第14話 イラストコンテスト
私がいつも絵を描いているサイトでは、近いうちに、コンテストが開催される予定だった。
イラストのコンテスト。
新しく出版される、小説のキャラクターを表紙に載せる、そのイラストレーターを募集しているらしい。
私は、それのために筆を
コンテストに―――いつも参加しているような努力家では、無い私。
初めて。
自分の描いたキャラクターを出すのは、初めてのことだ。
私はペンタブに向かっている。
ビビッドな、ポスターカラー染みた髪色の女の子だ―――というのは小説での、主人公から見た印象。
他にも彼女についての文字での特徴、地の文はそのサイトに掲載されている。
それをもとに、彼女のデザインを確立する。
名前はそのまんま、ビビ。
私は彼女をビビちゃんを可愛くする作業に没頭した。
「グランプリ、取れるか………わからないけれど、近づく―――」
今まではシュウくん―――好きな漫画のキャラクターを描いていた。
でも今、私は、創る。
模写ではなく、イチから創る。
可愛さを―――描き上げる。
自信はないはずだった―――なにせ初陣だし、私の絵がサイトのランキングに載ったことは無いに等しかったのだ。
けれど、今の私は、前向きだった―――今までよりは。
「うっわ。『
「え?本当?」
「うんうん―――参ったな、先週の展開とか神がかっていて面白かったのに、あそこで次週に持ち越すかよ、その次週が休みなのかよ」
「私も見たかったなあ―――ちなみに誰が好き?」
「え?ジイさんしかないだろ、爺さん一択っ」
「ええ?孫だよ―――」
何気に好きなキャラが一致したことは少ないコンビニおとことコンビニさんであった。
チームワークゼロ。
チームワーク………かどうかはわからないけれど。
「―――だってあの時なんて、あのシーンなんてほら、G地区のタワーに上がってさ―――ジイさんがライフル持つだろ?その時―――」
コンビニおとこに。
私のコンテスト参加の件は言わなかった。
毎日がしがし、ビビちゃんを描いていることを。
言う必要はない。
そもそも彼に関係はないのだが―――それでも、言ったらどうなるだろうか。
私がペンタブを手に毎日絵を描いていることを言ったら―――どうなのだろう、批評するかなぁ。
いつものように、マンガ読みとして批評するだろうか。
リアリティがないとか必殺技がダサいとか明らかに噛ませキャラだとか登場して二ページ後には主人公にやられて床に転がっていそうなキャラだとか、言うのかなぁ。
「ていうか
「先週のでしょう?アレひどかったよねー」
「そういうパワーアップは求めてないんだよな―――」
「いいじゃない、面白いし」
言ってから、何故か笑ってしまった。
なんだか、こんな性格だったかなぁ、私。
最近良い方に変わった?
コンビニおとこが、少し疑問を含んだ視線になった。
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