異世界河馬

・顔


黒褐色の肌に大きな頭、大きな口、鼻の穴や目は小さい。その小さな目からは黒いオーラのようなものが流れて見える。

オス。


・体格


370cm  推定200kg

短めの四肢に見るからにタプタプしている腹回り、だが足取りは軽やか。

本来カバはゾウに次いで重いはずだが、この個体は異様に軽い。また肌も、本来は薄くて乾燥に弱く、すぐにひび割れてしまうはずなのだが、ほぼ一日水辺にいないにも関わらず、潤いを保っている。


・経歴


こちらから異世界へ持ち込んだ個体。正確には異世界より持ち帰った『闇の宝玉』が変異させた。

闇の宝玉は触れた生物をまるでブラックホールのように中へと吸い込み、その過程でひき肉にされる、というもので、それ以上の情報はなく、祭っていた人間も絶滅してしまったため、手詰まりとなっていた。

息抜きに、研究チームの一人の誕生日会を開くこととなった。そしてその一人がプレゼントに願ったのが長年の夢だった「目の前でむごたらしく死んでゆくカバの姿を見たい」というものだった。

それをかなえるべく、ハッキングをはじめ、多くの規則違反を行い、生きたカバを手に入れた研究チームはさっそく闇の宝玉へとささげた。

が、何故だかこのカバは変異し、生き残った。

持ち込んだ過程が正規ではなかったため、この個体の情報は不十分であり、また再度カバを投入してもただ苦しんで死ぬだけで再現できていない。

ちなみに、今回の実験に投入するのは、誕生日プレゼントが不発に終わってしまったのでそれをやり直すという、社長の粋な計らいだった。


・性格


基本的な動作はカバと同じ、のんびりと水浴びをして、外敵には糞を浴びせかけ、時にかみついて殺す。またこの個体は雑食で、人肉どころか同種のメスも食べる。

だが油断していると能力により研究者をはじめ、近くの生物へ攻撃する。それも防衛や殺害が目的ではなく、わざと急所を外しての攻撃で、長く苦しむようにしていると思われる。

有識者によれば闇の宝玉は国一つを滅ぼせるだけの力を持っており、実際に滅ぼされた国の犠牲者たちの怨念からかなり強い呪いがかかっているとのこと。


・能力


重力制御、体の体表より人間の拳サイズの黒い球体を最大で五つ、発生させ、それを中心に引力や斥力を操り、さらには物体の落ちる方向も変えることができる。

普段は自分の体内にこの球体を作り出し、体重の幾分かを上向きに落として足への負担を減らしているものと推測される。

球体一つに着きやく500㎏の力で引き寄せるか引き離すかをする。そのどちらも球体の中忍に向かって発生する。

また、球体を一定以上の質量を持つ物体にぶつけた場合、まるで溶け込むかのように同化する。同化した物体は約5秒の間、この個体が念じたと思われる方向へと落ちる。これは重力の方向を変えているため、抵抗の手段もない。同化中も球体は存在しているらしく、最大五つに含まれる。

身体能力も高く、大きな口はワニにも打ち勝てる。だが一番の攻撃手段はのしかかりで、黒い球体で相手の動きを阻害し、そこへ同様に球体で本来の体重を乗せての加速した体当たりは、装甲車おも吹き飛ばす。

また、一度しか観測されていないが、球体を線状に伸ばし、地面に引いて、その上で引力を発揮したことがある。結果、線状に強められた引力がギロチンの刃となり、それを踏んでいた研究者を一瞬にして右肩から腰、右ひざを通して足の人差し指と中指の間で両断した。ただしこれはかなりの精密動作で消耗するらしく、それからしばらくは大人しくなっていた。


大変危険

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