第34話 隋唐演義

『隋唐演義』という作品を知っている人はいるだろうか。『三国志演義』、『封神演義』と並ぶと中国三代演義の一つに数えられている歴史小説である。が、この作品は日本ではイマイチ知名度が低いように感じる。隋唐と聞くと、聖徳太子が「日出ずる国の天子」なる手紙を煬帝に送り激怒させた事や遣隋使、遣唐使を送った、あるいは日本の制度の基礎を作ったという事は非常によく知られている。

世界史を見ると煬帝の高句麗遠征、大運河の建設で財政が逼迫した為、反乱が起こり隋は滅びた。その後、李淵を祖とする唐が李世民の代に天下を統一したと言う事が書かれるぐらいで王朝交代について詳しくその実情は知られていない。その点について触れているのがこの『隋唐演義』である。

読んだきっかけはドラマである。たまたま動画サイトで予告をしたいたので気になって全話DVDで視聴して見たところ、面白かったので小説を読んでみようと思ったのである。

物語は隋の天下統一から始まり、太祖を毒殺した煬帝の圧政に反旗を翻した好漢達が瓦崗寨に集結し、隋を打倒すると言う物語。なんだか『水滸伝』に近いような話である。

大きな違いは主人公達が死んでしまっても主人公が変わって物語が続き、玄宗の代まで続くという点だろうか。つまり、唐の建国に始まり、全盛期、そして斜陽に傾いていく様を描く小説なのである。ただ、日本では完訳本が刊行されていないというのは大きな障害の一つであろう。

現在、刊行されている本はリライト版という形でしかなく、完訳ではない。

リライト版も面白かったが、やはり完訳という形の本を読んで見たいと思う。『楊家荘演義』も完訳された事だし、是非、『隋唐演義』の完訳本もと、願っている。

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