第15話 神はいつも理不尽?

中高、キリスト教主義の学校だった僕はほぼ毎日のように聖書を読んでました。

毎朝礼拝が15分あり、皆寝てる中一人聖書を読んでました。

聖書は有難い書物ですが、そこには神を信じられない人の泥臭さが滲み出て来ます。

今日はその中でエピソードを一つ。

イスラエルの王で度々聖書に登場するダビデの物語です。

才能に溢れるイスラエルの王として知られていますが、彼は一度だけとんでもない事をやらかしています。

それがウリアの妻、バト・シェバを娶るというもの。

事の発端は王宮にいたダビデが水浴びをしていたバト・シェバを見て、その美しい姿に魅了されてしまい、即日で関係を持ってしまったことに始まります。

しかも妊娠させてしまうのです。

人妻と寝ること自体、聖書では悪とされています。さらに妊娠させたとなれば、いくら王であっても神の裁きは免れません。

流石にヤバいと、思ったダビデは戦場にいるウリアに休息の機会を与えます。

家で休息させる事で自分と妻の関係を誤魔化そうとしましたが、生真面目なウリアは「戦っている兵士が傷ついているのに家に帰れるか!」と王宮に帰って来ました。

すると、ダビデは王宮で酒盛りを開き、家に帰らそうとしますが、それでもウリアは帰りません。

そして、とんでもない事をひらめきます。

夫のウリアを戦場に送り返しわざと最前線に配置し、彼だけを見捨て撤退せよ、と将軍のヨアブに命令しました。

しかも、この手紙を送らせた相手はウリア本人。まさか自分の殺人命令書を届けているなど露にも思っていませんでした。

戦場で死ぬ事ができれば関係がバレずに妻とする事が出来るのです。

ゴリアテと戦った時の勇猛なダビデはどこへ行ったのか・・・。

その命令通り、激戦の最中ウリアは置き去りにさられ戦死しました。

その後、バト・シェバはダビデの妻となりました。

流石に神は今回の一件を激しく怒りました。

「人妻をNTRした挙げ句、その旦那を殺すとは絶対に許さん!」

さっそく預言者のナタンを遣わして、今回の件をダビデに非難することにしました、

ナタンは「裕福な家庭に生まれた奴がいて全てを持ってるのに貧しい隣の男が持っていた子羊を奪ったんです。その家は子羊以外何も残っていないのに。どう思います?」とダビデに問いかけます。

若い頃羊飼いだったダビデは、「そんな奴は許せんなぁ。死罪だ。子羊の償いは四倍にして仕返しせねばなるまいよ」と答えます。

次の瞬間、「それはお前だ!」とナタンから特大ブーメランが飛んで来ました。

事の重大さに気がついたダビデ、私を殺したくださいと神に懺悔します。

が、時すでに遅し。

反省している事を悟った神の慈悲で死罪は免れたものの、懺悔では許されるはずもなく、ダビデの一家には不幸が次々訪れることに。

バト・シェバとの間の子は神罰として生まれたその日に亡くなってしまいます。また、子供同士で争いが起こり始め、とうとう息子アブサロムが反乱を企てる自体に。

平定こそしたものの、ダビデの心に大きく傷が付くことに。

ちなみにバト・シェバとの間に生まれた子がソロモンなのですが、彼もまた晩年は異民族と結婚しまくって、異教を認める事態に発展、イスラエルが分裂する原因を作ってしまいました。

やっぱり、神が理不尽なのではなくて人が理不尽なんだなぁと思います。

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