第2話 最低の上司を抹殺したい・・・
二番目の客が俺の店に入って来た。
「職場の
今度の客も変な奴だ。しかも、かなり
「まあ、少し落ち着いて。その最低野郎のことを詳しく教えてくれ」
俺は、客を
「私の上司は、私に仕事の改善提案を出せと要求します。でも、いつも私の提案を
「えっ、それはひどいなあ。でも、そういう上司はどこにでもいるんじゃないか?」
「そんなことはないですよ。いつもいつも、ひどいことをするんです。こんな上司がどこにでもいたら、あちこちで
この客は、俺の占いを利用して、上司を
「うーん、最低野郎がひどいことをする理由を知りたいな。あんたは、その上司の心の中を
「いやです。最低野郎の心の中なんて、
客は、顔をくちゃくちゃにして、
この客は、殺したいほど上司を
しかし、この客を冷静にさせる方法はいくらでもある。
「あっ、天井が落ちてくる!」
客が天井に目を向けた瞬間に、俺は目の前にいる客に
「後ろを見てみろ、中年男が何かブツブツ言ってるぞ」
客は
「えーっ、課長だ!」
そして、客は
「なんで、最低野郎がここにいるんですか?」
俺は、笑顔を作って、客を安心させた。
「あんたに上司の
客はかなり混乱した表情を見せたが、おとなしく上司の独り言を聞き始めた。
「あーっ、また、あいつの提案を否定してしまった。あの提案は悪くないんだが、あいつの声が
客の上司は、苦しそうにため息をついた。
そして、うらめしそうな表情で、また独り言を始める。
「部長が悪いんだ。『あいつを高く評価するな。その理由は言えないが、想像するのは君の自由だ』なんて、
上司の独り言を聞いて、
「どうだ、上司の心の中は覗いてみなきゃ、わからないだろう」
しかし、客は冷静になるどころか、ブルブル
「うおーっ、あいつは、課長は・・・
俺は、客の視野を広げてやりたくなった。
「ちょっと待て。課長は最低野郎だが、部長はどうなんだい?」
「あーっ、部長は、課長に理不尽なことをさせている、汚い最低の・・・最低野郎だあ!」
客は、大声で
そして、数分間、
「じゃあ、あんたの将来を占ってみよう。その前に言っておくが、俺は二十年後の未来から来た占い師だ。
客は、うつむいたまま、力なく答えた。
「『利来堂(リクルドー)』という、小さな会社です」
「おー、その会社は二十年後には有名企業になっている。たしか、この新聞にリクルドーの新社長の写真が
「じゃあ、占う前にその新社長の写真を見せてください」
「いや、そんなことをしたら占いの意味が無くなってしまうから、今は見せられない」
「そうか、二十年後の新聞に書いてある通りに占えば、その占いが当たったことになるからだ」
「そうじゃない。あんたは、あの写真は見ない方がいい」
「えっ、まさか、あの最低野郎が新社長に?あんな奴、死んでしまえばいいのに!」
「待てよ、早まるな!『
「うーっ、あんな奴、殺す価値もない。あんな課長も部長も最低野郎の会社なんて、もう、
そう言って、客は自分の感情を必死に
俺は、客に聞こえないことがわかっているのに、占いの結果をつぶやいた。
「あんたは、今の会社を辞めて、様々な経験をする。まさに、
それでも必死に自分の能力を高め、十年後に起業する。
その後、
そして二十年後、大企業になっていた最低野郎の会社を買収して、あんたが新社長になる・・・それで、あんたが幸せと思えるかは、あんた次第だ・・・」
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