第6話 孔子流!食事マナー

孔子の言行録である『論語』は全部で二十篇からなるが、前半と後半は元々別の本だったと言われている。前半では殆どの文章が「子曰」と始まる事が多いのだが、後半になればなるほど、「孔子曰」で始まる事が多くなっている。前半と後半では書き手が変わっていることが明白にわかる。

その中で前半の最後に登場するのが、タイトルにもある郷里篇。

これは「派手な服を着て公には出ない」といった公の場でのマナーから「ご飯はよく精米したものしか口にせず、膾の肉は細かく切った物が好きだった」と言った食事の仕方まで仁の人たる孔子の日々の生活を事細かに記録した一風変わったチャプターである。

個人的な話をすると、僕は『論語』の中ではこの郷里篇が一番好きだ。

本当にこのような生活をしていたのかは実際のところ分からないのだが、仁の人である孔子の事細か生活を見ていると非常にマナーに対して口煩い人だったかが分かってくる。

特に食事マナーに関してはかなりうるさい人だったらしい。

以下がその食事マナーの一例である。

腐った野菜、傷んだ魚は絶対に食べない

季節外れの物は食べない

ちゃんと味付けしてないと食べない

市場で売ってる酒、干し肉は口にしない

お酒の量は決まってないが酔うまで飲まない

三日以上経った祭式用の肉は食べずに捨てる

今は冷蔵庫で取り置き等が出来るが、二千八百年前にそんなことをやれるわけもない。

加えて当時は動乱の時代だから贅沢を言ってはいられない。

そんな時によく、贅沢な食事が出来るなぁと感心すると共になんて食事に煩い人だ、こんな人とは友達になれないと思う。

食事中にこんなマナーをやられたらたまったものではない。寧ろ、自分から一緒に食事をすることを丁重に断る。

やはり孔子は僕にとって遠い存在なのだとつくづく思う。

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