第13話 金髪の女の子を描くのさ
コンビニおとこが好きな作品は、どれも面白かった。
のかもしれない。
ただしあの男の趣味はストーリーの方面、その傾向があった。
そのため、私にとってはちょっと無理めな絵柄の作品を、食い入るように見つめているときがあった。
ん?
別に文句はないですよ。
私、描くしか能がない子だからさ。
そういう人もいるんだーって、思います。
私が持っていないものをもっているんだなぁと思います。
私は描きたい派だから。
私がコミックを買うときは、お話がそれほど好きじゃないマンガを、買うこともある。
描いていて胸が躍る
そう思ったら買い、だ。
お持ち帰り確定である。
私はそういう視点で見ているから―――ううむ。
ひとそれぞれだよね。
ただ、自分がやや特殊なマンガの、そう―――見かたをしているのかもしれない、と思う。
「でも、このキャラはやっぱりいいにゃあ」
以前、マンガおとこ―――マンガおとこじゃなかったゴメン―――コンビニおとこに教えてもらったマンガだった。
特殊部隊に所属していて軍隊格闘をやってきたという年上の女性が
本国でいろいろあった彼女は、ドタバタと家出同然で主人公の男のコの家を頼って押し掛けて来るというストーリー。
ここまではラブコメとしての要素も
なにせ彼女は実戦を潜り抜けている。
ボクシングやジークンドーを経験した凶悪犯罪者と実際に事件現場で対峙し、重火器を用いずに相手の格闘術の弱点を見極め、拘束、確保したことがあるという―――いや、ラブコメじゃねーなこれは。
どうみてもラブい感じじゃない。
あと主人公の男の子が彼女の戦いに巻き込まれ、
はい、完全にラブコメじゃないです。
彼女は日本人の血もちょっと混じっているということらしいが、まあ基本、アメリカだもんね。
金髪ブロンドの、オネーチャンなのだ。
あめーりか。
ふろむ、ゆないてっど・すていつ!
「もしやコンビニおとこは、金髪派なのだろうか………!」
ものは試しと、呟いてみる。
声に出して数秒後、異常に恥ずかしくなってきた。
部屋で一人で爆笑した。
ううむ、気持ち悪いぞ、私。
さあ、気持ち悪い女だぁ!
「気を取り直して、とりあえず描いて
ペンタブレットに手を伸ばす私。
金髪のおねーちゃんを描くのは楽しいのだ。
うん、やっぱり日本人っぽい
私も日本人だからねー、でも金髪、金髪はいいのよ。
別腹だ。
金髪きら、きらん。
可愛い顔のうえにさ、太陽が乗っかってるみたい。
それと食べ物っぽい――――蜂蜜みたいなのよね。
蜂蜜ぶっかけた焼きたてのトーストと、金髪美女は似てるのよん。
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