第5話 女体化論

第二次世界大戦のエースパイロットを女体化したり、軍艦を女性として擬人化したり、挙げ句の果てには偉人まで女体化させる。

日本は結構女体化系の話がつきものですが、その始まりは実は滝沢馬琴なのかも知れないのです。

なぜかと言うと傾城水滸伝なるものを書いていたから。

後鳥羽院の時代、彼の寵愛を受けていた亀菊の専横によってつまはじきされた女達106人が北条義時によって討たれた源頼家の息女を擁立し近江賤ヶ岳江鎮泊に立てこもり戦うという物語。

傾城とは、国を傾けるほどの美人という意味であるが、ここでは亀菊の蔑称です。

皮肉たっぷりのタイトル、流石は滝沢馬琴。

当時、木版が擦り切れてしまい、三版まで作られたというから凄い人気ぶりである。

ただし、残念な事に馬琴自身が完成を見る前に死去してしまい、彼の弟子が『女水滸伝』として刊行してようやく完結しました。

現在、これが読めるかというとかなり困難。

まず、書店に売ってない。

一応、現代語訳は刊行されてはいる。図書館に置いてあるところはあるので気軽に読むことは可能。

ただし、全十三巻のうち二巻で刊行がストップしており、未完となっている。

完璧な形で読む為には100年以上前に出版された馬琴の全集を読むしかない。

ただ、こちらも一般的な図書館ではまず手に入らない希少価値が非常に高いもの。さらに言えば、現代語訳されているわけではないので古語とも戦わなければならず、言語の壁があり全部を理解して読むと言うことはなかなか難しい。

ちなみに原書の方はというと、所有している大学図書館がネットに上げてくれているので気軽に読める。

ただし、本文は変体仮名で書かれていので勉強してないとまず読めない。

と言うわけで、『傾城水滸伝』を読むには馬琴の全集を全国の図書館を駆け回って見つけ、古語と戦いつつ読むしかないのが現状です。

いつの日か、日本語訳の『傾城水滸伝』が出ないかなぁと思っているこの頃です。

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