第8話


.....どのくらい前のことだったかな。


兄と、肌を重ねた夜に2人で小さな欠片を用意した。


........あまい、あまい、お砂糖に、毒を。


それはいくつもの同じ形の結晶の中に紛れて、いつかこの甘い世界が終わる時の小道具になる。


ヒロが選ぶかも。


私が選ぶかも。


.......誰かが、選ぶかも。


私とヒロ。どちらかが選んだら、そこでこの物語はジ・エンド。


神様はきっといない。きっと、いない。

.....もしいたとしても、神様は誰よりも残酷。


だってヒロと私を、兄と妹にした。


「.......ヒロ」


動かなくなった彼の前で動けない私達は手を繋いだまま、私は愛しい人の名前を呼んだ。


「うん」


ヒロが頷く。


「......ねえ、外に、出てみない?」


ヒロがゆっくりと私の方を向く。

キュッと手に力を込めて、言う。


「.......いこう」


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