、そのコンビニさんとやらが、どういった、どの程度の友人なのかは知らないが。
高校生であること以外、その人物のイメージが出来ない。
週刊少年跳躍で連載中のマンガ、「
「アイツ、マジでわかってねえよ」
彼あるいは彼女の話をするとき、草むしりの少年は草をむしった草をバシバシと地面に、レンガに叩く。
環境音にかき消され、散った土が落ちる音までは聞こえなかったが、けっこうな勢いで飛んだ。
彼が握っている草が、風を切り
……いまは花壇の付近を作業することに集中するとしよう。
「つまりアイツは、線が綺麗な……もっと言えばかっこいい男と可愛らしー女が並んでいれば、そのコマでもう……良いマンガだとカン違いしているわけだな!」
「はは……は」
笑いつつ、一応……そんな間抜けな返ししかできない私。
彼にとってはこだわりが徹底してしまう、大切な話のようだ。
「そこじゃあねーだろ、そこはスッカラカンなんだよ」
そんなことはないと思うがね。
「本当、わかってねーんだあの女」
どうやら女子らしい。
おやおや。
で、ふと思い出したようにそのマンガを呟いた。
「『
どうもコメディ作品らしい。
ダイナソーラブコメディというジャンルだ……ジャンルなのか、それは?
そんなジャンル、実在するとは……戸惑いしか覚えない私。
若い子の流行はよくわからぬ。
……うん、そう思うことにしよう
「ドキド……? え、なんて?なんて言うんだい」
「『土器土器!マンモス学園』……あ、でも漢字は違うかもしれないです」
口頭で聞いたからうろ覚えだとかなんとか。
「はっきり言って舐めていましたね。不覚です。ノーマークでした、いやあ少女漫画にもギャグがキレッキレの人がいるのは知っていたんですが、知っていたんですよ?でもたぶんこの作者は天才か、変態のどちらかです」
身振り手振りが激しくなる彼だが、しどろもどろに、きょろきょろと視線を散らす。私も、このころには彼の行動の端々、意味をだいたい把握していた。
ネタがばれるのを避けたいのだ。
伝えたい思いはあれど、全てを教えるのは不親切だと思っているらしい。
私は色々と思考を巡らせ、最終的には嬉しくなり―――。
「今度見てみるよ」
「絶対ですよ!」
「見れたら見る」
眉を八の字に曲げる家くん。
「見ましょうね? それ見ない言い方ですよ絶対!」
「あー、うん、うん見る見る、近いうちに見るよ本当だよ」
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