第2話灰色の男、善き光の街、出会い




 「思い出せない?記憶喪失ってこと?」


「そう……なんだろうか?わからん……」


ツカサは顎に手をあて、訝しげにヒカリを見る。

ヒカリも少し不安そうにツカサを見返した。


「じゃあなんであなたはエヌエムを使えたの?」


「"エヌエム"……?なんだそれ……?」


「とぼけないで、ウチのドムゥの全力疾走に追い付いてくるなんて、足を速くするようなエヌエムを使ってない限り考えられないわ」


「そのエヌエムっていうのがなんなのかはわからないが、俺はただガムシャラに走ってあのデカイのから逃げてただけだ

そしたら君が……そういえば君の名前は?」


「ツカサよ、ツカサ・ユウキ」


「ツカサか、ありがとう……

そう、そしたらツカサの荷車が見えたから助けを求めたんだ」


「ちょっと待って、じゃあアナタはただ普通に走ってただけってこと?普通に走ってあの速度なの!?」


信じられないような気持ちで尋ねるがそれも無理は無い。

いくら元々が鈍重とはいえ、エヌエムを使って全力疾走するドムゥに己の身体能力だけで追い付ける人間など、恐らくはかなりのアスリートか鍛えぬいた軍人くらいのものだ。それもかなり一握りの。


「ふざけないでよ!そんな人間そうそういるわけないわ!こっちはアナタのせいで本当に恐い目にあったんだから、とぼけないでちゃんと答えなさい!」


「それに関しては本当に悪かったと思ってる……

ただ一時間近く全力疾走してて本当に限界だったんだ」


ヒカリを睨み付けていたが、しばしすると呆れたような疲れた表情とともに肩の力を抜いた。


「わかったわ……じゃあ質問を変えましょう

アナタが思い出せる一番最初の記憶はなに?」


ヒカリはしばし考えるような表情を浮かべ


「ダメだ、いくら思い出そうとしても今日以前の記憶が無い……

それにしたって見渡す限り砂漠のど真ん中で目が覚めてからはあのデカイのに見つかって逃げ始めるまでほんの少し歩いた記憶しかない……」


「つまり完全になにも思い出せないってわけね……目が覚めた時に周りになにかなかった?」


「いや、特になにも……強いて言えば周り全部を砂の山で囲まれてたくらいだ

けっこうな高さだったが越えるのに苦労するほどじゃ無かったし……」


ツカサは少しだけヒカリを見ると、ドムゥのほうに歩いた。


「わかったわ、これ以上ここで考えても仕方なさそうだし街の医者に見てもらいましょ?アナタには何の借りも無いけどここに置いてくのも可哀想だしね」


「そうか、それは助かる。ありがとう」


「いいのよ、どうせ私も街に行く途中だしね」


ドムゥを木から離し、荷車に括ると御者席に乗り込む。


「ほら隣どうぞ、行きましょ」


「ああ、ありがとう」


ヒカリがツカサの隣に座ると、鞭が入れられドムゥは街に向かって歩きだした。





 荷車に乗りながら小一時間ほど二人は話していた。街まではあとほんの少しの距離である。

ツカサはこの大陸での基礎的な知識をヒカリに尋ね、ヒカリがわからないようであれば教えていた。


「まさかグレート・ファイアまで知らないなんてね、子供だって知ってるのに

じゃあ食事とかトイレとかの、生活に必要そうなこと以外は本当になにも覚えていないわけね」


グレート・ファイアとは遥か昔に起きた大災害の名だ。先ほど砂蟲と出くわした砂漠を生み出し、エヌエムをこの世界に造り上げたという話が一般には信じられていた。


「そうなるな……1つ聞いてもいいか?」


「なに?なんでも聞いて」


「さっきツカサが言っていたエヌエムってなんだ?」


「そっか、そんなことも覚えてないのね」


ツカサがふぅ、と息を吐く。


「生きる上で絶対に必要だから覚えておきなさい。

エヌエムっていうのはどんな生き物でも使える能力……というか研究機関の話だと技術なの」


「技術?」


「そう、原理はよくわかってないけど生き物は全て何かしら特殊な現象を起こせるの」


「例えばこのドムゥは一定時間だけ自分の筋力を増やしたり、私の一族は代々モノを凍結させることができるわ」


「凄いな、だが皆が皆そんな能力を持ってると危険じゃないのか?」


「そんなことないわ、もちろん各々できることに差があるから強力なエヌエムを使える人が犯罪に走ることもあるにはあるけど、だいたいの街は警察機構がしっかりしてるし

犯罪なんかしなくても凄いエヌエムが使えればそれだけで就ける仕事は山のようにあるわ」


「なるほどな、つまり社会に対する不満が少ないわけか」


「そう、それでもたまに頭のオカシイ人は出てくるけどね」


不意にツカサはヒカリに顔を向ける。


「つまり、アナタもなにかしらのエヌエムを使えるハズなのよ」


「そうなのか?記憶が無いから何とも言えんが……心の中になんというか、確信みたいなものがあるんだ

俺には使えないっていう確信が」


「なによそれ……わけわかんない……

そんなはず無いわよ、上手い下手はあるにしろエヌエムが使えないなんていう例外なんか聞いたこと無いもの」


「そうは言っても俺は自分のエヌエムがどんなモノなのかも、どうすれば使えるのかも知らないんだ

それでは結局、俺にはエヌエムが無いのと変わらないんじゃないか?」


「うーん、まぁ使えるエヌエムによって使い方も変わるから私のは参考にならないだろうしなぁ……」


その時、鬱蒼とした森林の道を黙々と歩いていたドムゥが不意に足を止め天に向かって大きく吠えた。


「ん、いったいどうした……」


「しっ!静かに!」


制止されヒカリは言葉を止める。

ツカサの顔を見やると、緊張した面持ちで周囲を警戒しているようだった。


「私の家のドムゥは危険を察知すると吠えるように訓練してあるの、私たちにはわからないような危険でも事前に知らせてくれる」


「つまり今、俺たちに危険が迫っているということか……?」


「もしくはもう巻き込まれてるかも……」


その時、ザワザワと周囲の木や茂みが音をたてて揺れる。

何事かと周囲を見渡すと茂みの中からゾロゾロと、獣のような尖った耳が頭から生え、全身を毛に覆われてはいるが二足歩行をする。人のような獣のような、少なくともヒカリには既視感の無い生物が現れた。


「なんだ、アイツらは……」


小声でツカサに尋ねる。


「そっか、それも覚えてないのね……

アイツらは"ロウ"っていう亜人種よ……獣と違って知能はあるけどこういった森に住んでるのはだいたいは盗賊ね……」


「なるほどな……つまりコイツらの狙いは後ろの荷か……」


「たぶんね、でもこんな街の近くで活動している盗賊団なんて聞いたこと無かったんだけど……」


その時、荷車の正面に腕組みをしながら立ち塞がる一番体の大きい灰色のロウが口を開いた。


「内緒話はやめてくれねぇかな?」


凶暴さを滲ませる声を発したロウの体には革で作られたと思われる簡易な鎧が纏われていた。

恐らくはこの荒くれたちのリーダーなのだろう。

ギラついた目でこちらを睨み付け、威圧感を漂わせながらそのロウは更に続ける。


「兄ちゃん達よ、言わなくても俺らの要求はわかるだろ?余計なケガをしたくなけりゃソイツを渡しな!」


やはり狙いはこの荷か……自分の運の悪さを呪いながらツカサは答えた。


「アナタたちは何者なの?こんな街の近くで盗賊行為なんて正気の沙汰じゃないわ!」


「まぁこっちにも事情があんのよ姉ちゃん、人様のことをあんまり詮索するもんじゃねぇぜ

俺らはヴァロン盗賊団、名前くらいは聞いたことあんだろ?」


「ヴァロン盗賊団?嘘をつかないで!ヴァロン盗賊団の活動地はもっと遠くのハズよ!それに団長のヴァロンはもっと老齢のハズだわ!」


「ヴァロンは引退したのさ、今は息子の俺が団長をやってんだ」


コイツは嘘をついている、ヒカリは直感した。

何故かはわからないが自分にはコイツの嘘を見抜けているという確信があった。


「ヴァロンに息子がいたなんて聞いたこと無いわよ!」


「事情があるって言ったろ姉ちゃん?詮索するなとも言ったハズだ

さぁ、下らねぇ御託はもう充分だ!大人しく身ぐるみ置いてくか!それともケガしてぇのか!」


悔しげに荷車から荷を降ろそうとするツカサに、ヒカリが小声で話しかける。


「ここまで来たのに渡してしまうのか?街はすぐなんだろう?」


「渡すしか無いでしょう?私のエヌエムはコイツらに抵抗できるほど強力じゃないし、もしできてもこの人数相手じゃケガでは済まないわよ」


「なるほど、確かにその通りだな……では俺が交渉してみよう」


「は?ちょ、ちょっと……!」


ツカサが止めるより先にヒカリは荷車から飛び降り、団長のロウに向かって歩き出す。


「アイツ、やっぱり頭打っておかしくなったんじゃ……」


ついにヒカリは団長の前に辿り着いてしまった。

団長はかなり体格が大きくエヌエム抜きで戦ったとしてもヒカリが負けるであろうと予感させる。


「また内緒話をしてたかと思ったら俺になんの用だ?えぇ?」


「頼みがあるんだが、ここを通してくれないか?あの娘は大変な思いをして荷物を運んできたんだ、まぁ俺のせいなんだが」


「は?」


「お前たちも盗賊なんてしてないで街で働いたらどうだ?就ける仕事は山の様らしい、なんなら俺が仕事探しを手伝う」


一瞬キョトンとする団長、後ろではツカサが頭を抱えている。


「ク……ククッ……ハーハッハッハッ!!!」


団長が大笑いし出すと同時に周りのロウ達も笑い出す。

少しの間笑っていた団長だがしばらくすると口を開いた。


「お説教したかと思ったら一緒に仕事探しときた、久しぶりにこんな大笑いをしたぜ」


「そうかそれは良かった、では通して貰えるな?」


先ほどまで笑みを浮かべていた団長の顔が徐々に引き吊り始める。


「兄ちゃんよ、冗談も度が過ぎれば相手をイラつかせるだけだぜ」


「それは知らなかった、お前は冗談に詳しいな」


ヒカリが団長に笑いかけるが、それと反対に団長の顔から完全に笑みが消えた。

ツカサが慌てて口を挟む。


「こ、この荷物ならあげるから!ソイツ頭打っておかしくなってるのよ!大目に見てあげて!」


「それは無理な相談だな姉ちゃん、コイツは俺をおちょくり過ぎた、もう無傷では帰せねぇな」


団長が言うと同時に盗賊団の醸し出す空気が変わる。ツカサには全員が殺気を放っているように感じた。

どうしてこうなったのかと軽い目眩すら覚える。


「野郎共、コイツらを痛めつけちまいな、男のほうは殺しても構わねぇぞ」


盗賊団全員がジリジリと近づいてくる。

そして正に飛び掛かろうという瞬間、ヒカリが薄く笑った。


「やはりお前は冗談が好きなんだな、さっきもそうだがお前は嘘をついている。理由は知らないが、お前らは誰かの命を奪ったりはしない」


「兄ちゃん、本当に死にたいらしいな……野郎共、コイツからやっちまえ!」


団長の号令と共に、四人の盗賊が一斉にヒカリ目掛けて飛び掛かる。ツカサは凄惨な光景を見まいと目をそらした。

殴打音が数度響き、誰かの倒れるような音がする。


「………?」


てっきりヒカリの叫び声なり命乞いなりが聞こえると思っていたツカサだが、それらしい様子がまるで無いので恐る恐る目を戻す。


「て、てめぇ……只者じゃねぇな……!?」


驚きの表情を浮かべる団長と、依然として団長の前に立ち尽くすヒカリ。

しかしその後ろには、ヒカリに飛びかかった盗賊団員が四人とも地に伏している。


「そうなのか?体が勝手に動いただけなんだが、アイツらが弱かっただけじゃないのか?」


「なんだと……?」


ヒカリの言葉に明らかに怒りを滲ませた声で返す団長。そんな二人を荷車の上からツカサは見ていた。


「アイツ、けっこう強いの……?」


仲間を倒された怒りでヒカリに今にも襲いかからんとする団員を、団長が手で制止する。


「お前たちは下がってろ、"これ以上"団員を減らすわけにはいかねぇ」


「ん?コイツらはまだ生きてると思うぞ」


「んなことは俺だって解ってんだよ、お前なかなかやるみたいじゃねぇか」


団長はヒカリをギラギラした瞳で睨み付ける。


「可愛い手下が声も出せずに倒れやがった、恐ろしく正確に急所を殴りやがったな」


「わからん、体が勝手に動いたと言ってるだろう」


「ふん、とぼけたヤローだぜ。恐らく身体能力を強化するエヌエムを使ってるんだろうが、それだけでこの状況を乗りきれると踏んで喧嘩を売ったならそれは大きな間違いだ」


言い終わると同時に、団長の指先から獣のような鋭い爪が飛び出す。


「あの程度のスピードじゃ、部下はやれても俺は倒せねぇぞ」


瞬間、団長の体がユラリと揺れた。少なくともツカサにはそうとしか見えなかった。

しかし、ヒカリは慌てて後ろへと飛び退く。


「さすがに良い反応だな、そうでなきゃつまらん」


そう言った団長の指先には串刺しにされた黒い布のようなモノが見えた。ツカサは一目見てそれがヒカリの服の切れ端だと気付く。


「な、なんてスピードだ……」


額から冷や汗を流しながらヒカリが呟く。

団長は爪からヒカリの服の切れ端を払い、笑った。


「やっと自分の失敗に気付いたみたいだな、大人しく荷物を渡しときゃ良かったんだよ」


ジリジリと後退りをしながら間合いをとるヒカリ、しかし団長のスピードには悪あがきでしかないことは誰の目にも明らかだった。


「もう謝っても遅いぞ、お前をズタボロにしてやらなきゃ俺も手下も収まらないんでな」


フ、と団長の姿が消える。

木々を蹴り足場にしながらヒカリの周囲を高速で走っているのだ。ヒカリはなんとか目で追おうとするがまるで追い付けない。

離れたところから全体を見ているツカサにも、団長が速すぎて灰色の影にしか見えなかった。


「そら!まずは左足ぃ!」


そう言うと、団長はヒカリ目掛けて急激に方向転換をする。

一瞬団長とヒカリが交差したように見えると次の瞬間、ヒカリの左大腿部から鮮血が吹き出す。


「本当にたいした反応だ、足をまるごと引き裂いてやるつもりだったのによ」


「いてて……いや……お前はそんなことはしないさ、確かに必死で避けはしたがな」


薄く笑いながらヒカリが答えると、団長の表情は完全に怒りで染まった。


「まだテメェは俺を舐めてるみてぇだな……!じゃあ次は本当に引き裂いてやるよ!」


団長が駆け出す。さっき以上のスピードだ。


「死にさらせぇ!」


今度こそ終わりだと、またもツカサは目をそむける。


「でりゃぁっ!!」


団長が腕を伸ばすと同時にヒカリの声が響きわたる。

体を捻りながら団長の腕を掴み、足払いとともに思い切り地面に投げつけた。ズドン!という音ともに背中から地面に叩きつけられる団長。

しかし、団長も気を失ったりはしておらず信じられないといった表情をしていた。だが気をとりなおすとすぐさま起き上がりヒカリと距離をとった。


「テメェ、実力を隠していやがったのか……?」


僅かに動揺した声で団長が尋ねる。


「いや、そうじゃない。今のだってギリギリだったが、お前は絶対に俺が死んでしまうような場所は狙ってこないという確信があった

だからこそお前が手を伸ばす位置はある程度予想ができた」


「へぇ……なんで俺がお前を殺さねぇと思ったのか聞かせてもらいたいね……」


イラつきながら眉間をひくつかせる団長。


「わからん、わからんがお前の嘘はわかりやすいんだろ、たぶんな」


団長は今度こそ完全にキレた。殺伐とした雰囲気が漂う中、ヒカリだけが薄く笑っていた。


「ふざけやがって!たった一度カウンターを決めたくらいで調子に乗るなよ!もうわかってるだろうが俺のエヌエムはスピードの強化だ!

だが出せるスピードはまだまだあんなもんじゃないぞ!」


「参ったな……まだ速くなるのか……」


その事実はヒカリにとって完全に予想外であった。何かしらのエヌエムを使っていることは他の団員との桁違いのスピードからも予想は出来ていたが、まださらに上があるとは。

ツカサの言っていたエヌエムの上手い下手とはこういうことか。 その事を考えていなかったのは自分のミスだ。


「今さら後悔しても遅ぇ!テメェは完膚なきまでにズタボロに引き裂いてやる!」


「くっ……!」


ヒカリの表情から笑いが消え、険しい表情を浮かべ冷や汗が額を伝う。さらに速くなった団長相手にまたカウンターで戦えるか?


「だがその前に俺をおちょくった礼をしてやる!あの姉ちゃんはテメェの女だろ?アイツからやってやるぜ!」


「なにっ……!?」


「ちょっ!私たちは今日が初対面で…。!」


ツカサの言葉を聞かず団長は走りだす。先ほどまでよりも更に速いスピードで。


「まっ、待て!その娘は!」


「今さら遅ぇんだよ!!」


「う、嘘でしょぉ!?」


「くっ……!!」


突然、ヒカリの目には全てがスローモーションに見えた。

腰を抜かして荷車の上に座り込まんとするツカサも、爪をギラつかせながら荷車に疾走する団長も。

為す術無くただ右手を伸ばす自分も。


場違いな既視感を覚えた。それと同時に謎の感情が胸に沸き上がる。

また、自分は間に合わないのか。

また、自分は遅かったのか。

また、自分の無責任の為に誰かが傷つくのか。

自分が一人では無いということをまた、忘れていたのか。


「やめろぉぉぉ!!!」


ズドォン、という重い音が周囲に響き渡り、それとともに飛来した"何か"が、まさにツカサを切り裂かんとしていた団長の頬を掠め、後方の木に直撃し穴を空ける。

音に反応した団長がギリギリで身を引かなければ、団長の頭は叩き割られていただろう。


「な、何だ今のは……この俺の目にも……ほ、ほとんど見えなかった……」


驚愕の表情を浮かべながら団長はヒカリを見る。周りの団員たちも明らかに動揺した素振りをしながらヒカリに釘付けになっていた。

荷車に尻餅をつきながらも団長の攻撃を腕でなんとか防ごうとしていたツカサも、それにつられて涙目でヒカリを見やる。

視線の先にはこちらに向かって右手を伸ばしたヒカリの姿があった。

しかしその手は先ほどまでとは違い、腕全体が重く黒光りする金属質の"何か"で覆われている。

それだけでなく、その"何か"から煙が……ヒカリの手の甲側、手首の辺りにある丸い穴から煙が薄く上がっていた。


「な、何だそれは!テメェのエヌエムは身体強化じゃねぇのか!」


団長は焦りと若干の恐怖を滲ませた声で激しく尋ねる。しかし、ヒカリはそれに答えず驚きの目で自分の右手を見る。


「な、何だこれは……これが俺のエヌエム……なのか……?」


鋼鉄を纏ってなお震える掌を見つめながら、自問自答するヒカリ。

しかしヒカリは何となく、自分はこれのことを知っている、これの名前も使い方もわかる、という気がしていた。


「チッ……!やっぱりテメェから片付けるべきだったみてぇだなぁ!!」


団長がこちらに向き直る。先ほど迄の動揺は消えているようだった。

少なくとも表面上はそう見えた。


「やめろ!これが当たったらたぶんただじゃ済まない!もう荷物を諦めて大人しく帰るんだ!」


「へっ、当たればの話だろ……?」


そう呟くと、団長は再び高速移動を開始する。今までで一番のスピードだ。

そのスピードで地面や木々を縦横無尽に跳ね回る。


「どうだ!これが俺の最高速度だ!このスピードで駆け回りゃそのオカシなエヌエムも狙いがつけらんねぇだろ!」


その通りだった。いくら素早く強力なヒカリの武器も、腕の直線上に飛び出す以上狙いをつけねば当たらない。

しかしこれほどのスピードで木々の間を駆け回られては、狙いなどとてもつけられない。


「もうソイツは使わせねぇ!このまま一撃でテメェを潰す!」


しかし、ヒカリは冷静だった。確かにこのままではコイツを……コイツの"銃弾"を当てられそうにない。

だがヒカリには確たる勝算があった。

そう、コイツが自分の思っている通りに使えるのならば、勝てる。自分の勝ちたいように。


「フ……」


ヒカリは笑ってしまった。先ほど根拠の無い確信のせいでツカサを危険な目にあわせておきながら、また根拠の無いモノに頼ろうとは。自分には学習能力が無いのかもしれない。


「なに笑っていやがる!万策尽きて諦めたかよ!」


団長は尚もスピードを緩めない。いや、むしろスピードがさらに上がったかのようだった。

しかし、団長は仕掛けない。自分の狙った隙を待っているのだ。


「一撃で……!一撃で仕留める……!失敗してさっきのアレを食らったら間違いなく死ぬ……!こんなとこで死ぬわけにはいかねぇ……!!」


団長はヒカリの右手の危険性は重々理解していた。

だからこそ、確実に仕留められる隙を狙って尚もヒカリの周囲を威圧するように駆け回る。

ツカサも盗賊団員も固唾を飲んで見守っていた。どちらかが倒れれば残ったほうの取り巻きは終わりだと理解しているからだ。


ふいに、その瞬間が訪れる。

油断無く構えていたヒカリの右半身に僅かだが明確な隙が現れたのだ。団長はそれを見逃さなかった。


「ソイツを待ってた!!」


ヒカリに向かって疾走する団長、狙いはヒカリの右手だ。

団長は右手を肩から切り飛ばすつもりで爪を振るう。


「ああ、俺も待ってた」


突然ヒカリが体を捻り、降り下ろされる爪の目の前に何を思ったか自らの顔をさらけ出した。


「なにぃッ……!?」


慌てて腕を逸らす団長、爪はヒカリの頬を掠め赤い傷を残す。


「やっぱりお前は命を奪わない……お前の負けだ!」


慌てて腕を反らしたことで、懐にヒカリを抱え込む形となった団長。そして周囲に再度ズドォンと重い音が響くと団長はドサリと倒れた。

ヒカリは息を少し荒げながら団長を見ていた。ヒカリにとってもギリギリの駆け引きだったのだ。

息を整え、周囲の団員達を見回すと


「さぁ、まだ俺たちの荷物が欲しいのか?」


団員達に向かってドスを効かせる。その言葉に怯えたのか全員一目散に逃げ出して行ってしまった。


「あ、ちょっ……自分たちの団長置いていきやがった……」


やっと立ち上がれるようになったのか荷車から降りたツカサが駆け寄ってくる。

ヒカリはツカサに微笑みかけ


「危なかったけどなんとかなったな、さてコイツどうしようか……」


言い終わる前にスパァンとツカサに頭をはたかれる。


「なっ、何を!」


「何をじゃないわよ!アンタのせいでとんでもないことになったじゃない!」


涙目のままヒカリに凄い剣幕で叫び散らす。


「第一、そんな強いエヌエム使えるならさっさと使いなさいよ!無駄にもったいぶったから私が怖い目にあったんじゃない!」


「い、いやこれは俺もなんで使えたのか……あ!そ、そうだ!コイツが目を覚ます前に動けないようにしとかなきゃ!な!」


「え!?コイツ死んだんじゃないの!?」


「後で説明するからさ、なにか縛れそうなもの無いか?」


「荷物用のロープならあるけど……。後でちゃんとなにもかも説明してもらうからね!じゃなきゃ許してあげないんだから!」


ヒカリはツカサの鋭い視線を感じながら荷物用のロープで気を失っているだけの団長を縛り上げ始めた。




 「つまり、無意識にそれが出たってこと?」


ヒカリの右手を指差しながらツカサが尋ねる。その手は今なお無骨な金属質の何かに包まれていた。

団長を縛り上げた後、二人は状況整理と休息の為に昼食を食べることにしていた。もちろんヒカリは何も持っていないのでツカサに食料を譲って貰っている。

なにやら魚を乾燥させたモノらしい。


「ああ、一度発動した今はコレの使い方も名前も、なんというか直感で理解しているが、それまではコレの事はカケラも知らなかったんだ」


それに、とヒカリは続ける。


「やっぱりこれは俺のエヌエムでは無い気がするんだ、これも直感でしか無いが、なんというかコレは俺自身が生み出したわけでは無い気がする」


一旦言葉を区切るとヒカリは旨い旨いと言いながら魚を一気に口に詰め込む。しかしツカサはヒカリの説明には納得していないようだった。


「うーん、どう考えてもエヌエムだと思うわ。だって突然右手をそんなふうにできるなんて他に説明のしようが無いもの」


「んー……そうなんだろうか……」


しばらく無言で食事を進める二人、食べているのはどれもここでは一般的な保存食だがヒカリにはとても美味しく感じられた。


「ていうか、何でコイツが自分たちを殺さないなんて思ったの?もし間違ってたらあなたバラバラにされてたのよ?」


「これもただの直感で申し訳ないんだが……コイツは嘘をついていると思ったんだ、ヴァロン?とかいうのの息子だっていうのも、俺らを殺してやるっていうのも

たぶんコイツは、絶対に人を殺さないと思う」


「なにそれ……結局根拠もなにも無いんじゃない……やっぱりあんた変よ……」


呆れた声でツカサが呟く。ヒカリは申し訳なさそうに苦笑いしながら肩を竦めた。


「じゃあ質問を変えるけど……あなた、右手のそれがなんなのか理解してるって言ったわよね?武器にしろエヌエムにしろそんなもの見たこと無いから説明してよ」


「わかった……直感で理解したまま言うが、これは鉄甲弾発射装置付き白兵戦用格闘兵器、通称"ガントレット"だ」


「てっこう……?なに?」


ツカサがきょとんとした顔になる。何を言っているのかわからないというふうだ。


「つまり格闘戦銃撃戦どちらにも対応できる武器だ、その強度から防具としても使える」


「あの……格闘戦ってのはわかるんだけど、銃撃戦ってなに……?」


「え……?なんというかこう、銃弾が飛び交うような……遠距離での……」


「銃弾……?遠距離なら、矢とは違うの?」


「んー、名前の通り銃から発射される弾だ、色んな種類があって……どんな種類があったか思い出せないな……

まぁ火薬で小さな鉄の弾を凄い速度で打ち出す武器だ。感じたままを喋ってるからあってるかはわからんが……」


「聞いたこと無いわ、そんな武器」


「なるほど……覚えて無いからわからんが少なくとも銃っていうのはあまりポピュラーじゃないらしいな」


「そうだと思うわ。そんな武器を知ってるなんて、あなた記憶を失う前は武器の開発者か何かだったのかしら?」


「どうだろう……少なくとも、武器に精通した人間ではあったのかもな……」


「ちょっとどういうモノなのか使ってみせてよ、さっきはドタバタしてて良くわからなかったし……」


「ああ、じゃあまずは鉄甲弾発射機能だな。これは手首の上にあるこの穴から銃弾が出る機能だ」


ちょっと試してみようとヒカリが呟き、右手を手近な木に向ける。

すると例のズドォンという重い音とともに穴から火花が吹き出し煙をあげる。


「ちょっと!撃つときは言ってよ!ビックリするじゃない!」


「あ、ああ……すまん……」


申し訳なさげに謝ると、ヒカリは撃ち抜いた木の裏に回り、少しすると何かを拾って帰ってくる。


「コレがさっき発射した鉄甲弾……つまりは説明した銃弾だ」


手のひらに乗せた小さな黒い塊をツカサに見せる。


「あの木の裏にある木に当たって落ちてたから、威力は小さな木を貫通するくらいだな」


「くらい……ってそんなものが頭にでも当たったら間違いなく死ぬわよ……」


ツカサが恐ろしげに呟く。


「ああそうだろうな……さっきは必死だったから無意識にそのまま撃ってしまったが、コイツが避けてくれて本当に良かった」


そう言って団長のほうを見る。まだ目を覚ましてはいないようだ。


「でも、ならなんで団長はそれをお腹に撃たれて気絶で済んだの?目立った傷も無いし……」


「ああ、それに関してはガントレットの2つ目の機能を使ったんだ」


「あんな恐ろしいモノを発射する以外にまだ何かあるの!?」


「そうだ、むしろこっちの機能がメインなんだと思う」


そう言うと、先ほど撃ち抜いた木に向かって歩き出す。


「さっき、銃弾は火薬を使って弾を飛ばすって言ったよな?この機能はその火薬の力を使うんだ」


ヒカリは腰を少し落として、正拳突きの構えをとった。

スゥ……と静かに息を吸い込むと、カッと目を見開く


「ハッ!!」


声とともに木に向かって正拳を繰り出すと、右拳が木に激突する瞬間、またズドォンと音が響く。

すると、小さいとはいえガッシリとした木が爆発でもしたかのように細かい木屑となってバラバラに弾け飛んだ。


「うわぁ……」


ツカサは目を丸くして弾け飛んだ木を見ていた。これほど強力なエヌエムを生で見るのは初めてだった。

少なくともリトル村にはこんなエヌエムを使えるモノは無い。


「自分の拳に火薬の爆発したスピードを乗せて、ガントレットの硬い拳を相手にぶつける。団長にはこれをやったんだ。

もちろん死なないように火薬を爆発させるタイミングを調節したし、あんなふうに構えをとって集中してから殴ることなんて出来ないから、実戦で使うときはもっと威力は低くなるけど」


「な、なるほどね……よくわかんないけど……」


ツカサはバラバラになった木屑をつまみ上げて言う。


「でもやっぱり、あなたのそれはエヌエムじゃ無いかもね……転用すれば武器になったり殺傷力を持ったりするエヌエムはあっても、あなたのそれ……ガントレットみたいに破壊の為だけにあるようなエヌエムは聞いたこと無いわ……」


「そういうものか……なんだかまたわからなくなってしまったな……」


「どっちにしろあなたもガントレットも普通じゃないわ 。やっぱり街で医者に見てもらいましょう」


ツカサは団長を見やり


「コイツも警察につれてかなきゃだしね」


「そうだな、そう言えばこれどうやって消すんだろう……」


「そう言えばそうね、消えろーって念じてみたら?」


「やってみよう」


ヒカリはガントレットを見つめて消えろと念じる。するとそれは始めから無かったように消えていった。


「あ、意外と簡単にいったな」


「そうね、ずっと右手があのままじゃなくて良かったじゃない。さ、アイツの目が覚めるまでもうしばらく休んでましょ」


そうしてまたしばらく休息をしていると、団長が目を覚ました。


「くっ……なんだこれは……ロープ?」


自分が縛られていることに気付くと、二人に向かって叫ぶ。


「これをほどきやがれ!俺を誰だと……いっ、痛!」


殴られた部分が痛んだのか、途中で言葉が途切れる。


「無理するな、骨の一、二本は折れてるかもしれん」


「くっ、テメェがやったんだろうが!」


「それはお前たちが襲ってきたからだ、荷物を守るためには仕方なかった。大丈夫、俺たちはこれから街へ行く、そこで医者に見てもらおう」


「ちょっと!コイツも医者に見せるの!?」


「ああ、すまないが警察は勘弁してやってくれないか?正当防衛ではあっても、彼らが襲ってきたのは俺が交渉に失敗したからだし、何か事情がありそうだ」


「あれで本当に交渉のつもりだったのね……もういいわ、勝手にして……。はぁ……なんで今回に限ってこんな面倒なことばかり起きるのかしら……」


ぶつぶつ言いながらツカサは疲れた様子で荷車の御者席に座る。


「そう言うことだ、街まで連れていくぞ」


「ふざけんな!誰が街なんかに!」


団長が抵抗しようとするも縛られている上に怪我をした状態ではそれも叶わず、ヒカリにひょいと担がれ荷台に載せられてしまう。

ヒカリがツカサの隣に乗り込むと、ドムゥに鞭が入れられゆっくりと進みだした。

街まではあと少しである。





 「そう言えば、お前はなんて名前なんだ?」


街へ向かう道中、ヒカリがふいに団長に尋ねる。

団長はと言うと諦めたのか不貞腐れたのか、どちらにしろ荷台で大人しくしていた。


「………ガロンだ、ガロン・ワーロウ……」


「やっぱりヴァロンの息子じゃ無いじゃない、ヴァロンの名字はスナッチだもの」


「ふん、血の繋がりなんかどうでもいい、俺はヴァロンの息子だ……」


「なにそれ……」


「詳しいんだなツカサ」


「けっ、親父の名を知らないヤツがいるとはな。ヴァロン盗賊団も堕ちたもんだぜ」


「違うわ、コイツ記憶喪失なのよ。あんたは覚えて無いでしょうけど、ヴァロン盗賊団はこの大陸では名の知れた盗賊団なの。

盗賊団の規模としてもそうだけど、金持ちしか狙わないっていうことから市民の間で人気が高くて貧者の英雄なんて呼ぶヤツもいるらしいわ」


私には理解できないけど、とツカサは続けた。


「でも半年前くらい前から急に姿を現さなくなったの。

団長のヴァロンも老齢だったし、彼が死んでバラバラに解散したんじゃないかって言われてたわ、実際のところどうなのかは知らないけど……」


そう言ってチラッとガロンを見る。

ガロンは何やら複雑な表情を浮かべていた。


「そうだったのか、そうなのかガロン?」


ガロンはしばし沈黙してから


「殺されたんだ……」


と、静かに答えた。


「殺された?誰に?警察か軍と争いにでもなったの?」


「違う、親父がそんなウスノロ共に殺されるわけがねぇ……」


「じゃあ誰なのよ?」


「盗賊団のナンバー2であり俺の兄でもある男、バジリコにだ……。ヤツは親父に一番信頼されていたにも関わらず、ある日突然親父を罠にハメて殺したんだ」


「仲間割れってこと?盗賊団らしいっちゃらしいけど……」


「ふん、なんとでも言え……。とにかく理由はわからねぇが、兄貴は親父を殺し、そのせいでトップを失った盗賊団は散り散りになった。

俺の下についてきたヤツらとその辺のチンケな盗賊みたいな事をやろうとしたら、いきなりお前らにやられてこのザマだ……。

部下達もさっきの無様な俺の姿を見てどっかに行っちまったし、ヴァロン盗賊団も終わりだな。まったく、記憶喪失なんてフザケたヤローに負けるなんて俺も情けないもんだぜ……」


「今日が初めての活動だったてわけ?だから噂も何も聞かなかったのね」


「あの勝負、俺が勝てたのはお前が俺の読み通りに優しかったからだ。お前が宣言通りに命を奪いに来てれば俺は死んでいた」


「けっ、よせよ、優しいなんて気色悪い。自分から攻撃に顔を晒すなんて本物のバカだぜ、俺が腕を逸らす保証も無ぇのによ」


「そう言えば、なんであなたはヒカリの命を奪わなかったの?結局はヒカリの勘が当たってたわけだけど、理由は?」


「俺が"盗賊"だからだ、真の"盗賊"は1つしか無いものは盗まない。だから金持ちが沢山持ってる金は頂いても、どんなヤツも1つしか持ってない命は絶対に盗らない。そういうふうにガキの頃から親父に教わってきたからな」


そう話すガロンはどこか誇らしげだった。

しかしすぐに忌々しげな顔にもどり


「だがその教えを兄貴は……バジリコは破りやがったんだ……!よりにもよって親父の命で……!」



 しばし沈黙が続いた。

30分ほど経って、小高い丘を越えたときふいにツカサが声を挙げた。


「あ!見えたわ!あれが目的の街の"ゼンコウ"よ!」


随分長く感じたわ、とツカサが呟く。


「あれが街か……ゼンコウとはどういう意味なんだ?」


「私も良くは知らないけど、たしか昔の言葉で"善い光"って意味だったかしら」


「なるほど、それにしても随分と高い壁に囲まれているんだな」


丘の上から見えるゼンコウの街の周囲は、ゆうに五階建ての建物ぶんの高さはありそうな壁に囲まれていた。


「ゼンコウの壁は特別高いけど、だいたいの街があんな感じで壁に囲まれているわ。街を襲ってくるようなヤツはそうそういないけど、まぁ保険ね」


「なぜゼンコウの壁は他の街より高いんだ?」


「それは……」


「俺が教えてやる」


ツカサが答えようとすると後ろからガロンの声がした。


「この街はな、大昔にある生き物に襲われたことがあるんだ。あれはその時の経験から生まれた対策なのさ」


「ある生き物?街全体が対策をたてなくちゃいけないような生物なのか?」


「ああ、そうだ。ソイツは凄まじい力でな、グレート・ファイアの正体はソイツだなんて当時は言われたらしい」


「それほどなのか……どんな生物なんだソイツは?」


「デカくって羽が生えてて空を飛ぶんだ、おまけに火を吹くらしい」


「そんな生物がいるのか!?」


「聞き覚えがねぇか?ドラゴンだよ」



続く

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